首相、緊急事態「再々宣言」リスク警戒 病床なお逼迫

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『政府が新型コロナウイルス対応で緊急事態宣言の解除を見送るのは、安易に解除して緊急事態の「再々宣言」に追い込まれるリスクを警戒したためだ。病床の逼迫が続く状況を踏まえ、なお感染を徹底的に抑える必要があると判断した。今夏に予定する東京五輪への影響も考慮した。

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宣言は東京など10都府県に3月7日まで発令している。新規感染者数など6つの指標を基に4段階にわける感染状況で最も深刻な「ステージ4」に相当する場合は発令を継続する。

政府は当初、新型コロナ対策を定めた改正特別措置法を13日に施行するのに合わせた一部解除を探っていた。法改正で宣言時と同等の対策を知事に認める「まん延防止等重点措置」を新設し、解除した地域に適用する案があった。

まん延防止措置は知事が飲食店に営業時間の短縮要請を出す際、従わなければより強い「命令」を出せる。違反した事業者には過料を科すことができる。宣言を解除しても感染防止の実効性を一定程度保てるとの期待があった。

提案していたのは新型コロナ対策を担当する西村康稔経済財政・再生相だ。菅義偉首相は2月上旬から、まん延防止措置を活用する案は「わかりづらい」と周囲に繰り返し…

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菅義偉首相は2月上旬から、まん延防止措置を活用する案は「わかりづらい」と周囲に繰り返し指摘した。西村氏にも意向を直接伝えた。

いくら新たな措置を講じるといっても、緊急事態を解除した地域では新型コロナ対策が緩んでしまう可能性を危惧したからだった。これを機に一部先行解除案は徐々にしぼんでいった。

足元の感染状況は新規感染者数が年末年始に比べて減少傾向になったものの、病床使用率は引き続き高い水準にある。

9日時点の病床全体の使用率は10都府県のうち7都府県で50%を超えた。「ステージ4」に相当する水準だ。残る神奈川、岐阜、京都の3府県も30~40%台と下がりきっていない。重症者用の病床に絞って分析すると東京は100%超、大阪や兵庫が50%超となる。

この段階で解除を急いで感染者数が増加に転じれば、一時に比べて和らいだ医療崩壊の懸念が再び強まりかねない。

宣言解除が可能な感染状況を分析する東大の仲田泰祐・准教授(経済学)らは、東京都で1日の新規感染者数が250人という水準を提唱する。解除しても感染症対策と経済活動のバランスがとれると主張する。都の11日の新規感染者数は434人だった。

日本医師会の中川俊男会長は仲田氏らの分析に言及したうえで「第4波が来ないレベルまで徹底的に感染者を抑え込むべきだ」と現時点の解除に否定的な考えを示した。

政府は病床の状況をみつつ、3月7日の宣言期限を待たない前倒し解除を引き続き検討する。17日にも開始する医療従事者へのワクチン先行接種の進捗状況も確認し、確実に宣言解除できる時期を探る。

解除見送りは東京五輪開催への影響も勘案した。東京五輪開催の決定権を握る国際オリンピック委員会(IOC)は宣言期限の直後となる3月10~12日に総会を開く。その前に全面解除するのが最優先となる。

観客の有無など開催形式を決める3~4月を感染状況が落ち着いた環境で迎える必要もある。

宣言解除で感染拡大を再び引き起こし、収束に向けた展望が見えなければ、世論が開催慎重論へ一段と傾く恐れがある。

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詫摩佳代
東京都立大学 法学部教授
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今後の展望 緊急事態宣言解除後に、再度、緊急事態宣言発令とならないために、医療の体制や我々の生活様式はどうあるべきか。この点が緊急事態宣言下で徹底的に議論され、実行に向けた布石が敷かれるべきでしたが、現実にはそうなっていないのが残念です。新型コロナの重症者の受け入れ先として、国立大学病院は民間病院に比べて、この時点に至ってもまだ十分に活用されていません。宣言解除後に我々が日常を取り戻しつつ、感染拡大を抑えるにはどういった行動様式が必要なのでしょう?宣言解除後の持続可能な体制に向けた整備が迅速に行われるべきです。
2021年2月12日 7:51いいね
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矢野寿彦
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説 宣言を解除したあと、蔓延防止措置を続けながら制限を徐々に緩めるやり方は実効性に疑問があります。今回の判断は賢明だと思います。
ただ、昨日の専門家会合では減少傾向が下げ止まっているとの見方もでました。東京で3月1週目までに1日の感染者数が250人にまで本当に減るか、まったく見通せません。足元の負担にどこまで辛抱できるか。正解のない難しい政策判断が続きます。
2021年2月12日 9:12 (2021年2月12日 10:45更新)
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