2050年に25億人、超巨大市場アフリカでFTA始動

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『アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が1日、始動した。5年以内に9割の関税を撤廃する目標を掲げ、アフリカ全体の共通市場化を目指す。2050年に現在の倍の25億人に人口が急増するとされる「巨大市場」の経済成長を見込み、自動車大手などが需要を取り込む布石を打っている。

日産自動車は昨年12月、アフリカ全体を統括する組織再編を実施した。「需要増、市場の成長性、AfCFTAと相まって(事業改革計画)日産ネクストの…

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「需要増、市場の成長性、AfCFTAと相まって(事業改革計画)日産ネクストの達成に寄与する」と表明した。

AfCFTAは5年以内に物品貿易の品目ベースで90%を関税ゼロにし、10年間で97%まで高めるのが目標だ。各国の交渉が遅れ関税撤廃にはまだ時間がかかりそうだが、先を見据えて投資を進める企業は多い。

独フォルクスワーゲン(VW)は昨年8月、ガーナで年5千台を組み立てる工場を稼働させた。豊田通商は11月にガーナ政府から車両組み立て事業者として認可を得た。トヨタ自動車の小型トラック「ハイラックス」を年1300台生産する計画だ。同国では中国のトラック大手、中国重汽が既に生産している。

仏グループPSAや仏ルノーの工場が集積するモロッコでも、自動車の輸出拡大に期待がかかる。同国は南アフリカに次ぐ大陸第2の自動車生産国だ。

関税撤廃は1次産品の流れにも影響しそうだ。「アフリカはカカオ豆の主産地なのに、エジプトや南アフリカはチョコレートを大陸の外から買った中間財でつくる」。昨年11月、アフリカ開発銀行の会議で矛盾を指摘する声が上がった。

アフリカは農産物や鉱物資源に恵まれるが、付加価値の低いまま輸出し、欧米や中国で加工された製品を輸入する傾向が強い。「原材料と市場はあるが、その間が抜けている」と言われるゆえんだ。アフリカの輸出額に占める域内比率は2割に満たない。

関税撤廃で域内貿易が活発になれば、アフリカの企業にも商機だ。日本企業にとっては、地の利をいかして成長する地元勢への投資も有望な選択肢になる。日本貿易振興機構(ジェトロ)の20年9月の調査によると、進出日系企業の4割がAfCFTAの利用を検討している。ジェトロの佐藤丈治・中東アフリカ課長は「新型コロナウイルスの流行下でも各国で企業誘致競争が起き、多国籍企業は既に動いている」と指摘する。

AfCFTAはアフリカ連合(AU)の55カ国・地域のうちエリトリアを除く54カ国・地域が署名し、3分の2が批准を終えた。大陸全体の国内総生産(GDP)の総額は2兆5千億ドル(約259兆円)とされる。

中国やトルコなど経済協力を強化

中国やトルコなど新興国が国を挙げたアフリカ諸国との経済協力を一段と強めている。協力は自国企業の進出や取引の拡大と表裏一体だ。アフリカの開発を支援する首脳外交で先行した日本はかすみがちだ。

「アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)を歓迎し、事務局に資金支援する」。中国の王毅(ワン・イー)外相は昨年11月、「中国アフリカ協力フォーラム」の20周年を記念する式典で強調した。中国は広域経済圏構想「一帯一路」に基づきアフリカ諸国でインフラ投資を重ねている。
トルコは4月、アフリカ諸国との経済ビジネスフォーラムの3回目を開く予定だ。アフリカでトルコ企業は建設業が受注を伸ばし、ターキッシュエアラインズが直行便の就航先を広げるなど存在感を増している。
ロシアは安全保障も含めた関係強化に動く。2019年にアフリカ諸国首脳を集めたロシア・アフリカサミットの初会合を開いた。同時に経済フォーラムを開き、原子力分野などで協力する姿勢を打ち出している。
日本はアフリカ諸国の首脳と経済発展のあり方を話し合うアフリカ開発会議(TICAD)を1993年から開催してきたが、資金の出し手としての地位は低下した。各国が求める企業進出や投資の促進が課題となっている。
(カイロ=久門武史)

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