※ 「皮を斬らせて、肉を斬る…。肉を斬らせて、骨を断つ…。」というのも、その一つだ…。
※ それと、もう一つ…。
※ 「戦略」とか、「策」とかは、「敵とどう戦って、勝ちを収めるか」ということで、企画・立案するものだ…。
※ しかし、その場合の「敵」は、必ずしも「他者」だけとは限らない…。
※ もう一人、最大の「敵」がいる…。
※ それは、「己(おのれ)自身」だ…。
※ 己自身の「思考の偏り(かたより)」、己自身の「性情の偏り(かたより)」によって、立てた「策」に「過ち」は無いのか…。己自身の「偏り(かたより)」から生じている「穴」は、無いのか…。
※ そこを常に省察・点検していないと、「己(おのれ)自身」によって敗着する…。
※ それどころか、「敵」にその「思考・性情の偏り」を把握されてしまっている場合、そこを「突かれて」、「まんまと嵌められる」ことにもなる…。
※ 「脳」の中に、そういう「回路」が組み込まれていないとな…。
『2015年(平成27年)12月28日に大韓民国(通称:韓国)ソウルの外交部で行われた日本の外務大臣の岸田文雄と韓国の外交部長官の尹炳世による外相会談後の共同記者発表で[1]、両外相は「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明[2]。韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に日本政府が10億円を拠出し、両国が協力していくことを確認した[1][5]。外相会談では、日韓両政府が今後国際連合など国際社会の場で慰安婦問題を巡って双方が非難し合うのを控えることも申し合わせるとともに[5] 共同記者発表で両外相がその旨を表明した[2]。岸田は共同記者発表において「当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している」とし、「安倍晋三首相は日本国の首相として、改めて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べた[2]。一方、尹は「両国が受け入れうる合意に達することができた。これまで至難だった交渉にピリオドを打ち、この場で交渉の妥結宣言ができることを大変うれしく思う」と語った[2]。
また、尹は共同記者発表の中でソウルの在韓日本国大使館前に設置されている慰安婦を象徴する少女像(以下では『慰安婦像』との呼称を使用する[注釈 1])について「日本政府が大使館の安寧・威厳の維持[注釈 2]の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても可能な対応方向について関連団体との協議を行うことなどを通じて適切に解決されるよう努力する」と表明し[2]、岸田もソウル日本大使館前の慰安婦像の扱いについて記者団に「適切に移転がなされるものだと認識している」として慰安婦問題に「終止符を打った」と語った[5]。日韓両国はこの合意の際に公式な文書を交わさず、両国外相が共同記者会見を開いて合意内容を発表するという形式がとられた[10]。
同日夜、日本の安倍首相と韓国の朴槿恵大統領は約15分間の首脳電話会談を行い[11]、両首脳は慰安婦問題をめぐる対応に関し11月の日中韓サミットの機会に行われた日韓首脳会談から協議を加速させ合意に至ったことを確認し評価した[11]。安倍首相は「日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明」し、「慰安婦問題を含めた日韓間の財産・請求権の問題は1965年の日韓請求権・経済協力協定で最終的かつ完全に解決済みとの我が国の立場に変わりはないが、今回の合意により慰安婦問題が『最終的かつ不可逆的に』解決されることを歓迎」した[11]。朴大統領は今次外相会談によって慰安婦問題に関し最終合意がなされたことを評価するとしたうえで新しい韓日関係を築くために互いに努力していきたいと述べた[11]。』
『合意内容について
