[FT]バイデン氏の電話 待ちわびるイスラエル首相

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 ※ イスラエルは、中東地域における「要石(かなめいし)」だ…。そのことは、地政学的には変わらない…。

 ※ トランプ政権は、明らかに「イスラエル寄り」だった…。

 ※ 全体状況、全体の「構図」は、じわじわと「イスラエルの生存空間」を拡大していく…。そのためには、「パレスチナに、泣いてもらう。」…。そういう風に、見えていた…。

 ※ バイデン政権は、それを「どの程度」修正するつもりなのか…。そこが、注目だ…。

『イスラエルのダノン前国連大使がバイデン米大統領に対し、ネタニヤフ首相に電話をかけるよう呼びかけた。米政権交代を機に、ネタニヤフ氏は明らかにホワイトハウスから遠ざけられているようだ。

ネタニヤフ首相の側近で、イスラエルが占領するヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地の拡大を訴えてきたダノン氏は、バイデン氏が1月20日の大統領就任以降に連絡を取り合った世界の主要リーダーの名前をツイッター上に投稿した。同時に…

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同時にイスラエル首相府の代表電話番号を記載し、「米国の最も緊密な同盟国であるイスラエルの指導者にそろそろ電話したらどうか」とつぶやいた。本紙はこの件についてホワイトハウスにコメントを求めたが、すぐに回答を得られなかった。

歴史的に超党派で親イスラエル

ネタニヤフ氏はこの4年間、外交面で脚光を浴び、イスラエル右派勢力に多大な恩恵を与えたトランプ前大統領との強固な関係を謳歌した。その前の8年間はイラン核合意や入植地の拡大、頓挫したパレスチナとの中東和平交渉などをめぐってオバマ元大統領とたびたび衝突した。米議会は歴史的に超党派で親イスラエル政策を支持してきたが、オバマ政権下で両国関係は試練に見舞われ、ネタニヤフ氏は米共和党にすがった。

ダノン氏のツイッターへの投稿はブッシュ(41代)政権下で米国務長官を務めたジェームズ・ベーカー氏が1990年に行った侮辱的発言を模していた。ベーカー氏は米議会証言でホワイトハウスの電話番号を公表し、中東和平で妥協を拒み続けるイスラエルのシャミール首相(当時)に「真剣に和平を進める気になったら電話するように」と言い放った。

米国務省の元中東問題交渉官アーロン・デービッド・ミラー氏はダノン氏の投稿にツイッターで応答し、「電話は来るだろうし、明確なメッセージもすでに伝わっている」と記した。

バイデン氏のためにならない

ただ、オバマ政権の元高官はバイデン陣営がネタニヤフ氏に迅速に電話をしなかったこと自体、大きな失敗だったと指摘。電話の遅れが長引いていることに民主党の大口献金者らが懸念を抱いていると語った。

「外交的にトランプ前政権時代と同じような立場を回復するのがイスラエルにとって適切なのは間違いない。とはいえ、ささいな私怨を晴らしているように見えるうちに越えてしまう一線もある」。元高官はこう述べ、ネタニヤフ氏に連絡しないのはバイデン氏のためにならないと付け加えた。

バイデン氏はオバマ政権の副大統領時代、自らをシオニスト(ユダヤ国家建設の支持者)と公言し、2014年にはイスラエル大使に託したネタニヤフ首相へのメッセージに「ビビ(同首相の愛称)、あなたが言うことには何一つ賛同できないが、あなたのことは大好きだ」と書き記した。

オバマ時代の高官が何人もホワイトハウスに戻ってきたことで、ネタニヤフ氏がバイデン氏と良好な関係を築く可能性は低くなったとイスラエルの外交官は危惧する。オバマ政権がイランとの核交渉に躍起になっていた時、複数の米政府高官が交渉に反対するネタニヤフ氏を「臆病者」「意気地なし」と呼び、後にケリー米国務長官(当時)が同氏に謝罪したこともある。そのケリー氏は今、気候変動担当の大統領特使だ。

「思い違いだったかどうかは別にして、侮辱された過去を埋め合わせるには相当な努力がいる」。最近引退したイスラエル外交官はこう話す。「現時点では、どちらも相手をすぐに必要としていない。だが、近々その状況は変わるだろう」。

厳しい闘い強いられるネタニヤフ氏

米政権の冷遇を受けてネタニヤフ氏は厳しい闘いを強いられそうだ。トランプ氏は18年5月、ネタニヤフ氏の助言に基づいてイラン核合意を破棄したが、バイデン氏が核合意に復帰すると公約しているからだ。ネタニヤフ氏はまた、再選をかけた厳しい総選挙を3月に控えているが、米政府との絆を強調するために米政府高官を呼んで派手式典を開くこともできない。

トランプ氏の場合、大統領就任から3日以内にネタニヤフ氏との電話会談を済ませ、その後も頻繁に連絡を取り合った。トランプ氏は再三、イスラエルに配慮した決定を下した。米国大使館をエルサレムに移転したり、占領下のヨルダン川西岸地区の3割をイスラエルに併合するとした中東和平案を発表したりした。

オバマ氏は大統領1期目の就任初日に当時のオルメルト首相に電話した。「オバマはビビのことが嫌いだったが、2期目も就任後数日内に電話をかけた。結局、イスラエルは緊密な同盟国であり続けるということだ」とオバマ政権の元高官は述べた。

By Mehul Srivastava and Katrina Manson

(2021年2月11日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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