パナソニック、マスク氏との同床異夢

パナソニック、マスク氏との同床異夢
苦闘パナソニック(2)
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『米テスラの電気自動車(EV)工場があるカリフォルニア州フリーモント近く。真新しい電池の製造装置が港で続々と陸揚げされる。電池の内製化に向け、テスラが購入した特注品だ。「ベイエリアに電池の自社工場を造る」。1月27日、テスラの決算会見で最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクは年内の生産開始に自信をみせた。

【前回記事】
このままでは勝てない パナソニック、持ち株会社化へ

2020年秋、マスクが電池の内製化を発表する少し前。「電池を内製したい。何か提案はないか」。…

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パナソニックは突然打診を受けた。パナソニック社長の津賀一宏は「そうですか」と冷静に振るまったが即座にテスラが内製する電池と同タイプの開発を指示した。

「単独でなんてつくれへんやろ」。パナソニック幹部はこう漏らした。テスラ事業はようやく21年3月期に黒字化を見込み、持ち株会社化を機に電池事業を「基幹事業」に引き上げる。「(テスラは)ええ加減にせえよ」(幹部)と言いつつも新型電池開発に追随するほかない。

マスクは内製化後もパナソニックなどから電池購入を続けると話す一方、「調達価格には上限がある」とくぎを刺す。テスラは2万5000ドル(約260万円)のEV投入を目指す。生産コストの3割を占める電池価格の値下げ圧力は増す。

これまでも苦労の連続だった。14年に米ネバダ州の巨大電池工場「ギガファクトリー1」の共同建設で合意し、日本人技術者300~400人が現地に飛んだ。工場は山々が囲む乾燥地帯。ホテルと工場を往復する日々を重ね、4年かけて量産を軌道に乗せた。津賀は「テスラは運命共同体のパートナー」と公言し年1回は渡米して工場などでマスクと顔を合わせてきた。だが最初からマスクとは同床異夢だったのかもしれない。

10年秋、テスラに出資する契約調印式。マスクはパナソニック幹部を自ら立ち上げた米宇宙開発のスペースXに招いた。「宇宙のサプライチェーンをつくるんだ」。EVの話題をよそにロケット打ち上げに成功したビデオを見せながらうれしそうに話した。「なんやそれ」。報告を聞いた当時の社長、大坪文雄は周囲にこぼした。

「次の社長は電池にも詳しい」。20年11月の社長交代発表の直前、津賀は車載事業担当の楠見雄規への社長交代を知らせる英文メールをマスクに送った。だがマスクから返ってきたのは親指を立てた「いいね!」マークだけだった。(敬称略)