日韓両政府による慰安婦問題の解決を目的とした協議は2014年4月に開始され、2015年1月の第6次局長級協議において韓国側は日本側に「不可逆的な謝罪」を求めた[12]。一方の日本側は協議の初期段階では「最終的な解決」のみを求めていたが、韓国側が「不可逆的な謝罪」を要求した直後の2015年2月に行われた第1次ハイレベル協議から「最終的」のみならず「不可逆的」な解決を求めるに至り[12]、2015年4月の暫定合意では日本側の要求が反映され「最終的かつ不可逆的な解決」との文言が内容として盛り込まれた[12]。韓国外交部はこの暫定合意を受けて「不可逆的な解決」との文言は韓国国内からの強い反発を招くと危惧し、青瓦台(大韓民国大統領府)に対し合意内容から「不可逆的」の表現を削除するべきであると上申した[12]。しかし、朴槿恵政権は「不可逆的という文言の効果は日本側にも等しく及ぶものである」として上申を退け、正式の合意内容にも「不可逆的」という文言が盛り込まれた[12]。これについて「韓日日本軍慰安婦被害者問題の合意検討タスクフォース[注釈 3]」は、「韓国側が日本側に『不可逆的』な謝罪を要求したのは日本の内閣総理大臣による公式な謝罪を実現させたいという意図からであったが、韓国側は自らの意図を確実に合意内容へ反映させるべく積極的に努力することを怠った」としている[12]。
また同タスクフォースは、文言のうち「不可逆」は韓国側が日本に対して「謝罪の不可逆性」を求めて提示したものだが、交渉の中で日本側に「解決の不可逆性」に脈略を変更されたとしている。また、「最終的」との文言は日本が要請をしたものであり、日本側が非公開のやり取りで、「今回の発表により、慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決されるので、挺対協などの各種団体などが不満を表明した場合であっても、韓国政府はそれに同調せず、説得していただきたい」と、挺対協などの団体の不満を韓国政府が説得するよう求めたとしている[12]。
日本政府が拠出する10億円について尹は2017年1月13日の韓国国会外交統一委員会にて、「(日本)政府の出資金が必要ということは、当然のことながら、我々の立場」とした上で、「(日本政府が)政府の責任を認め、謝罪と反省を行い、政府出資金が出てくれば、この三つが合わさることで我々の求める形に近づくことから、我々は(日本政府に)要求した」「金銭を取り戻すことが重要ではなく、その性質が重要」と答弁した[16]。』
『日本の岸田文雄外相と韓国の尹炳世長官による共同記者発表(於ソウル、2015年12月28日)
1 岸田外務大臣
日韓間の慰安婦問題については、これまで、両国局長協議等において、集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき、日本政府として、以下を申し述べる。
(1)慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。 安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。
(2)日本政府は、これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ、その経験に立って、今般、日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には、韓国政府が、元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。
(3)日本政府は上記を表明するとともに、上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で、今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。 あわせて、日本政府は、韓国政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。
なお(2)の予算措置については、規模はおおむね10億円程度となった。以上については日韓両首脳の指示に基づいて行ってきた協議の結果であり、これをもって日韓関係が新時代に入ることを確信している。
2 尹(ユン)外交部長官
韓日間の日本軍慰安婦被害者問題については、これまで、両国局長協議等において、集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき、韓国政府として、以下を申し述べる。
(1)韓国政府は、日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取組を評価し、日本政府が上記 1.(2)で表明した措置が着実に実施されるとの前提で、今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。韓国政府は、日本政府の実施する措置に協力する。
(2)韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。
