[FT]南ア、英アストラゼネカ製ワクチンの接種停止へ

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『南アフリカは英オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種を中止する方向で動いている。小規模な予備研究により、南アで発見された変異ウイルスが引き起こす軽症や中等症に対して限定的な効果しか確認されなかったことが明らかになったのを受けての措置だ。

南アのムキゼ保健相は7日、重症者などについてさらに詳しく効果を調べるために、2月中に開始される予定だったアスト…

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南アフリカは英オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカが開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種を中止する方向で動いている。小規模な予備研究により、南アで発見された変異ウイルスが引き起こす軽症や中等症に対して限定的な効果しか確認されなかったことが明らかになったのを受けての措置だ。

南アフリカ政府は今月、医療従事者へのアストラゼネカのワクチン接種を開始する計画だった=AP
南アのムキゼ保健相は7日、重症者などについてさらに詳しく効果を調べるために、2月中に開始される予定だったアストラゼネカ製ワクチンの接種を「科学者から必要な対応について明確な指示があるまで」停止すると表明した。

フィナンシャル・タイムズ(FT)が6日の第一報で伝えた研究結果によると、オックスフォード大と南アのウィッツ大学などが実施した小規模な臨床試験(治験)で、アストラゼネカ製ワクチンは南アの変異ウイルスに感染した軽症者について低い効果しかなかったことが示された。この論文はまだ専門家の検証を受けておらず、同社製ワクチンの重症化を防ぐ効果については検証していない。

南ア政府はインドのワクチン生産大手、セラム・インスティチュート・オブ・インディアが生産したアストラゼネカ製ワクチン150万回分を使い、最前線の医療従事者への接種に乗り出す計画を進めていた。今後はすでに発注している他社製ワクチンの供給を加速する。

南ア政府の新型コロナに関する諮問委員会のサリム・アブドル・カリム委員長は「(アストラゼネカ製ワクチンの供給を)引き続き進めるが、段階的なやり方で賢明に進めなくてはならない」と語った。

変異ウイルスによるワクチンへの影響把握を急ぐ
製薬メーカーや研究者は南ア型が一部ワクチンの効果をどれほど低下させるのかを把握しようと急いでいる。南ア型は同国内でまん延し、世界の他の地域でも同様の変異ウイルスが確認されているからだ。

米バイオ製薬ノババックスと米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)がそれぞれ開発したワクチンの最近の治験では、南ア型は他の型よりも予防効果が低くなることが示された。もっとも、重症者については全ての変異ウイルスで予防効果が確認された。

J&Jの南アでの治験を取り仕切っているグレンダ・グレイ氏は、同社の1回接種のワクチンは南ア型の重症者について強力な予防効果があることが示されたため、南ア政府は同社製ワクチンの医療従事者への接種を加速する計画だと明らかにした。

南ア政府はこれまでにJ&J製ワクチンを900万回分、米製薬大手ファイザー製を2000万回分確保している。ムキゼ氏は「今後数週間は両社のワクチンを医療従事者に接種する」と語った。

南アの予備研究を率いたシャビル・マディ氏は、J&J製ワクチンはアストラゼネカ製と構造が似ているため、アストラゼネカ製にも重症化を防ぐ効果があるとの期待が高まっていると話した。

南アでは限られたサンプル数
アストラゼネカは6日、南アの研究の主な対象者は若く健康な成人でサンプル数も少ないため、これは限定的なものにすぎないと強調した。この研究では死者や入院者は記録されておらず、対象者は2000人強で年齢の中央値は31歳だった。

アストラゼネカは自社製ワクチンには南ア型の重症化を防ぐ効果があると確信していると強調した。南ア型には「E484K」という変異が含まれており、これが抗体を無力化しているとみられる。この変異はブラジルや英国の変異ウイルスの一部でも確認されている。

同社はさらに、T細胞など他の免疫反応がこの変異ウイルスが引き起こす重症化を防いでいる可能性があるとの考えも示した。南アの研究はこの反応を測定するのが目的ではなく、データもなかった。だがアストラゼネカによると、初期データではこうした反応が南ア型に有効であることが示された。

オックスフォード大とアストラゼネカは必要なら今年秋の利用を視野に入れ、ワクチンの改良に乗り出す方針を明らかにした。南ア政府のワクチン供給中止の判断について7日にオックスフォード大とアストラゼネカにコメントを求めたが、まだ回答を受け取っていない。

世界保健機関(WHO)はFTの取材に対し、南アの治験はサンプル数が少なく、参加者の重症化リスクも低いため、軽症者と重症者の予防効果を見極めることが重要だと語った。

WHOは「こうした結果から学べることは、新型コロナウイルスや既存ワクチンの効果を弱める変異ウイルスのまん延を抑えて遅らせるために、できることは何でもする必要があるという点だ」と強調した。「製薬メーカーがウイルスの進化に対応し、今後の2度目の接種では最新の変異ウイルスを考慮する必要があることも明らかになりつつあるようだ」と指摘した。

By Joseph Cotterill and Donato Paolo Mancini

(2021年2月8日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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