中東欧、対中外交に温度差 「一帯一路」投資進まず

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『【ウィーン=細川倫太郎、北京=羽田野主】中東欧諸国で中国に対する外交姿勢の温度差が広がっている。中国からの投資が想定と比べて進んでいないことや安全保障の懸念からポーランドやチェコは中国との関係を見直している。一方、強権的な政治姿勢で欧州連合(EU)との関係が悪化するハンガリーは親中姿勢を鮮明にしている。

中国と中東欧17カ国は9日、経済協力を話し合う首脳会議「17+1」をオンラインで開いた。もとも…

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もともと2020年春に北京で開く予定だったが新型コロナウイルスの流行で実現しなかったため2年ぶりの開催だった。

中国側は今回、習近平(シー・ジンピン)国家主席が出席し、コロナのワクチンの支援を表明した。2年前の出席者だった李克強(リー・クォーチャン)首相から「格上げ」し、中東欧との関係強化をアピールした。

一方、中東欧の首脳からは中国への不満が見え隠れした。

「(中国と中東欧の経済関係は)不十分だ」。ポーランドのドゥダ大統領は中国製品の輸入が多い現状に不満を示した。「バランスの取れた貿易関係が経済回復をもたらす」と話し、農産物などの対中輸出を増やすことが重要と訴えた。

南ドイツ新聞によると、エストニアとリトアニアは、今回の会議への首脳の参加を見送った。国際通貨基金(IMF)によると、中国のエストニアへのストックベースの直接投資額(香港など除く大陸分)は19年時点で3600万㌦(約37億円)にとどまる。リトアニアは同900万㌦だ。

第三国経由など統計に表れない投資額が存在するとはいえ、中国の投資は限定的で恩恵の実感は乏しい。両国とも中国によるウイグル族への弾圧など人権侵害を問題視しており、距離を置き始めているとの見方が強い。

中東欧の「中国熱」が最も高まったのは、首脳会議が始まった12年だ。中国は中東欧を広域経済圏構想「一帯一路」の欧州側の玄関口と位置づけ、影響力拡大を目指してきた。道路や港湾、鉄道網の整備など中国による大規模なインフラ投資計画を打ち出してきたが、実際には計画は思惑通り進んでいない。

日本国際問題研究所の集計によると、10年から18年までの累計額で、ハンガリーやチェコ、スロバキアなど中東欧7ヵ国への中国の直接投資は、中国による対欧州の直接投資のなかで約1.5%程度にとどまる。

中国離れのもう一つの原因が安全保障上の懸念だ。高速通信規格「5G」の安全対策を巡ってはポーランドやルーマニアが米国と協力することで合意。華為技術(ファーウェイ)機器の排除に乗り出している。ポーランドは19年にファーウェイ幹部をスパイ容疑で逮捕した。

チェコも懸念を強める。ロイター通信によると、チェコは1月、原子力発電所の建設の入札に中国企業の参加を認めないことで与野党が合意した。同国は「中国は、政府を標的にして経済や技術でスパイを行っている」と情報漏洩への警戒を強める。20年夏には同国上院議長が国交のない台湾を訪問し、中国との関係が悪化した。

一方、メディア規制などを巡ってEUとの関係が悪化しているハンガリーは親中外交姿勢を強める。「中国の支援に感謝している」。右派のポピュリズム(大衆迎合主義)政権を率いるハンガリーのオルバン首相は9日、こう強調した。同国はEU加盟国として初めて中国医薬集団(シノファーム)のワクチンを承認した。強権批判があるセルビアも中国から100万回分のワクチンを調達するなど、中国に熱視線を注ぐ。

米国やロシアなど大国との関係も中国との向き合い方を複雑にしている。ポーランドなど中東欧のなかには米国に安全保障を依存している国も少なくない。欧州メディアは今回の会議は「中東欧の分断の拡大を浮き彫りにした」と指摘した。

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