[FT]世界の資金調達額、年頭3週間で4000億ドルに

[FT]世界の資金調達額、年頭3週間で4000億ドルに
金融緩和と財政拡大のもと、株式、債券の発行が歴史的水準に
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『経済の破綻を防ごうと世界中の政府や中央銀行が総動員する景気刺激策が世界の資本市場に波及する中で、企業は2021年の最初の3週間で債券、株式を合わせて、4000億ドル(約41兆6000億円)の資金を調達した。

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金融情報会社リフィニティブのデータをフィナンシャル・タイムズが分析したところ、この額は、世界の債券と株式市場で年初の3週間に調達された資金額としては、過去20年間の平均を約1700億ドル上回り…

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金融情報会社リフィニティブのデータをフィナンシャル・タイムズが分析したところ、この額は、世界の債券と株式市場で年初の3週間に調達された資金額としては、過去20年間の平均を約1700億ドル上回り、最大級だったことが分かった。

この資金調達ブームは、新型コロナウイルスが新しい変異種も含め猛威をふるい続け、世界経済に深刻な打撃を与えている一方で、異例の公的な経済介入がいかに金融市場の活況を後押ししてきたかを浮き彫りにしている。

欧州諸国や米国が冬季のコロナウイルス感染の大波への対応に追われる中で、企業の債券市場や株式市場は揺らぐ気配を見せていない。企業の経営者は、過去最低水準に貼り付く金利と株価の上昇を事業の拡大、株主基盤の再編、あるいは単に資産を現金化するチャンスとして利用している。

市場に忘れられたコロナ危機

「マーケットにとって重要なのは、各国政府の財政政策と中銀の金融政策だけ」。ダイヤモンド・ヒル・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジョン・マクレーン氏はこう話す。そして「市場の価格形成は、新型コロナは関係なしといった状態だ」という。

企業が年初から1月22日までに債券市場で調達した額は3370億ドル。新規株式公開(I P O)やセカンダリー市場(流通市場)で調達した資金も640億ドルと過去最高を記録した。リフィニティブのデータによれば、株式市場での資金調達は前年同期比2倍以上のペース。「ブランクチェック(白紙小切手)」企業とも呼ばれる特別買収目的会社(S P A C)のブームの影響も大きい。

またリフィニティブのデータによると、イスラエルのモバイルゲーム開発会社プレイティカはIPOで22億ドルを調達し、調達額としては今年最大となった。一方で、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が出資する中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は先週、今月の株式取引としては最大規模の39億ドルの増資を発表した。

出会い系アプリ「バンブル」とオンラインのグリーティング・カード「ムーンピッグ」はそれぞれニューヨークとロンドンで近くI P Oを予定している。他にも複数の企業がIPOで追随すると見込まれている。

世界の株式相場は、パンデミック初期の昨年3月に急落した後、劇的に反発し、この市場環境がIPOの活況を後押ししている。米国の大手ハイテク企業やヘルスケア企業の多くが上場する米ナスダックの総合株価指数は、昨年3月の底値から2倍に跳ね上がっている。

ナスダックの米国西部企業の上場と株式資本市場担当の責任者、ジェフ・トーマス氏は、米連邦準備理事会(F R B)が数兆ドルを金融システムに供給したことを「分水嶺」と呼んでいる。

「あれだけの巨額な資金を金融システムに注入したのだから、その資金はどこかに行くはずだ」と説明した上で、株価の急上昇は、非上場企業に早く株式を公開するよう誘惑していると指摘する。そしてこう付け加えた。「多くの企業が、『公開市場のバリュエーション(投資評価)を利用して資金調達しよう』と言っているのを目にした」。

アジアで資金調達の熱狂を主導しているのは、中国のハイテク企業やヘルスケア企業だ。米シティグループのアジア株式資本市場担当共同責任者のウドヘイ・フルタド氏は「中国経済はコロナ禍からいち早く回復したため、この状態がここ2四半期続いている」と述べた。

米JPモルガン・チェースの欧州・中東・アフリカ(E M E A)株式資本市場担当共同責任者であるアレックス・ワトキンス氏は「コロナ禍のなかで強さを証明した成長企業に明らかに追い風が吹いている」と説明する。そして「この最悪期をしのげるなら、他のもっとまともな時期なら十分やっていける」と語った。

ブームは続かないと警告する声をよそに、S P A Cの上場ラッシュは21年に入っても続いている。世界で、今年すでに61と過去の同時期をはるかに上回る数のS P A Cが上場し、169億ドルを調達した。

中央銀行による措置は、企業を、バランスシートを補強して長びくロックダウンの時期を乗り切るべく、低コストの資金調達に駆り立てている。歴史的低金利を背景に、投資家は収益を求めて、市場で最もリスクが高い部門にまで手を出している。今年1月の最初の3週間で世界のハイイールド債(低格付け債)の発行額は498億ドルと同時期としては過去最高を記録した。

ハイイールド債のブーム続く

一方、公的市場で取引されている最もリスクの高い「トリプルC」格付け債券の指標である米インターコンチネンタル取引所(I C E)・バンク・オブ・アメリカのハイイールド社債指数の利回りは、22日には過去最低水準に近い7.6%に下落した。投資家が債券への投資を続けているためだ。

マクレーン氏は「投資家は、国際的に協調した金融政策には逆らえない。とても立ち向かえない」と語り、「実質的な利ざやを稼げるのは米国の債券だけだ」と語った。

中には、バブルの気配のある市場を利用として借入金を増やし、株主に多額の配当を支払う企業も見受けられる。投資家がますますリターンの潤沢な取引を渇望していることを示す兆しともいえるだろう。

関係筋によると、(投資不適格級の)ジャンク債企業である米国の建設資材会社US LBMは、4億ドルを債券発行で調達し、オーナーであるプライベート・エクイティ(P E)ファンド、米ベインキャピタル配当として支払った。ベインキャピタルにはコメントを求めたが回答はなかった。

欧州ではスウェーデン警備大手のベリショアが高利回りの社債を発行して25億ドル調達した。そのうち16億ドルをオーナーである大手バイアウトファンドのヘルマン&フリードマンなどの株主に配当として還元した。

英国を拠点にするあるファンドマネジャーは、投資家は新型コロナのパンデミックで先行きが暗いにもかかわらず、利回りを求めて低格付けの企業に手を出しているという。

「こういうレベルで取引されている市場を取り巻くムードは、神経質極まりないしか言いようがない」

By Nikou Asgari, Joe Rennison, Philip Staffordand Hudson Lockett

(2021年1月26日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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