バイデン政権、通商交渉は後回し TPPなど新協定に慎重

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『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権が新たな貿易協定の締結に慎重な姿勢を貫いている。トランプ前政権はすぐに自由貿易協定(FTA)交渉に動いたが、新政権は環太平洋経済連携協定(TPP)復帰や中国との協議を急がない構えだ。当面は内政問題への取り組みを優先し、通商交渉は後回しになりそうだ。

23日に開いた米英首脳の電話協議。英国側の声明によると、ジョンソン首相が両国の貿易の懸案を「なるべく早く解決する…

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英国側の声明によると、ジョンソン首相が両国の貿易の懸案を「なるべく早く解決する」意思を伝え、米英FTAの締結に前向きな姿勢を示した。一方、米側の声明はFTAに一切触れず、温度差が浮き彫りになった。

米英FTAは前政権が2020年5月に正式に交渉を始めた。欧州連合(EU)から離脱し、他国と新たなFTAを結びたい英国だけでなく、米国側も輸出拡大につながるとみて締結を急いだ。政権交代で勢いを保てるかが不透明だ。

サキ大統領報道官は22日の記者会見で「現時点の焦点は労働者層や中間層だ」と述べ、当面は国内経済の再生に注力する姿勢をにじませた。バイデン大統領は新型コロナウイルスが深刻になる前の20年1月から「対米投資を拡大するまで新たな貿易協定を結ばない」と繰り返しており、コロナを理由に通商を後回しにするわけではない。

トランプ前政権は発足1年目から北米自由貿易協定(NAFTA)や米韓FTAの再交渉に動いた。20年には日本や中国と貿易協定を結んだ。是非はともかく、貿易を重要課題の一つに扱ってきたが、バイデン政権で優先順位は下がる。

新政権の通商政策で焦点の一つがTPP復帰だ。協定にはバイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権が署名したものの、同氏は大統領選中に「従来のままでは再加盟しない。再交渉する」と考えを変えた。サキ氏も「(協定は)完全ではない」と大統領の考えを改めて説明した。

TPPを含む貿易協定の早期締結に慎重なのは、米国の世論でグローバル化への疑問がさらに広がっているからだ。民主党の議会関係者は「バイデン氏の『まずは米国投資』という考え方は超党派で支持されている」と述べ、TPPを再交渉するとしても議会を通過するには「大幅な修正が必要」と語る。

バイデン氏もTPPについて「中国に対抗するためには必要」と指摘しており、外交戦略の観点から軽視しているわけではない。それでも昨年1月にむすんだ中国との第1段階合意や、発動済みの対中関税も「すぐには動かない」と明言する。

中国は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に署名し、TPP参加にも関心を示す。米国が通商問題を棚上げしているうちに、中国が圧倒的な購買力を武器に自らに有利な貿易秩序をアジアに築く恐れは拭えない。米通商代表部(USTR)の元高官は「後回しせず即座に対処する必要がある」と指摘している。