[FT]インド、景気後退後も止まらぬ物価高騰

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 ※ ここには、ちょっと特殊な物価高騰原因が、語られている…。

 ※ 『同氏によると、民間投資は18年以降低調なままで、例えば野菜を農家から店先に運ぶのに必要なインフラの整備に資金が行き届かず、慢性的な供給不足に拍車が掛かっている。その結果、価格が大きくつり上がり、物価全体の上昇を加速している。

「これはインドがずっと以前から抱えている問題だ」とデシュワル氏は指摘した。「経済成長が回復して需要が盛り上がると、供給が後手に回りインフレ加速の条件が再生される」』と言うものだ…。

 ※ おそらく、「省力化投資」を行うよりも、「労働者を雇って、人力でやらせる方が、よっぽど安上がり。」なんだろう…。

 ※ そういう経済構造だと、経済は「高度化」せず、「低賃金労働者」は、いつまで経っても「中間層」へと「育たない」から、「先進国」はおろか、「中進国」へと脱皮するのも難しい…。

 ※ その一方で、IT産業みたいな「知価産業」は、そういう階層とは関係なく発達するから、経済構造は「二極化」する…。

 ※ 難しいモンだなあ…。

 『インド西部ムンバイの路地にチャイを出す屋台や野菜を載せた荷車が並んでいる。普段は通行人やバイクをかわし、路上に寝そべる動物をよけながら買い物しなければならないほどにぎわうのに、今は国中の多くの通りと同様、不気味なほど静かだ。

そんな路地の一角で青果や豆類を売るビジャイ・コティアンさん(35)が辻つまの合わない状況に直面していた。買い物客が減ったというのに売値は上昇しているというのだ。…

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 「客が怒っている。私のせいじゃないのに」

コティアンさんはトマトを例に挙げ、「20ルピー(約30円)だったのが40~50ルピーに上がって客が怒っている」と話した。「なぜ値上げしたのかと難癖をつけられるんだ。私のせいじゃないのに」

新型コロナウイルスの感染が広まった2020年3月以降、インド経済は大幅に縮小したのにインフレは高止まりしたままだ。コティアンさんの苦境は国内経済の窮状を端的に表している。

小売物価の上昇率はロックダウン(都市封鎖)開始直後の20年4月から8カ月連続で、インド準備銀行(中央銀行)の目標上限の6%を上回った。とりわけ10月には6年ぶりの高水準となる7.6%を記録した。

消費者物価指数(CPI)の上昇率は12月にようやく4.6%と中銀の目標範囲内に収まった。これは野菜の値下がりが一因で、生活に苦しむ低所得層や世論の反発を恐れる政治家にはささやかな朗報となった。

とはいえ、インフレの高騰に長年悩まされてきたインドが経済を再び成長軌道に乗せるには、食料品や交通などの諸物価を速やかに抑制することが不可欠だとエコノミストらは指摘する。

野村証券のエコノミスト、オーロディープ・ナンディ氏は「インフレで最も気にすべきは暗黒時代へ後戻りするのか、それとも暗雲を通過している最中にすぎないのかの見極めだ」と語った。

行く先に垂れこめる暗雲

ナンディ氏は暗黒時代への後戻りではないとみているものの、「行く先にまだ暗雲が垂れ込めている」と警告した。

インドでは急ピッチの経済成長と人口増による内需拡大で供給不足が深刻化し、高インフレが長らく政府の頭痛の種となってきた。小出しの対策が何年か続いた後、中銀が16年に事態の改善に向けてインフレ目標を採用した。

これまでもタマネギ価格の高騰に対する国民の怒りが1度ならず政権交代のきっかけになった。モディ政権は9月、値上がり懸念からタマネギの輸出を禁じた。

12月に食料品価格の伸びが鈍化した背景には、サプライチェーンの修復があった。厳格なロックダウンの間は交通手段や労働力が十分確保できず、供給に必要な物流ネットワークが遮断されていた。

一方、食料品以外の物価は数年間小康状態を維持した後、ここにきて急上昇に転じ、コロナ禍前に逆戻りの様相を呈している。インドの証券会社エーデルワイスによると、12月の食品と燃料を除くコアインフレ率は5.6%と、11月の5.8%からほとんど下がらなかった。

高インフレはロックダウンで経済成長が止まった後も続いている。国際通貨基金(IMF)によると、インドの20年4月~21年3月の国内総生産(GDP)が前年度比10%減少する見込みだ。同国の新型コロナ感染者数すでに1000万人を超え、世界で2番目に多い。死者数も15万人を突破した。

中銀、利下げに踏み切れず

中銀はインフレ懸念から20年5月以降、利下げに踏み切れずにいる。日用品価格の上昇が続く現状では金利はまだ数カ月間据え置かれるだろうとエコノミストの多くは予想する。

インド経済が20年のどん底から這い上がる兆しはある。製造、鉄道輸送、トラクター販売などの業種では確かに改善が見え始めている。

しかし、英投資助言会社TSロンバードのエコノミスト、シュミタ・デベシュワル氏はインフレがインド経済回復の妨げになるとの見方を示す。

同氏によると、民間投資は18年以降低調なままで、例えば野菜を農家から店先に運ぶのに必要なインフラの整備に資金が行き届かず、慢性的な供給不足に拍車が掛かっている。その結果、価格が大きくつり上がり、物価全体の上昇を加速している。

「これはインドがずっと以前から抱えている問題だ」とデシュワル氏は指摘した。「経済成長が回復して需要が盛り上がると、供給が後手に回りインフレ加速の条件が再生される」

農業改革に農家が激しく反発
モディ首相が先に導入した農業改革では、農家は各州政府指定の卸売市場を通さず、民間小売業者に直接販売できるようになるはずだった。政府はサプライチェーンの簡素化と効率の改善によるインフレ抑制効果を期待した。

シンガポールの銀行大手DBSのエコノミスト、ラディカ・ラオ氏は「(農業改革が)狙い通りに機能すれば、食料品の高騰はかなり改善されるはずだ」と語った。

ところが、農産物取引の自由化を盛り込んだ新法は農家からの激しい反発を受け、最高裁判所によって一時停止された。

食品以外の値上がりも引き続き問題だ。インド最大手のマルチ・スズキをはじめとする自動車メーカーは1月、物価上昇などを理由に新車価格を引き上げた。

IHSマークイットがまとめたインドの20年12月の購買担当者景気指数(PMI)では、原材料の仕入れ費用や人件費を含む投入価格が2年ぶりの高水準を記録した。

一方、景気回復の足取りはいまだに心もとない。1月に発表された20年11月の鉱工業生産は前年同月比1.9%減少した。

このところの新型コロナ感染者数は1日あたり2万人弱と、9月の10万人近くと比べればかなり低い水準にある。それでもエコノミストらは再び感染が拡大すれば、立ち直りかけた景気の腰を折りかねないとみる。

ムンバイでタオルを販売するビノド・プラサドさん(57)はロックダウン前に比べ約20%高くなった商品を前にして、インフレへの不安が消えないと打ち明けた。

景気回復の兆候などさらさらなく、夕方まで商品が全く売れない日もあるという。プラサドさんは「誰も来やしない」とこぼした。

By Benjamin Parkin

(2021年1月20日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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