日経平均3万円、「長期では通過点」「当面は振れ大きく」

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『日経平均株価が15日に一時、節目の3万円を上回った。3万円台をつけるのは1990年8月以来、30年半ぶりとなる。市場関係者はどう受けているか。今後の見通しなども含めて聞いた。

「財政の国際協調への期待感強まる」小林俊介・みずほ証券チーフエコノミスト 
日経平均株価が3万円を超える上昇となった背景にあるのは米国の財政出動への期待感がベースにある。米議会でトランプ前大統領への弾劾裁判が結審した。財政政…

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財政政策への審議が早く進むとの思惑が強まっていることで、投資家心理が改善している。さらに12日にオンラインで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、イエレン財務長官が日欧を念頭に財政出動の必要をにじませた。かつての財政での国際協調を想起させる内容で、今後の景気刺激策への期待感が市場で強まっている。株価の押し上げにつながっており、今後も下支え要因となるだろう。

取引開始前に発表された日本の2020年10~12月期の国内総生産(GDP)で、実質成長率が前期比年率12・7%だったことも日経平均の上昇幅を広げる要因になっただろう。成長率は事前の予想レンジの上限の水準だ。輸出や設備投資、消費が堅調であることは予想できたが、在庫が減少したことは大きく、今後の増産への期待を高める。ほぼ満点の内容と言えるだろう。貯蓄が増えた分、耐久財の消費に回っている点も見逃せない。使いたくてうずうずしているお金が家計にあるということだろう。

先行きについては1~3月期にいったん成長率が下がる可能性はある。ただ感染拡大も落ち着いており、家計の貯蓄も大きい。消費の減少は限定的だろう。輸出は横ばいののち、回復していくとみる。日本経済の上振れの可能性が高まっていると言えるだろう。

政府は今後、財政健全化を図るときには慎重さが必要だ。支援の縮小などは需給ギャップの縮小をしっかり見届けてから進めるべきで、早すぎず、きめ細やかな対応が必要だ。

「3万円、長期でみれば通過点」小川佳紀・岡三証券投資戦略部長

新型コロナウイルスのワクチン普及期待が広がるなか、景気や物価の改善を織り込む「リフレトレード」の様相が強まっている。投資家心理を測る指標とされ、別名「恐怖指数」と呼ばれる米株の変動性指数(VIX)が12日の米市場で大幅に低下したのも投資家が運用リスクを取りやすくなっていることを象徴している。

きょうの日経平均の大幅高は先物が主導した面もあり、短期的には3万円台で定着するか微妙だ。足元の株高をバブルと表現する向きもあろうが、これからも投資家が運用リスクを取る「リスクオン」の流れは継続しそう。長期的な視点でみると3万円は通過点となるかもしれない。日本株のなかでは出遅れかつ、テーマ性のあるセクターが有望とみている。たとえば、電気自動車(EV)や脱炭素といったテーマ性の高い化学・素材関連の出遅れ修正が進むとも考えられる。

「当面は振れ幅大きく」木下智夫・インベスコ・アセット・マネジメント・グローバル・マーケット・ストラテジスト 

前週末までに一段落した2020年4~12月期決算の発表で製造業を中心に予想を上回る業績の強さを確認でき、日本株への買い安心感が強まった。国内で新型コロナウイルスの新規感染者が減り、週内にもワクチン接種が始まることで経済正常化への期待がいよいよ高まっている。対面型サービス業などにも回復への明るい兆しが見えてきたことも相場の追い風となっている。

きょう発表となった20年10~12月期のGDPが市場予想を上回る好結果だったことも株高を支えている。米国や欧州などその他の主要先進国と比べ、いち早くコロナ禍から回復していることが数字で確認できた。特に民間の設備投資の強さはサプライズだ。リーマン・ショックなど過去の経済危機の経験則から、日本企業がその後の輸出を低下させるのではないかとの懸念を和らげた。