(3)韓国政府は、今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で、日本政府と共に、今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える。
国交正常化50年の今年中に岸田外相とこれまでの交渉に終止符を打ち、この場で交渉妥結を宣言できることをうれしく思う。今回の合意のフォローアップ措置が着実な形で履行され、辛酸をなめさせられた元慰安婦の方々の名誉と尊厳が回復され、心の傷がいやされることを心より祈念する。 また両国の最もつらく厳しい懸案であった元慰安婦被害者問題の交渉が妥結したことを機に、来年からは新しい気持ちで、新しい日韓関係を切り開いていけることを期待する。』
『履行状況等
在韓日本国大使館前に設置された慰安婦像
日本
日本政府は韓国政府が設立する元慰安婦を支援するための財団(「和解・癒やし財団」)に10億円拠出することを約束し、2016年8月31日に履行した[17][18]。「和解・癒やし財団」は日本からの拠出金をもとに、元慰安婦には1人あたり約1億ウォン(約1千万円)、遺族には同約2千万ウォンの現金支給を行った。2016年10月時点で、存命中の慰安婦46人中36人が支給済または支給の手続き中で、既に死去した慰安婦に対しては、35人の遺族が引き取りを表明した[19][20]。
韓国
韓国政府は日韓合意は法的拘束力のない政治的合意であることを表明しており[21]、ソウル日本国大使館前の慰安婦像の移設は行われていない。2017年9月にソウル日本国大使館前の慰安婦像はソウル市から特別公共物に指定され、移設を阻んでいる[22]。2016年12月には釜山の日本総領事館前にも慰安婦像が設置され[23]、2018年11月には韓国国内でも慰安婦像は20体から56体に増加した[24]。2018年2月には、海外での設置も合意前の9箇所から15箇所に増加した[25]。11月には、慰安婦問題日韓合意の再交渉を75%が求める韓国の世論を背景に和解・癒し財団の解散を日本との協議なしに解散を表明[26]。慰安婦問題日韓合意の履行を求める日本は財団の解散に反対したが、2019年7月3日に解散は完了した[27]。』
『合意直後の反応
日本側の反応
日本は与野党ともに歓迎の意向を表明している。村山富市元首相も「よく決断した」と評価した[28]。世論調査でも日韓合意は肯定的に受け止められた[29]。ただし、日本共産党は「合意はあくまで問題解決の出発点」「すべての慰安婦被害者が人間としての尊厳を回復してこそ真の解決となる」「そのために日本政府は韓国政府と協力して誠実に力をつくさなければならない」としており[30]、第190回国会(2016年1月4日 – 2016年6月1日)では、福島瑞穂、糸数慶子と日本共産党によって「被害者への公式謝罪、賠償、次世代教育など「慰安婦」問題の解決を行うこと。」の請願が行われた[31]。
肯定的評価
櫻井よしこは、日韓合意は両国関係を改善し、緊迫感が増す世界情勢の中で日米韓の協力を容易にしたとして、安全保障の観点から日本の短期的外交勝利を評価した。一方で、国際社会では「保守派の安倍晋三首相さえも強制連行や性奴隷を認めた」と逆に解釈され、歴史問題に関する国際社会の日本批判の厳しさは変わっていないと指摘した。だからこそ、安倍首相は以前よりずっと賢い永続的な情報発信をする重い責務を負っているのだと述べた[32]。
井上寿一は、「安倍首相は『慰安婦問題』を安全保障の観点から考えている」とし、「日韓合意の成否は双方が新しい安全保障関係を構築できるか否かにかかっている」との見解を示した。対立が続く両国の外交関係を修復するのは容易ではないとはいえ、アメリカを介して日韓が安保協力を進める余地が生まれたと評している[33]。
和田春樹によれば、日本軍慰安婦問題解決全国行動は、12月29日に「日本政府は、ようやく国家の責任を認めた。安倍政権がこれを認めたことは、四半世紀もの間、屈することなくたたかってきた日本軍慰安婦被害者と市民運動が勝ち取った成果である」と声明で評価し、一方で「総理大臣のお詫びと反省は、外相が代読、あるいは大統領に電話でお詫びするといった形ではなく、被害者が謝罪と受け止めることができる形で、改めて首相自身が公式に表明すること」とも批評した[34]。
日本の曹洞宗による「東国寺を支援する会」(慰安婦像設置を推進する日本唯一の団体)は、慰安婦問題に否定的だった安倍首相の急激な方針転換は、平和や人権を尊重する市民の声に屈したとして歓迎を表明した[35]。
