ロシア反政権デモ激化 ナワリヌイ氏実刑なら内政に影

ロシア反政権デモ激化 ナワリヌイ氏実刑なら内政に影
釈放求め抗議集会、拘束3000人超に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2427M0U1A120C2000000

『【モスクワ=石川陽平】ロシア全土で23日に反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放を求めて開かれた抗議集会は、2011~12年の「反プーチン運動」後では最も激しい反政権デモとなった。拘束者が3千人を超え、一部の参加者は過激化した。2月2日に同氏に実刑を科すかどうかを判断する重要な裁判を控え、プーチン政権は難しい選択を迫られる。

【関連記事】
米、ロシアを「強く非難」 抗議デモ参加者の大量拘束
ロシア当局、反体制派ナワリヌイ氏の30日間勾留決定
ロシアで3000人以上を拘束 ナワリヌイ氏釈放求めデモ

「自由を!」「泥棒プーチン」。23日に首都モスクワの中心部にある広…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り1392文字

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

有料登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN16C7X016122020000000&n_cid=DSPRM1AR08

無料登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN16C7X016122020000000&n_cid=DSPRM1AR08#free

ログインする
https://www.nikkei.com/login

ロイター通信の推計で、少なくとも4万人が集まった。多くが25歳以下の若者だ。最前列では肩を組んで隊列を作り、治安部隊に詰め寄った。人権団体によると、全国110都市以上で約3300人が身柄を拘束された。

国内の主要都市で開かれた抗議集会は、政権の汚職を追及するブロガーとして知られるナワリヌイ氏自身や支援者の呼びかけで開かれた。同氏に対しては政権が20年8月に毒殺を図った疑惑があり、今年1月17日に療養していたドイツから帰国直後にモスクワ郊外の空港で身柄を拘束された。

ロシアでは11年12月の下院選での政権与党による不正疑惑をきっかけに大規模な「反プーチン運動」が続いた。モスクワで10万人前後の市民が参加してプーチン氏の辞任を求める集会が12年にかけて何度も開かれた。今回の抗議集会は「反プーチン運動」に次ぐ規模と激しさとなったとみられる。 

抗議集会の拡大に拍車をかけたのは、ナワリヌイ氏と調査チームが19日に動画投稿サイトのユーチューブなどを通じて公開した「プーチン氏のための宮殿」と題した調査報道の内容だった。1400億円を費やしたとされる宮殿の詳細を伝え、強権的体制に批判的な若者らの怒りに火をつける形になった。

23日の抗議集会は無許可で開かれ、近年の他の集会と比べて過激化する傾向が見えた。タス通信によると、参加者との衝突で治安部隊のメンバー40人以上が負傷した。政府所有とみられる車の窓が割られた映像も流れた。一部はナワリヌイ氏が収監される拘留所へと行進した。プーチン政権への強い圧力になったのは確実だ。

抗議運動にさらに勢いをつけるため、ナワリヌイ陣営の幹部は23日、次の週末も各地で集会を開くと表明した。第2の都市サンクトペテルブルクの陣営も同日、「解放されなければ(抗議のために)街頭に出続ける」と支持者に呼びかけた。20年8月にベラルーシで始まった毎週末の抗議運動のように、長期化も辞さない考えだ。

次の焦点はナワリヌイ氏を巡って2月2日にモスクワの裁判所で開かれる予定の審理だ。司法当局は過去の詐欺事件で言い渡された執行猶予付き禁錮3年半の有罪判決を実刑に切り替えるよう要求している。同氏は野党弾圧のための「でっち上げ」と批判しており、司法に影響力を持つプーチン大統領がどう判断するかがカギを握る。

ただ、プーチン氏にとってもきわめて難しい政治判断となる。

実刑とすれば、ナワリヌイ氏を支持する抗議運動がさらに広がり、内政が混乱する恐れがある。毒殺未遂疑惑を巡ってナワリヌイ氏を支持する欧米からの批判も高まり、欧米との対立が一段と深まる。対ロ制裁の拡大など経済的な影響も小さくない。

一方、最大の反体制派指導者であるナワリヌイ氏を釈放すれば、9月の下院選や24年の大統領選に向けて反政権運動を活発にするのは確実だ。次期大統領選ではプーチン氏の5選出馬もとりざたされており、政権はナワリヌイ氏の運動で内政が不安定になる事態を強く恐れている。

政権内では治安当局など「シロビキ」と呼ばれる武力機関の幹部らが発言力を増しており、反体制派への「譲歩」に強硬に反対する可能性もある。プーチン氏が強硬姿勢に傾けば、ナワリヌイ氏は他の容疑でも有罪判決を言い渡され、禁錮刑が長期化する恐れも否定できない。禁錮刑も釈放も避け、在宅のまま長期の軟禁状態に置くこともありうる。