変異種猛威、欧州厳戒 仏は3度目都市封鎖も

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODC257720V20C21A1000000

『【ロンドン=佐竹実】新型コロナウイルスの変異種の拡大が欧州を揺さぶっている。英国で見つかった変異種が周辺国に広がり、感染者が急増した。各国は再び外出制限の強化や国境封鎖を急ぐ。フランスでは3度目のロックダウン(都市封鎖)も検討し始めた。

欧州では感染者が急増している。人口約1千万人のポルトガルでは1月に入り、感染者が1日あたり1万人以上見つかる日が続き、死者も過去最多を更新した。同国政府は15日か…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り1534文字

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

有料登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN16C7X016122020000000&n_cid=DSPRM1AR08

無料登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN16C7X016122020000000&n_cid=DSPRM1AR08#free

ログインする
https://www.nikkei.com/login

人口約1千万人のポルトガルでは1月に入り、感染者が1日あたり1万人以上見つかる日が続き、死者も過去最多を更新した。同国政府は15日から最低1カ月間の外出制限令を出した。

アイルランドでは新規感染者が1月上旬に1日あたり8000人を突破。昨年末からわずか10日程度で約10倍に膨れ上がった。デンマークも昨年12月に約4500人もの新規感染を記録する日があった。

欧州連合(EU)の欧州委員会は25日、域外からの渡航者に対し、PCR検査での陰性証明を求めると踏み切った。感染が急増し、水際対策の強化を迫られた。

感染急増の背景には、変異種の拡大があるとみられる。世界のウイルス研究者のデータ共有プラットフォーム「GISAID」に登録されたウイルスに占める変異種の割合を見ると、欧州各国の高さが目立つ。英国では直近4週間に登録されたデータのうち、7割超を英国型変異種が占める。スペインやポルトガルでも高水準で推移する。

変異種の影響は甚大だ。欧州は1日あたりの死者数(7日移動平均)が最悪のペースで増え、北米を大きく上回る。英国は足元で1200人近くに達し、世界の死者数の1割近くを占める。スペインも増加が顕著だ。

世界保健機関(WHO)の19日の発表によると、英国の変異種は60の国・地域で見つかった。南アフリカの変異種は23の国・地域だ。いずれも従来型より感染力が強いとみられ、急速に広がっている恐れがある。

フランスのマクロン大統領が27日に3回目となる都市封鎖を発表する可能性がある――。仏紙ジュルナル・デュ・ディマンシュは23日報じた。背景の一つが変異種だ。午後6時~翌午前6時の夜間外出禁止令を全土で敷くが、効果が不十分との見方がある。

「変異種への対応がうまくいかなければ、3月まで何もしないということはない」。ベラン保健相は23日の仏紙パリジャンで再封鎖の可能性を示唆した。フランスでは20年10月ごろに感染「第2波」のピークを越えたとみられるが、その後も1日あたり1万人以上の感染者が出る日が多い。

ロイター通信によると、ノルウェーで変異種が拡大していることを受け、隣国のスウェーデンがノルウェーからの入国を禁止する方針だ。スウェーデンは2020年の感染拡大初期に厳格な都市封鎖をせず隣国から国境を閉じられたが、逆のことが起きている。

欧州諸国は昨年末のクリスマス期間中、外出制限や集会の規制を相次いで緩和した。厳しい規制で感染が一時落ち着いたのに加え、各地で大規模なデモが起きるなどコロナ対策への不満が膨らんでいたことが背景にある。ただ、それからわずか1カ月で感染は再び爆発した。規制緩和で変異種が広範囲に拡散した可能性もある。

「感染力が強いことに加え、死亡率が高い可能性を示すいくつかの証拠があるとの報告を受けた」。ジョンソン英首相は22日の記者会見で変異種について述べた。「不確実な面が多い」ため検証が必要とも付け加えたが、感染拡大や死亡者増加に対処できない政府のいらだちがにじんだ。

英国の死者は累計約10万人と欧州で突出する。20年11月の都市封鎖中、南部ケントなどでの感染増加にイングランド公衆衛生庁が着目。遺伝子を調べたところ、変異種が原因だと分かった。

英国は3回目の都市封鎖を続けるが感染は止まらない。首都ロンドンは入院患者で医療機関がパンクし、カーン市長が「制御不能」と公言する。

米国では米疾病対策センター(CDC)が2カ月以内に変異種が優勢になると警鐘を鳴らす。期待がかかるのがワクチンだ。東京医科大学の浜田篤郎教授は「開発済みのワクチンは英国型の変異種にも効果があるとみられている」と語る。

日本の対応について東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授は「変異種がまん延するまでに、医療従事者だけでなく高齢者らハイリスクの人たちも対象にワクチン接種をスムーズに進めていくことが大切だ」と強調する。

新型コロナ特集ページへ https://www.nikkei.com/theme/?dw=20012202&n_cid=DSBNHE