米市場の混乱に身構え 国内勢、持ち高を縮小

米市場の混乱に身構え 国内勢、持ち高を縮小
証券部 二瓶悟
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD2965J0Z20C21A1000000/

『29日の東京株式市場で日経平均株価は連日で大きく下落した。前日まで9日連続で上昇と下落を繰り返してきたが様相が変わりつつある。高値警戒感を抱いていた投資家が、米国の市場混乱をきっかけに持ち高を減らす動きがみられる。押し目買いの意欲はあるものの、買い向かう勇気はないというのがいまの投資家心理だ。 

日経平均は連日400円以上下落し、終値で1月7日以来となる2万8000円台を割り込んだ。東証1部の値…

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東証1部の値下がり銘柄は全体の8割を超え、数としては今年最多。前日の下げ時には5割程度にとどまっていたが、さらに幅広い銘柄に売りが広がった形だ。

「驚きはない」。リブラ・インベストメンツの佐久間康郎代表は2日で1000円近くとなった足元の急落を冷静に見ていた。運用資産に占める現金の比率を高め、一部の長期保有銘柄を除いてポジション(持ち高)を手じまった。コモンズ投信の伊井哲朗社長も現金比率を足元で1割程度まで増やしているという。 

投資家が急落前に冷静に対応し、日本株から距離を取り始めたのは、これまで相場上昇をけん引してきた要因が消化されていることにある。

29日には半導体関連株に売りが出た。東京エレクトロンは前日比5%安、信越化学工業は3%下落した。昨年11月の米大統領選後、ワクチン開発の進展や中国景気の回復など好材料が相次いでいた。決算が発表されて業績動向が株価に織り込まれた結果「上値を追う材料がなくなった」(アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之取締役)。

米国市場で起きた波乱の影響を指摘する声もある。オンライン掲示板「レディット」への個人投資家の書き込みによってゲームストップ株など中小型株が乱高下。投機的な売買に対してネット証券会社が取引制限に踏み切るなど波紋が広がっている。

米報道によると、こうした銘柄の売りに回っていたファンド勢が多額の損失を負ったといい「レディットショック」などと呼ばれている。損を負ったファンドは、投資家からの解約依頼に応じて保有銘柄を売却する可能性がある。ポジション解消が他の投資家に波及し、連鎖的な売りにつながりかねないという。アリアンツの寺尾氏は「リスク回避姿勢が強まっている」と指摘する。

米市場混乱への警戒から多くの機関投資家は売買を手控えている。それでもコモンズ投信の伊井氏は「エムスリーなど、今後の成長期待の高い銘柄は下値で買っている」と話す。今週に入り、代表的な日本企業に投資する上場投資信託(ETF)「JPモルガンベータビルダーズ日本株ETF」には1000億円を超える資金が流入するなど、市場参加者がみな日本株を減らしているのではなく、急落リスクが高まったわけではない。

現時点でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が金融緩和の出口論を封印し、相場を下支えする構図は続くという共通認識がある。こうした認識を背景に、国内機関投資家は、値下がりすれば押し目買いを入れる姿勢を見せている。市場は上値追いから転換し、過熱感のない落ち着きどころを探る局面に入ったようだ。(二瓶悟)