在日本大韓民国民団は、日韓合意を支持すると表明し[36]、2017年1月17日には、駐日大使の李俊揆にたいして合意が両国間で誠実に履行されていくことを文書で求めた[37]。在日本大韓民国民団の呉公太(オ・ゴンテ)団長は同月12日に、「釜山少女像はなくすべきだというのが在日同胞たちの共通した思い」と発言していたが、これに対して東京外国語大学の金富子教授は「民団団長の発言は在日同胞全体を代弁するものではない」と述べている[38]。
否定的評価
日本キリスト教協議会は、慰安婦問題日韓合意に対して、白紙撤回および「① 明確で公式的な方法での謝罪、② 謝罪の証としての賠償、③ 日本政府保有資料の全面公開と更なる真相究明、④ 歴史教科書への記述と追悼事業」を、韓国だけではなく北朝鮮を含んだ全世界に向けて行うことを求める宣言を発表した。[39]
青山繁晴は、自身が日韓合意の直前に安倍首相に反対の意向を伝えたことを明かし、「安倍総理は、日本だけではなくアジアの史観を公正にするためにも再登板した。『軍の関与の下』という表現で自ら、嘘を致命的に固定する役割を果たしては、天命に反する。安倍総理の本願は『日米対等』だ。日韓合意は、オバマ大統領から要請されたから、対等への一手段として総理が決意した。総理はこれを機に『嘘は嘘である』と世界へ立証することも決断すべきだ」と主張した[40]。
水島総は、日韓合意を「河野談話と比較にならないほど国家的な重大過失だ」と批判し、「『慰安婦は性奴隷だった』といった韓国の主張を日本政府が公式に追認したと理解されても仕方ない。海外の報道機関でもそのように報道されている」と主張した[41]。
呉善花は、「(日韓合意)の賞味期限は半年間だ」、「日韓合意は口約束。(正式な外交文書である)1965年の日韓基本条約すら守らない韓国が、今回の合意を守るわけがない」と述べ、韓国側の出方を注視する必要があるとの考えを示した[42]。
西岡力は、日韓合意は安全保障の観点では評価できる部分があるにせよ、国際社会での相互批判を自制するとしたことにより、今後「断固たる反論」ができなくなるのではないかとの懸念を示した。さらに、国際社会では「日本政府が、第二次大戦中に20万人のアジア人女性を性奴隷として強制連行し、人権を蹂躙した事実を認め、韓国政府に10億円を支払うことに合意した」という虚偽が広がっているとして、日本国の名誉回復抜きの慰安婦合意は評価できないと主張した[43]。
吉見義明は、日韓両政府が被害者を抑圧して、解決したことにする強引なものであるとあるとした。さらに、「最終的かつ不可逆的に解決され」るということができるのは政府ではなく、被害者だけであるはずだと主張し、[44]和田春樹から合意を受け入れた慰安婦被害者に対する非難になるとして批判を受けた[34]。
その他
山口二郎は「日本の右派が韓国女性を誹謗中傷することも、不可逆解決に反する」「安倍政権が自民党右派及びその背後の右翼の無知、偏見を的確に批判し、日本政府の公式見解に反することを厳しく処断することができるかどうかが問われる」などの見方を示した。産経新聞は山口の発言を「民間の言論をも『処断』するよう政府に求め、言論の自由への抑圧を主張したとも受け止められかねない発言だ」と非難した[45]。
アジア女性基金のフォローアップ事業で外務省から年間1000万円の資金提供を受けていた慰安婦を支援するNGO団体は「和解・癒やし財団」の設立に伴ってフォローアップ事業による資金提供の停止されることに対して、資金の提供を継続することを求めている。[46]』
『韓国側の反応
朴槿恵大統領は、合意が行われた12月28日に国民向け談話を発表し、「韓日関係改善と大局的見地から、今回の合意について(元慰安婦の)被害者と国民の皆さんが理解してくださるよう願う」と呼びかけた[47] が、韓国の与党セヌリ党は「日本政府の責任を明示したという点で相当に進展した」として歓迎する一方で、韓国の最大野党である「共に民主党」は「決して受け入れられない」と失望を表明した[48]。在日本大韓民国民団は韓国の主要三紙に意見広告を掲載し、合意が「満足できる水準でないとしても、…結果を導き出した。」と支持することを表明、韓国国民にも「大局的見地から合意案を受け入れるよう」訴えた[49]。一方で韓国挺身隊問題対策協議会は「被害者と国民の望みを徹底的に裏切った外交的談合」と非難している[50]。
また、この合意の後、「日帝強占下サハリン強制動員抑留被害者韓国残留遺族会」や韓国人原爆被爆者などの「慰安婦」被害以外の戦後補償を求める団体・個人も、韓国政府が日本政府と交渉するよう求めている。なお韓国政府は、サハリン残留問題、原爆被爆者問題についても日韓請求権問題では解決していないとの立場である。[51]
