春節消費、コロナ警戒が重荷 旅客数6割止まり

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『【北京=川手伊織】中国の新型コロナウイルスへの警戒が、春節(旧正月)消費の重荷となりそうだ。政府が帰省自粛を呼びかけ、期間中の旅客数は新型コロナ前の6割弱にとどまる見通しだ。国家発展改革委員会も27日の記者会見で「影響は多方面に及ぶ」と認めた。旅行や飲食などサービス消費への打撃が、2021年の高成長シナリオにも影響しそうだ。

中国政府は、2月12日の春節前後40日間の旅客数が延べ17億人前後と予測…

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中国政府は、2月12日の春節前後40日間の旅客数が延べ17億人前後と予測する。新型コロナが直撃し湖北省武漢市を封鎖した20年(14億7600万人)より15%多いが、ウイルス発生前の19年比では4割超少ない。

ウイルスを封じ込めたとする中国でも局所的に感染が再拡大し、当局が警戒を強めているからだ。26日の新規感染者数は入国者を含めて75人だった。他国より少ないが、春節時の帰省や旅行で人の移動が一気に増えると、感染も広がりかねない。重要な政治イベントである年に1度の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が3月に控えるという要因もある。

「春節は帰省せず勤務地で過ごして」。中国メディアによると、30の省や直轄市が、他の都市から来たサラリーマンや農村からの出稼ぎ労働者に呼びかけた。省をまたぐ移動にPCR検査の陰性証明を提出するよう義務付ける動きもある。

人の移動を抑えるため、独自の優遇策を設ける地方政府も出てきた。安徽省合肥市の一部区域では帰省せずに同地域で春節を迎えた工場労働者に1人2000元(約3万2000円)の補助金を配る。人力資源・社会保障省によると、天津市や上海市、浙江省杭州市も同じような臨時の補助金制度をつくる。

広東省深圳市は春節前の2月1~9日にデジタル人民元の実証実験を行う。3回目となる今回の実験は、帰省せず市内で春節を迎える計10万人に1人200元を配る。江蘇省蘇州市は、市内にとどまる出稼ぎ労働者らを対象に、戸籍取得に必要なポイントを加算する措置を設ける。

行動制限は国内総生産(GDP)の4割弱を占める個人消費の重荷になりそうだ。とくに飲食業や春節休暇中に年間売上高の1割近くを稼ぐ旅行業などサービス消費には大打撃だ。

旅行予約サイト運営の同程芸竜によると、価格が需給で変動しやすい航空運賃は期間中の平均価格が約700元と、例年より15%以上も低い。北京と上海を結ぶ路線などでは、高速鉄道の運賃より安い例も出てきた。

中国の海通証券は当初、1~2月の社会消費品小売総額(小売売上高)がマイナスだった昨年の反動で、前年同期比39%増になると予測。ただ帰省などの制限で伸び率が25%に鈍り、20年の落ち込み分を取り戻せないと推計する。出身者が他省で暮らす割合の高い河南省や安徽省では、経済への打撃が大きくなる恐れもある。

農民工などが都市部に残るため「春節後、早期に生産を再開しやすい」(国家発展改革委員会の趙辰昕報道官)と、2月下旬以降の成長加速を期待する向きもある。ただ消費など需要が勢いを欠いて在庫の消化が進まなければ、生産にも影響する。

他国に先駆けて経済を正常化させた中国政府は、21年のV字回復を見込んできた。20年12月時点では21年の実質GDP増加率を「8%前後」とする方向で調整に入った。政府系シンクタンク、中国社会科学院は21年1~3月の前年同期比増加率が19%に達すると見通した。

足元の移動制限は経済成長見通しの不確実性を高める。香港の英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストは関係者の話として、3月の全人代で成長目標を公表しない可能性があると報じた。

中国社会科学院の馮煦明副主任も中国メディアに「新型コロナの影響や20年の反動で経済指標が異常に振れることもあり、21~22年は全国ベースの目標公表をやめるべきだ」と指摘する。中国共産党関係者は「移動制限以外にも米中関係など不確実な要素が多いほか、V字回復の宣伝で米欧諸国を刺激したくないといった思惑もある」と明かす。