新興国がワクチン囲い込みに反発、価格つり上げの懸念も

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『【ウィーン=細川倫太郎】先進国が新型コロナウイルスのワクチンを囲い込んでいるとして、新興国が反発している。欧米を中心とした変異種の広がりで調達競争が過熱し、高値での購入によって価格がつり上げられる懸念も強い。各国が奪い合う「ワクチン・ナショナリズム」はパンデミック(世界的大流行)の収束を遅らせかねない。

「我々はワクチン・ナショナリズムを懸念している。富裕国がワクチンにしがみついている」。26日、…

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富裕国がワクチンにしがみついている」。26日、世界経済フォーラム(WEF)主催のオンライン会合「ダボス・アジェンダ」に登壇した南アフリカのラマポーザ大統領は、こう非難した。一部の国は、ためこむ目的で人口が必要とする4倍の量を確保したと説明し、余剰なワクチンを渡してほしいと訴えた。

アフリカ連合(AU)は大陸の人口13億人の6割が2回接種するのに必要な15億回分の確保を目指すが、めどがついたのは2億7000万回分にとどまる。圧倒的に量は足りていない。これまでに低所得国で接種できたのは、西アフリカのギニアのわずか25人だけとも伝えられている。

英製薬大手アストラゼネカなどのワクチンの供給が遅れている=ロイター

ワクチンの接種は2020年12月に英国が先陣を切って始めた。英国ではこれまでに約700万人が1回目の接種を受けた。英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」の27日時点の公表データによると、世界でワクチンが投与された回数は約7100万回。米国、中国、英国の上位3カ国で全体の6割以上を占める。

欧米で感染力の強い変異種が猛威を振るう中、ワクチンは数少ない望みだ。ワクチン供給が減れば国民の不満に直結するため、新興国からの批判にかかわらず確保を急がざるを得ない。英米に接種で後れを取る欧州連合(EU)では、製薬会社からの供給が予定よりも少なくなると通告されたことを受け、イタリアなど一部の国が法的手段も辞さない考えを示している。

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先進国の抱え込みは価格にも影響する。資金力のある国は医薬品メーカーと直接契約し、割高でも購入する。この結果、ワクチン価格が上昇し、新興国の調達がさらに難しくなる悪循環が生まれる恐れがある。欧米のワクチンを仕入れるのは難しいとして、アフリカの一部の国は中国製のワクチンに頼る。

英国などはワクチンを新興国にも均等に届ける国際的な枠組み「COVAX(コバックス)」に資金を拠出して、公平供給を支援する。だが、購入価格が上がればコバックスの調達にも支障が出かねない。

世界の新型コロナの累計感染者は1億人の大台を突破した。ウイルスに国境はなく、新興国で抑え込めなければ、感染の収束は難しい。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、「ワクチン・ナショナリズムはパンデミックを長引かせるだけだ」と警鐘を鳴らすが、グローバルな公平供給に向けた道筋はなお見えない。

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