[FT]ミャンマー政変、見過ごされた兆候

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 ※ 2、3回読んだが、何が「兆候」だったのかは、書かれていないようだ…。

 ※ ただ、「見誤った」という話しが語られているだけのようだ…。

『ミャンマーでは数日来、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相の率いる文民政権を国軍がクーデターで倒そうとする危険な兆候が強まっていた。だが、同国情勢を専門的に追う外交官やアナリストなどの一部はそれを軽視していた。

新型コロナウイルス対策と経済再生が喫緊の課題であり、政府も国軍もそれを最優先しているとみられていた。国軍幹部の多くはビジネスの世界で大きな権益を握っている。

国軍と5年前に発足した政権の…

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国軍と5年前に発足した政権の間では緊張が高まっていたが、スー・チー氏は軍幹部の盟友とは言えないまでも暗黙の味方と広く受け止められていた。同氏は2019年、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャに対する国軍の弾圧に関して、国際司法裁判所(ICJ)に出廷し、国軍を擁護している。

だが1日の朝までにはその物語は崩れ去っていた。国軍は20年の総選挙に「ひどい不正」があったとして、スー・チー氏と同氏の政権与党・国民民主連盟(NLD)所属の中央・地方政府幹部ら数十人を拘束し、実権を掌握した。

1日のクーデターは多くの識者を驚かせると同時に、スー・チー氏の役割を16年の政権掌握以前の野党指導者時代に一気に逆戻りさせた。全権を握る軍と対峙して苦闘する民主化指導者に戻ったのだ。

繰り返される見誤り

「国際社会は何度もミャンマーでの動きを見誤ってきた」と語るのは、英国際戦略研究所(IISS)の東南アジア専門家アーロン・コネリー氏だ。

「私たちは2000年代末、国軍は民政移管するつもりなどないと見誤っていた。スー・チーとその独裁的傾向、少数民族に対する姿勢についても見誤った。今度もまた見誤っていたようだ」

スー・チー氏は1日、NLDの声明を通じて支持者に「クーデターを受け入れない」よう求め、抗議のために街頭に出るよう呼びかけた。

ほぼ50年に及んだ軍政と、スー・チー氏自身の暗い過去の記憶をよみがえらせる事態だ。スー・チー氏は、1962年にネ・ウィン将軍がクーデターを起こして以来、初めて民主的な選挙で選ばれたにリーダーとなるまで、長い間政治犯として自宅軟禁されていた。

「国際社会は以前から文民政権と国軍の緊張関係を認識していた」と話すのは、シンガポールのISEASユソフ・イサーク研究所でミャンマー研究プログラムの共同コーディネーターを務めるモー・トゥザー氏だ。「しかし、気候変動やコロナ禍、経済再生といった問題が重なる状況が、(軍事クーデターの)歯止めになっていると一般的に受け止められていた」

「残念ながら、そんな理屈はここでは通用しないようだ」と同氏は言う。

スー・チー政権の1期目は、国軍がロヒンギャを弾圧するなかで、同氏がそれを非難しないことに批判が集まり、国際的にも議論の的となった。その間にも、政府と軍部との摩擦は解消されることなく、むしろ悪化していた。

NLDは5年前、08年制定の憲法に基づいて実施された選挙で政権を獲得した。同憲法では軍が文民政権を制御できるよう、主要3閣僚を指名する権利と国会議席の4分の1を国軍に与えている。スー・チー政権は憲法改正を目指したが、改憲には議席の75%の賛成が必要なため、その動きは頓挫した。

バンコクのミャンマー大使館の前でミャンマー国軍によるクーデターに抗議する人々。タイ政府は「内政問題」との姿勢を取っている=ロイター

国軍系の野党・連邦団結発展党(USDP)は20年11月に行われた選挙のキャンペーン中から大規模な選挙不正が行われていると訴え、選挙結果の受け入れを拒否した。選挙の対象になった議席の開票結果はNLDの圧勝だった。

先週、国軍がクーデターの可能性を排除しなかったことで、ミャンマー国内の一部では警戒感が高まった。西側諸国の大使館や国連は選挙結果を変えようとする試みはどんな形であろうとも認められないと警告した。

1月30日には、ミン・アウン・フライン国軍総司令官が軍は憲法に従うと述べ、前日よりは姿勢を軟化させたかにみえた。

だが週明けの1日、その発言の真意が明らかになった。国軍は、憲法417条の規定に基づくとして命令を発した。同条は「連邦の崩壊または国家の団結の崩壊」につながりうる状況下では、大統領が1年間の非常事態宣言を発令できると定めている。

国軍は再度の総選挙を行い、勝利した政党に政権を移譲するとしている。

オランダの元駐ミャンマー大使で、アナン元国連事務総長が委員長を務めるラカイン州諮問委員会のメンバーであるレティシア・ファン・デン・アッサム氏は、「この2日間、対向車両が迫り来るのを目の当たりにするのは恐ろしいことだった」と話す。「しかし、30日の声明を見れば、そのなかで予告されていた」

バイデン新政権を含め、国際社会は1日、インドと中国に挟まれた戦略的要衝の地における民主化が突然脱線するという事態に対応を迫られた。米国、欧州連合(EU)、国連、オーストラリアが相次いでクーデターへの非難を表明した。

それに対して、アジア諸国の反応は抑制的だった。ミャンマー国軍と軍事的関係の深い隣国タイでは、プラウィット副首相がクーデターを「内政問題」と評した。

インドでは、スー・チー氏の盟友であるモディ首相がミャンマーの民政移管を「堅く」支持すると述べ、法の支配と民主的な手続きが守られなければならないとした。

中国外務省は、ミャンマーは「友好的な隣国」であり、「憲法と法律の枠組みの下で状況に対処し、政治的・社会的安定を維持する」ことを願うとした。

だが、ミャンマー国軍が全権を掌握する一方で、多くのアナリストは軍政に対する国際社会の風当たりは以前の弾圧の時よりも強くなるとみている。

「もはや1962年でも1988年でもない」と前出のトゥザー氏は言う。「自己の行動を正当化しようとする軍事政権は、世界から政治的、経済的に強い逆風を受けるだろう」

By John Reed

(2021年2月1日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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