年利1000%も 「ソフトヤミ金」、ネットで横行

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMH255650V20C21A1000000

 ※ 世の中には、一定の割合で、「金利の計算」ができない人が、存在する…。

 ※ 一定の割合で、「自分の月の入金と出金の計算、ひいては、「返済可能額」の計算」が、できない人が存在する…。

 ※ そして、そういう人に付け込んで、「借金のワナ」に嵌め込むヤカラが、あまたいる…。

 ※ そういうヤカラが、跳梁跋扈することは、昔々から、繰り返し繰り返し行われてきた…。

 ※ これからも、絶えること無く行われることだろうよ…。

 ※ 第一、そういう人は、日経の記事なんか読まないだろうし、公的支援策のことなんか調べようともしないだろうよ…。

 ※ ましてや、こんなジジイのやってるサイトなんか、見ることも無かろうよ…。

 ※ せいぜいやることは、「スマホ」で、一方的に表示される「ソフト貸し金」業者の「お誘い」画面くらいのものなんだろう…。

『Case:97 コロナ禍で収入が減り、生活費にも事欠く状況です。借り入れは収入の3分の1までという総量規制に達しているようで、大手消費者金融やカード会社からは借りられません。インターネットを見ていたら「ソフトヤミ金」を名乗っている業者が複数見つかりました。利息も明示されていて、厳しい取り立てがないようです。利用してみようかと思いますが、問題ないでしょうか。

絶対に利用してはいけません。Case:76…

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絶対に利用してはいけません。Case:76「実態はヤミ金? 『給料の前払い』うたう高利貸し横行」でも「給料ファクタリング」の違法性について説明しましたが、手を変え品を変え、実態を巧みに隠して高金利での貸し付けを行う業者が後を絶ちません。

トイチを超える利息 

ヤミ金とは、もともとは貸金業としての登録を行っていない貸金業者を指す言葉です。相談者が言うように、インターネットを検索すると「ソフトヤミ金」を名乗る業者のサイトが多数出てきます。女性モデルやアニメを使い、一見すると「きちんとした」印象を持たせる業者もあります。それにしても堂々と「ヤミ金」を自称していることには驚かされます。

ある業者のウェブサイトには、利息と手数料が以下のように表記されています。

10日間利用の場合

利息:融資額の3割 手数料:3000円
(例)融資額10万円 返済期10日後の場合
利息:3万円 手数料:3000円
実際に入金される金額:6万7000円
あえて年利で表示をしていないのではないかと推測しますが、利息が10日間で3割(30%)ということは年利に換算すると1095%です。1年間借り続けると利息が元金の10倍になるという途方もない高金利です。10日で1割の利息を通称「トイチ」と呼び、高利貸しの代名詞のようにいわれますが、この業者はさらにその3倍の高利ということになります。

ちなみに、利息制限法では、下記のように貸付金額ごとに金利の上限が定められています。ソフトヤミ金はこれを大きく上回る金利であることは言うまでもありません。

利息制限法の金利

・10万円未満 年利20%まで
・10万円以上100万円未満 年利18%まで
・100万円以上 年利15%まで
他方、出資法という法律の上限金利は、従前29.2%に定められ、貸金業者の場合、この出資法の上限金利と利息制限法の上限金利の間の金利帯(いわゆる「グレーゾーン金利」)でも、ある一定の要件を満たすと有効とみなされていました。しかし、2010年6月18日に施行された改正出資法で上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利は撤廃されました。

つまり、貸金業者は、利息制限法に基づき貸付額に応じて15~20%の上限金利で貸し付けを行わなければならず、利息制限法の上限金利を超える金利は超過部分が無効あるいは行政処分の対象となります。

貸金業者の場合、出資法の上限金利(20%)を超える金利は、刑事罰の対象となっています。また、年109.5%を超える金利は貸金業者・非貸金業者を問わず刑事罰の対象です。もちろん、年1095%という法外な金利は刑事罰の対象です。ソフトヤミ金業者が出資法違反で逮捕される事件は、しばしば新聞で報道されています。

狙いは借り換えの継続

ソフトヤミ金を自称する業者はウェブサイトにこれらの高金利を堂々と掲示して(もっとも、年に換算した利率は書かれていない場合が多い)顧客の誘引をしています。ウェブサイトは「ソフト」なイメージが意図的に演出されています。ソフトヤミ金の狙いは元本の完済をさせることなく、利息のみの支払いにして借り換えを継続させることにあるからです。

前述のとおり、1年継続すれば貸した10万円から100万円以上の利息を取れるのですから、借り主に「長いお付き合い」をしてもらうために、高圧的な態度を控え、「借り主に寄り添っている」「親切だ」と思われるような対応をあえてとっているようです。というのも、もし暴力的な取り立てを行い、借り主が弁護士に相談してしまうと、次に述べる判例の出現により、利息や元本の請求ができなくなるばかりか、それまで受領していた利息まで返還しなければならない場合も出てくるからです。

08年、最高裁はヤミ金による高利の貸し付けを、社会の倫理、道徳に反する醜悪な行為(反倫理的行為)と位置づけ、不法原因給付(賭博などのように法が認めない無効な契約によって金銭などが給付された場合には返還を求めることができないという法理)を根拠に、ヤミ金融業者が借り主に著しく高利(年利数百%~数千%)で貸し付けた場合、借り主がこのようなヤミ金融業者に対して損害賠償請求を行った場合、損害額から元本分は減額されないとの判断を示しました。

すなわち、ヤミ金から借りた借り主には、利息のみならず元本も返済する義務がなく、今までヤミ金に支払った利息と元本の全額を損害賠償として請求できるという趣旨の判決です。

返済後にも「リスク」

しかしながら、「ソフト」を自称しつつも、これらの業者は法の外で運営していることを自認しており、ホームページには約束を守れない顧客には一定の厳しい対応を行うことを明示している業者もあります。借り主が返済期限に連絡なく返済しない場合に、監禁や暴行まで働くような業者はさすがに少なくなったと思います。しかし、1日に数十回に及ぶ督促の電話(「鬼電」と呼ぶそうです)をかけてきたり、借入時に記入させられる連絡先(会社や親族)に連絡を入れたりするという話はよく耳にします。

元金まで返済されると利息がとれなくなるため、元金の返済をさせず、利息しか受け取らずに融資を継続させる業者もいます。また、仮に完済しても、その後も営業の電話が繰り返しかかってきたり、他のソフトヤミ金から営業の電話がかかってきたりする場合もあるそうです。個人情報が漏れている可能性もあるのです。

さらに銀行口座の買い取りを提案してくる悪質な業者の例も報告されています。こうなると、借り主も違法行為に加担することになり、刑事罰に問われるおそれがあります。ヤミ金に手を出すのは、破滅の入り口かもしれないのです。

厚生労働省のウェブサイトによれば、生活福祉資金の特例貸付制度である緊急小口資金や総合支援資金は新型コロナの感染拡大を踏まえ、対象を低所得者世帯以外にも拡大し、申込期限を3月末まで延長しています。相談窓口は各市町村の社会福祉協議会です。まずはこうした公的な融資を検討してみてください。

志賀剛一(しが・こういち)

志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。