ロシア経済5年ぶりマイナス成長、抗議拡大が回復に影

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 ※ 日本経済のGDP予測は、大体、「-5~-5.5%」というものが多い…。

『【モスクワ=小川知世】ロシア経済が低迷からの脱却が見通せなくなっている。2020年は5年ぶりのマイナス成長だった。大幅な悪化は回避し、政権は国主導で回復を目指すものの、消費の回復は鈍い。反体制派ナワリヌイ氏の拘束を機に広がった抗議の取り締まりに欧米は非難を強めており、対ロ制裁強化への懸念も逆風となっている。

連邦統計局が1日に発表した20年の実質国内総生産(GDP)は前年比3.1%減だった。新型コ…

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新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の制限や原油安が響いた。マイナス成長はウクライナ問題をめぐる欧米の対ロ制裁の影響が出た15年(同2%減)以来となった。

減少幅は経済発展省が予測した3.8%減より小さかった。国際通貨基金(IMF)が10%のマイナス成長を見込む英国など欧州に比べても打撃は限定的だった。悪影響を受けやすいサービス業や中小企業が経済に占める割合が小さく、軍需、資源産業などへの制限措置が厳しくなかったことが理由とされている。

子育て世帯や雇用対策に重点を置いた支援策や、最大の貿易相手国である中国の経済回復も寄与した。プーチン大統領は「ほかの先進国より経済の落ち込みは少ない」と成果を強調していた。

21年の実質GDPは経済発展省が3.3%増、IMFが3%増と予測する。政権はインフラ投資などを定めた30年までの国家事業を軸に、国主導で経済回復を目指す構えだ。プーチン氏は1月27日の講演で「さらなる経済発展は主に予算による刺激に基づくだろう」と述べた。

プーチン氏は国家主導で経済回復を目指す構えを示した(1月27日、モスクワ)=ロシア大統領府提供・ロイター

一方で財政の安定を優先させる姿勢も崩していない。連邦予算では21年にGDP比2.4%、22~23年も1%台の財政赤字を計画する。3年ぶりの財政赤字に転じた20年も同3.8%に抑えた。海外での資金調達を困難にする制裁強化や原油安など外部的な不安要因に備える狙いとみられる。

実質所得は20年に前年比3.5%減とコロナ前から低迷が長期化する。コロナ対策は縮小が予想され、個人消費の大幅な回復は見通せない。ロシアのシンクタンク政治技術センターのニキータ・マスレニコフ氏は「財政政策による効果は限られる。民間投資が伸びない構造が変わらなければ経済停滞が続く」と指摘する。

制裁強化への懸念が外国からの投資を減少させることも考えられる。ナワリヌイ氏の拘束や、釈放を訴える抗議デモの参加者の大量拘束を受け、欧米は批判を強めている。欧州連合(EU)は対ロ制裁の強化を示唆し、ナワリヌイ氏の陣営は政権関係者35人に制裁を科すようにバイデン米大統領に求めた。

ナワリヌイ氏の毒殺未遂疑惑やロシアに厳しい姿勢を示すバイデン政権の発足などをにらみ、金融市場でのロシア経済への信頼は低下していた。中銀によると、20年の資本流出は478億ドル(約5兆円)と前年から倍増。企業への外国からの直接投資は14億ドルと20分の1に急減した。

経済低迷への不満も背景に抗議が広がった(1月31日、サンクトペテルブルク)=AP

経済低迷による生活の悪化は抗議拡大の一因でもある。1月末の抗議デモに参加した女性(18)は「お金が国民に行き渡らず、貧しい人々が置き去りにされている」と述べ、政権周辺が利益を独占していると不満をあらわにした。9月に下院選、24年に次期大統領選を予定し、政権とって支持確保は急務となる。プーチン氏は経済面でも難題に直面している。