韓国世論調査リアルメーターでは、野党「共に民主党」支持層を中心に慰安婦像の移転について否定的な意見が多数を占め、66%が反対している[52][53]。
合意について、釜山大学准教授のロバート・E・ケリーは、「民主的な選挙で選ばれた大統領が結んだ」ため、「もし合意をほごにすれば、国際的な合意を守れない国という不信感を持たれることは避け難い」としている[54]。』
『元慰安婦の反応
元慰安婦の一人(ソウル在住)は、毎日新聞のインタビューに応え、「(合意は)とても良かったと考えている。子孫にまで持ち越さず、私たちの代で解決してくれた」と賛同を表明し、合意を着実に履行するよう求めた。慰安婦像についても、別の場所に移しても良いと回答した[55]。
2017年12月24日時点で生存している元慰安婦32人中24人の75%が既に慰安婦合意に賛成して、日本が拠出した見舞金1億ウォンを受け取っている。合意当時は46人中36人の約78%が合意に賛成して見舞金1億ウォンを受けとっていた[56]。
合意当時に反対する慰安婦団体である韓国挺身隊問題対策協議会・ナヌムの家に属する慰安婦たちも「和解・癒やし財団」事業に自発的に参加することを韓国政府に明らかにしてたが、韓国挺身隊問題対策協議会のユン・ミヒャン代表は「政府が意思表明が困難なハルモニを利用している」と批判し、合意に反対をしている[57][58]。 また、日韓合意に基づく現金受け取りを拒否するよう元慰安婦に働きかけたとする証言もある[59]。
合意破棄を求める世論を受けていたムン・ジェイン政権も合意に賛意が多数派を占める元慰安婦から直接同意を得る方法で、合意破棄しないことで日韓の外交葛藤を解決しようとしていると報道された[60]。
朝日新聞は求めている遺族が2018年11月に文在寅政府による和解・癒やし財団の解散のために、解散前後に財団に申請していた元慰安婦2人と遺族13人に支援金が払われていないことを報じている。遺族女性は2016年に設立された財団に合意を批判的に報じていた韓国メディアを信じていために、2018年10月まで支援金を申請しなかった。朝日新聞のインタビューで女性は「慰安婦だった母が受け取ることができたお金。遺族として一日でも早く受け取りたい」と不満を語っている[61][62]。』
『国際社会の反応
国連の潘基文事務総長は2016年1月、朴槿恵大統領との電話会談で、日韓合意について祝福し、「朴大統領がビジョンを持ち、正しい勇断を下したことを歴史は正しく評価する」とした[63]。潘の後任の事務総長アントニオ・グテーレスは、2017年5月27日に安倍晋三首相と会談し、日本政府はグテーレスが日韓合意を支持する考えを示したと発表したが、翌28日に国連事務総長報道官は、慰安婦問題をめぐる日韓合意の内容に「言及しなかった」と述べ、双方の主張に食い違いが生じた。報道官は同声明で、グテーレスは日韓両国間の合意に基づき慰安婦問題を解決すべきだという点には同意したが、特定の合意内容には触れず、具体的解決策は両国間で決めるべきという「原則」について語ったと指摘した[64]。
アメリカ合衆国で唯一、公共の場に慰安婦像を設置しているカリフォルニア州グレンデール市のナジャリアン(英語版)市長は2016年4月、「外交上の成功を歓迎する」「両国の行動で解決することを喜んでいる」とし、「オバマ大統領も先週、両国の首脳と会い、改めて(合意を)支持した。グレンデール市も支持する」との声明を表明した[65]。アメリカ政府に加えて、ドイツ、オーストラリア、イギリス、カナダ、シンガポール、国際連合(UN)、欧州連合(EU)など主要先進国や国際機関などは日韓合意の支持を表明した[66]。
国連の女性差別撤廃委員会は、2016年3月に公表された対日審査会合に関する最終見解で、日本政府の取組みはなお不十分と指摘し、日韓合意を実行に移す際には元慰安婦の意見に十分配慮するよう日本政府に勧告した。前回2009年の会合で日本政府に勧告していた元慰安婦らへの賠償や加害者の訴追などを含む慰安婦問題の「持続的な解決」を探る努力を依然実行していないとして「遺憾の意」を示し、日韓合意について「元慰安婦らを中心としたアプローチを完全には取っていない」と指摘、元慰安婦らの「真実、正義、償いを求める権利」を保証し彼女らの立場に寄り添った解決を目指すよう求めた[67]。
国連の自由権規約委員会は、2016年3月に開かれた日本などの人権状況に関する会合で、日韓合意について元慰安婦らへの謝罪表明や責任の認識を「大きな進展だ」として前進がみられたと評価する一方、人権侵害行為調査や加害者の刑事責任追及などは「努力がみられない」と指摘した。国連では日韓合意をめぐり、ゼイド・ラアド・ゼイド・アル・フセイン人権高等弁務官が「元慰安婦被害者自身から疑問の声が出ていることは非常に重大だ」と述べるなど、批判的な論調が相次いでいた[68]。
