[FT]上海の名門・復旦大、ハンガリーに初の欧州拠点

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『ハンガリーは欧州連合(EU)内で初めて中国の大学を受け入れる。同国のオルバン政権と中国政府の関係の深さを物語っている。

上海の復旦大学が首都ブダペストにキャンパスを開き、ハンガリー政府は220万ユーロ(約2億8000万円)を助成する。開校は2024年を予定している。

ブダペストでは米著名投資家ジョージ・ソロス氏が約30年前に創設した中央ヨーロッパ大学(CEU)が同国トップの大学だったが、1年半前、…

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・ブダペストでは米著名投資家ジョージ・ソロス氏が約30年前に創設した中央ヨーロッパ大学(CEU)が同国トップの大学だったが、1年半前、オルバン氏のナショナリスト政権によって国外移転を余儀なくされた。

・欧州司法裁判所(ECJ)は20年10月、CEUに対するハンガリー政府の行為は世界貿易機関(WTO)のルールに抵触し、学問の自由を保障するEU基本権憲章の規定にも反するとの判決を下した。

「ハンガリーと中国の無条件の相愛」

18年11月、中央ヨーロッパ大学が国外移転を迫られたことに抗議する学生たち=ロイター

・ハンガリー科学アカデミーのアグネス・スノマール研究員は同国政府と復旦大の合意について「ハンガリーと中国の無条件の相愛」を示していると語った。

・「欧州ではほとんどの国が中国の大学とキャンパス誘致とは異なる形の合意を交わし、多くの大学が中国の大学と提携している」という。 

・一方、ハンガリーが復旦大のブダペスト開校に応じたのは、国際的な評価や財力で国内の全ての大学を上回る外国の競合校を迎え入れることで自国の教育システムが毀損しても構わないと考えている証左だとスノマール氏は指摘する。巨額の予算と複数学位制度を持つ復旦大が国内のトップ級の大学生を引き抜くなど「頭脳流出」の呼び水となる可能性もあるという。

・復旦大は英クアクアレリ・シモンズ社(QS)の世界大学ランキングで34位に格付けされ、6000人の学生を対象に国際関係、経済、医学、技術科学の各科目を講義している。ブダペスト校の開校まではハンガリーの大学4校との共同学位プログラムが提供される。

・中東欧アジア研究センターの設立者でブダペスト・コルビヌス大学助教授のタマシュ・マツラ氏は「名声を博するという意味では(復旦大は)ロンドンやベルリン、パリといったグローバルな首都で開校するとみられていた」と話す。

オルバン政権下なら「何も恐れずに済む」

・だが、オルバン派がメディアや国家機関への統制を着々と強めてきた今のハンガリーは「(復旦大にとって)政治的にとても安全な環境だ」とマツラ氏は言う。「西欧では内政の混乱に直面したり査察の対象になったりする可能性があるが、ハンガリーでは何も恐れずに済む」からだ。

・オルバン氏が首相に返り咲いた10年以降、ハンガリーは中国との関係を強めている。ハンガリーには中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の国外最大の物流センターもある。英調査会社オックスフォード・エコノミクスによると、ファーウェイはハンガリーの雇用の0.5%、国内総生産(GDP)と税収のそれぞれ0.4%を担っている。

・ハンガリーは20年4月、ブダペストとセルビアの首都ベオグラードを結ぶ高速鉄道の建設資金として、19億ドル(約2000億円)を中国から期間20年で借り入れた。ハンガリー議会はその際、政府に強大な非常権限を与える法案とともに、中国輸出入銀行からの融資保証に必要だとして鉄道事業の詳細を全て機密扱いとする法案を可決した。

・ハンガリーは国内5カ所に「孔子学院」も受け入れている。同学院は中国語教育の普及と友好関係の醸成を目的に掲げるが、中国の政治宣伝や学生・教職員への監視機関だと欧米では批判されている。

・ハンガリー政府報道官は「復旦大のブダペスト開校を機に、質の高い教育インフラの整備が飛躍的に進み、教育水準も底上げされるだろう」と述べた。また「特に中国企業がハンガリーに研究開発拠点を築くなど中国のさらなる投資につながる」と期待感を示した。

学問の自由への弾圧懸念

・CEUの国外移転をめぐっては、多くの識者がハンガリーの学問の自由に対する攻撃だと批判している。ハンガリー政府は18年、学位の認定対象リストから「ジェンダー研究」を除外した。復旦大の進出により学問の自由がさらに脅かされかねないと懸念する声もある。

上海の名門・復旦大学=ロイター

・復旦大は19年、中国当局が表現の自由への弾圧を強める中で、憲章から「思想の自由」をうたった文言を削除し、学生らが抗議集会を開いた。変更後の憲章には「中国共産党の指導を順守し、党の教育方針を完全に履行する」と付け加えられた。

・中国政府の締め付けが続くなかで「たとえ建設的な内容であっても国内の諸情勢について批判した人は皆処罰されている」とコルビヌス大のマツラ氏は懸念を示す。「私たちも大変憂慮すべき問題だ」

By Valerie Hopkins

(2021年1月19日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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