経済対策の成立期待や金融緩和の長期化などポジティブな材料が多い半面、相場を押し下げるネガティブな材料は高値警戒感くらいだ。もっとも日経平均3万円の水準は多くの投資家が未経験の領域。少しの調整でも動揺が広がって下げ幅が大きくなるなど、今後は振れ幅の大きな展開が予想される。

「各中銀、バブルに警鐘鳴らす段階へ」岩下真理・大和証券チーフマーケットエコノミスト 

日経平均が3万円の大台に乗せたのは、新型コロナウイルス感染拡大に対応した各国の政府や各中央銀行の政策で供給されたマネーがリスク資産に向かっているためだろう。これが続けば格差拡大につながりかねず、中国のように各国の中銀もどこかでバブルに警鐘を鳴らす段階に入っていく。ワクチン接種で先行する米国で効果がはっきりしてくれば、米連邦準備理事会(FRB)は6月にも量的金融緩和の縮小(テーパリング)の議論を始めるだろう。

日銀が金融政策の「点検」を表明した昨年12月時点と比べると、日経平均は約4000円も上昇したことになる。そもそも「点検」を表明したのは、株価がこれほど上昇している局面で本当に株価指数連動型上場投資信託(ETF)を買うべきか疑問を持ったためだ。点検では「機動的」や「メリハリ」がキーワードで、ETFの買い入れについて株価の上昇局面では購入を減らし、下落局面では買いを増やす運用に見直すと予想している。

国内の長期金利は足元で米金利との連動を強めて上昇(債券価格は下落)している。年初の米金利の上昇局面と違うのは、日銀が3月の金融政策の「点検」に絡んで長期金利の変動幅を拡大するとの観測が高まったのをきっかけに、市場機能が回復している証左だと考えている。だが、国内ではコロナ禍で訪日外国人(インバウンド)需要が消失した影響が大きく、欧米に比べて景気の回復ペースは鈍い。バイデン米政権の追加経済対策の規模や成立時期が明らかになってくれば、市場環境が大きく変わる可能性もあるので注意が必要だ。

「円は年央に107円台も」斎藤裕司・クレディ・アグリコル銀行外国為替部長

日経平均が3万円を上回ったのは、新型コロナウイルスのワクチン接種が世界で広がり、混乱収束への期待が投資家心理を上向かせたためだ。15日は米国や中国が休場で市場参加者が少ない。それもあって円相場には大きな反応はみられないが、リスク選好姿勢の強まりは「低リスク通貨」とされる円の相場の重荷となるだろう。

年央にかけて円相場は1㌦=107~108円を試す展開もあると考えている。国内ではワクチン接種が17日から本格化する見通しで、ワクチン購入に伴う円売り・ドル買いのフローは今後続きそうだ。原油相場も1年ぶりの高値圏まで回復しており、これらが貿易収支の黒字幅を削っていく可能性がある。イエレン米財務長官は財政をふかす構えで米長期金利も上昇しやすい地合いだ。リスク選好局面ではドル売りも出やすいが、これらで円売り圧力が上回ることでじりじりと円安・ドル高が進む可能性があるとみている。

「経済正常化期待で原油高」斎藤和彦・フジトミチーフアナリスト

ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物の指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1年1カ月ぶりに1バレル60㌦台に乗せた。新型コロナウイルスのワクチン普及によって経済活動が正常化し、ガソリンなどの需要が回復するとの期待も買いにつながった。原油同様に、リスク資産の株価も上昇しており、日経平均は節目の3万円を一時上回った。国内原油はニューヨーク原油先物相場の上昇につれて買われているが、日本株の上げ自体の影響は限定的だとみている。

NY原油は期近物として節目を上回った達成感から目先は売りは出やすいだろう。実態をみれば米国のガソリン需要は例年と比べ2割以上少なく、低迷が続いていることも上値を抑えそうだ。短期的には利益確定目的の売りが出て、原油相場は調整局面に入る可能性が高い。

〔日経QUICKニュース(NQN) 秋山文人、尾崎也弥、岡田真知子、神能淳志、藤田心、西野瑞希〕

データで見る日経平均 30年半ぶり3万円台
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