2017年5月12日、国連拷問禁止委員会は韓国に対する最終見解において、日韓合意について「両国による合意を歓迎するが、被害者に対する補償や名誉回復、真相解明、再発防止の約束などについては十分なものとは言えない」と指摘した。その上で、被害者への補償と名誉回復が行われるよう両国は合意を見直すべきだとし、事実上、合意を巡る再交渉を促した[69]。
2018年8月30日、人種差別撤廃委員会(人種差別撤廃条約の加盟国から選ばれた18人の専門家でつくる委員会)の対日審査において、前回の開催(2014年)から追記された慰安婦問題[70]についての議論が行われ、韓国の鄭鎮星(韓国挺身隊問題対策協議会共同代表)委員が議論を主導した[71]。日本はアジア女性基金を通じて元慰安婦への償い金支給や福祉支援を行ってきたことを説明したが、鄭委員は「基金は徹底的な調査なしに設立された。償い金受け取りの拒否は難しかった」と否定し、慰安婦問題日韓合意についても、マクドゥーガル報告書の報告者ゲイ・マクドゥーガル(英語版)委員は「政府間の合意で、個人の要求を消すことはできない」と発言した[72]。30日の結審で慰安婦問題日韓合意については「複数の市民団体から「被害者中心の解決になっていない」という声が出ていることに対して「委員会として懸念している」とした上で、人権を侵害した責任を認め、被害者の立場に立って永続的な解決を図ることを日本政府に対して勧告した[73][74][75]。日本政府は「日本政府の説明内容を十分踏まえておらず、極めて遺憾だ」「慰安婦問題は、そもそも人種差別撤廃条約の適用対象外だ。(同委員会の)審査で取り上げるのは適切ではない」と批判した[76]。
この勧告は日本に対して行われたものだが、韓国の文在寅政権は「韓国政府は被害者を中心に据えて、被害者の名誉と尊厳を回復する。慰安婦問題を歴史の教訓として残すために継続して努力する」と声明を発表し、日本政府に「勧告に耳を傾けることを望む」と促した[73]。』
『合意後の経緯』 ※ 省略する…。まあ、いつものグダグダだ…。興味があったら、自分で見て…。
『韓国における合意破棄の運動』
『文在寅政権による合意「破棄」の推進』
『「和解・癒やし財団」の解散』
※ 日本側は、韓国側の「偏り」を読み切って、米国を「保証人」に引き入れている…。( https://www.dailyshincho.jp/article/2020/11031701/?all=1&page=3 )
『鈴置:(※バイデン氏ー当時、副大統領は)2015年12月25日の日韓慰安婦合意の「保証人」も務めました。米外交誌『Atlantic』のインタビュー「The Geopolitical Therapist」(2016年8月26日)記事で以下のように語っています。
・Or, you know, [Korean President] Park [Geun-hye] and [Japanese Prime Minister Shinzo] Abe. I go to see Abe and he says to me, “Will you help me with Park?” And I call her and say, “Will you do this?” And I don’t negotiate the agreement, but the end result was, because I had a personal relationship with both of them and they trusted me, I could be an interlocutor, that was more like a divorce counselor, putting a marriage back together.
「安倍に会ったら『朴との関係を助けて欲しい』と言われた」「そこで朴に『こうするつもりはないか』と電話した」「自分は結婚生活を元に戻す調停委員の役割を果たした」――というわけです。
もっとも慰安婦合意は韓国によっていとも簡単に破られました。これもあって日韓関係は極度に悪化し、日本人は「韓国は約束をかわせない国」と確信しました。バイデン氏は「結婚生活を基に戻す調停委員」ではなく、「離婚を誘発した調停委員」になったわけです。』
※ そして、月日は巡り巡って、彼は「大統領」に就任したわけだ…。
※ 少なくとも、日本国に対して、「韓国に譲歩しろ!」という圧力がかかる可能性は、相当低いだろうよ…。