スー・チー派、打つ手乏しく 国軍、再選挙にらみ弾圧

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『【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーで起きたクーデターを巡り、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)の苦境が深まっている。軍はNLDの弱体化を狙い、弾圧を強めている。スー・チー氏の拘束は長期化しそうで、同氏に代わるリーダー不在のNLDは対抗策に乏しいのが実情だ。

国軍は1日未明の政変実行後、連邦議会招集のため首都ネピドーに集まっていたNLD議員を宿舎で軟禁した。その後、大半の議員を解放…

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その後、大半の議員を解放したが、NLDの報道担当によるとスー・チー氏は現在もネピドーの自宅に軟禁されている。同氏の右腕であるウィン・ミン大統領も公邸から別の家屋に移され、軟禁が続いているという。

NLDによると、当局は2日以降、第2の都市マンダレーなどの党地方支部を捜索し、パソコンや書類を押収している。4日深夜には同党の長老格であるウィン・テイン氏も最大都市ヤンゴンの親族宅で身柄を押さえられ、ネピドーへ連行された。

国軍はNLD幹部の拘束の「正当化」に躍起だ。警察を動かし、スー・チー氏を違法に無線機を入手した輸出入法違反、ウィン・ミン氏は新型コロナウイルス対策の集会制限に違反した疑いで逮捕し、裁判所は15日までの勾留を認めた。

国連安全保障理事会は4日の報道声明で、スー・チー氏らの拘束に「深い懸念」を表明し、即時解放を求めた。バイデン米大統領も同日の演説で、スー・チー氏の解放を求めたうえで、国軍に対し軍事クーデターの「責任を取らせる」と改めて警告した。

ただ目先の勾留期限を迎えても、スー・チー氏が解放されるとの見方は少ない。政策研究大学院大学の工藤年博教授は「国軍のやり方はかつての軍事政権と同じ。短期間で自由にするとは考えにくい」とみる。

スー・チー氏は1988年の大規模な民主化要求デモで政治の表舞台に登場し、同年、NLDを結成した。だが89年には国家防御法違反で逮捕され、自宅軟禁された。スー・チー氏不在で臨んだ90年の総選挙でNLDは定数の8割超を得て圧勝したものの、当時の軍事政権は選挙結果を無視して居座った。

以来、2010年11月に解放されるまでの21年間に、スー・チー氏は3度、計約15年間にわたって自宅軟禁が続いた。09年5月にヤンゴンの自宅に米国人男性が侵入した事件でも有罪判決を受け、軟禁が1年半延長された。解放されたのは民政移管に向けて実施した10年の総選挙の直後だった。国民人気の高い同氏を民意から遠ざけるため、様々な口実で行動や発言の自由を奪うのは、国軍の常とう手段だ。

国軍総司令官室によると、ミン・アウン・フライン国軍総司令官は2日の経済界との会合で、全権掌握の根拠とする非常事態宣言の解除後、6カ月以内に「自由で公正な」総選挙を実施すると発言した。ただし、スー・チー氏やNLDが従来のように参加できる保証はない。

輸出入法違反により、スー・チー氏は最高で禁錮3年の有罪判決を受ける恐れがある。憲法の規定では、有罪となった者は総選挙に立候補できない。NLDとその主要メンバーについても、政党登録法などを恣意的に改正し、選挙参加を妨害する可能性は否定できない。

リーダーのあり過ぎるカリスマ性もNLDにとっての足かせだ。75歳のスー・チー氏は党内では絶対的な存在で、後継者がみえないとかねて指摘されてきた。同氏さえ隔離しておけばNLDは次第に弱体化する、という計算は国軍にも働いているとみられる。

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