米ロ、新START5年延長で正式合意 軍縮機運つなぎ留め、中国の参加棚上げ

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『【ワシントン=中村亮】米ロ両政府は3日、両国間に残る唯一の核軍縮の枠組みである新戦略兵器削減条約(新START)を5年間延長することで正式合意したと発表した。核軍縮の機運をつなぎ留める効果が期待できるが、今後も中国の軍縮参加は見込めず、米中ロの軍拡競争の懸念は拭えない。

ブリンケン米国務長官は3日の声明で、新START延長を通じ「米国や同盟国、友好国、世界がより安全になる」と成果を訴えた。ロシア外務省も「最大の核保有国として米ロの特別な責任を踏まえ、重要な決定がされた」と強調した。米ロは核弾頭保有数が合計で世界の9割を占める核大国だ。

新STARTは戦略核弾頭に加え、核弾頭を攻撃対象に向けて運ぶ大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の配備数を制限する。査察のルールを詳細に定めて核戦力に関する透明性を高める役割も担う。2011年に発効し、今月5日が期限だった。失効すれば米ロの核軍縮の枠組みが1972年以降で初めて消滅していた。

新START延長は2つの課題を棚上げした。一つが中国の参加だ。米国防総省は中国の核弾頭保有数が倍増するとの見通しを表明。トランプ前米政権は米ロに限った核軍縮条約は時代遅れだとして中国を含む新しい枠組みを探った。しかし中国は参加を一貫して拒否。トランプ政権は20年夏ごろにロシアとの2国間交渉にカジを切り、バイデン政権は新STARTの単純延長に応じた。

ブリンケン氏は声明で今後の5年間の課題として「近代的で拡大する中国の核戦力による危険を減らす軍縮を目指す」と明記した。だが中国外務省の趙立堅副報道局長は1月27日の記者会見で「中国の立場は一貫して明確だ」と述べ、核軍縮の枠組みには入らないと改めて強調した。その理由について「米ロの核兵器の数量は全世界の90%以上を占めている」と指摘。中国の核戦力は米ロに見劣りするとの見方を示した。

米国は新STARTの制限対象の拡大も先送りした。新STARTは長い射程の核戦力を制限対象とするが、短・中距離の非戦略兵器は対象外だ。米国はロシアが短・中距離の核戦力を増強し、同盟関係にある欧州の脅威になっていると懸念してきた。米議会では新STARTを批准する際、将来の枠組みでは非戦略兵器を制限対象にすべきだと政府に求めていた。

軍拡競争の火種は他にも多数ある。19年8月には米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効し、米国は東アジアで地上配備型の中距離ミサイルの配備を探る。トランプ政権は空から相互査察を定めた領空開放(オープンスカイ)条約も離脱。プライス国務省報道官は2日の記者会見で「ロシアの条約違反は続いている」との見方を示し、早期復帰に否定的な見方を示した。

中東ではイランが15年の核合意の義務履行を相次いで停止している。バイデン政権はイラン核合意への復帰を目指すが、双方の相互不信が根強く交渉に時間がかかるのは確実だ。北朝鮮も核・ミサイル開発を推進する方針を堅持している。

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中満泉
国際連合 事務次長・軍縮担当上級代表
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今後の展望 国連はこの延長正式合意を心から歓迎します。8月に予定されているNPT再検討会議への好影響も期待します。延長期間に、現在世界の90%の核弾頭を保有する米ロ間でさらなる削減交渉を進めることは、他の核保有国を核軍縮交渉に引き込むためにも重要。世界は多極化が進み核拡散の危険も増大し、サイバー・宇宙空間も含め科学技術の進展がいわゆる戦略的安定に影響を及ぼす状況が近づいています。5年間を活用し、軍縮・不拡散・軍備管理への新たなビジョンを議論することが必要だと考えます。新たなビジョンはあらゆるタイプの核兵器や戦略的安定に影響を及ぼしかねない兵器、そしてすべての核兵器保有国をカバーするものであってほしい。
2021年2月4日 2:28いいね
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