電通、本社ビル売却検討 国内最大級の3000億円規模

電通、本社ビル売却検討 国内最大級の3000億円規模
コロナ禍でオフィス改革広がる
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『電通グループが東京都港区の本社ビルを売却する検討に入った。売却額は国内の不動産取引として過去最大級の3000億円規模になるとみられる。新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークが主体となるなか、オフィス環境を変え、売却資金を事業構造改革や成長投資に充てる。コロナ禍を受け、企業の不動産戦略の見直しが広がってきた。

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・地上48階建て、高さ約210メートルの超高層ビルで、低層部には商業施設「カレッタ汐留」がある。旧国鉄・汐留貨物駅跡地の再開発により2002年に完成した。1月中にも優先交渉先を選び、本格交渉に入るもよう。

・ビル売却後も大部分をグループで賃借し、本社は移転しない方針。現在、ビルの約7割を利用している国内事業会社、電通のオフィス利用面積は半分程度に圧縮されるもようだ。電通グループはコロナ拡大後の20年2月以降、同ビルのグループ社員約9000人超がリモートワークを実施する。出社率は足元で最大2割程度にとどまり、余剰スペースが生まれている。リモートワーク推進に向けサテライトオフィス設置も進めている。資産を効率化する狙いもある。

・金融機関や不動産会社、投資ファンドなどが買い手候補に挙がっている。同ビルは当面安定した賃料収入が見込めるほか、東京都心の好立地にあり、今後電通がオフィス面積を減らしたとしても一定の入居ニーズがあるとみているようだ。

・不動産サービス大手JLLによると、国内のこれまでのビル取引額は2006年に国内不動産ファンドのダヴィンチ・アドバイザーズが香港の複合企業パシフィックセンチュリーグループから取得した大型オフィスビル「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」(東京・千代田)の約2000億円が最大だった。今回の取引がこれを超える公算が大きい。複数物件の一括取引を含めても、過去最大だった20年の米投資ファンド、ブラックストーン・グループによる全国賃貸マンション約220棟購入の約3000億円と並ぶ水準になる可能性がある。

・企業が不動産を売却する動きは広がっている。エイベックスは20年末、本社が入る「エイベックスビル」(東京・港)を売却すると発表した。買い手はカナダ拠点の不動産ファンド、ベントール・グリーンオークで、金額は約720億円とみられる。コロナ禍でイベントが開けないなど収益が悪化しており、資産を現金化して財務を強化する。リモートワークが定着し、都心に大型オフィスを構える必要が薄れたことも売却につながった。ここ数年の不動産相場の上昇を受け、売却益を計上しやすくなっていることも大きい。

・企業統治改革を受け、本業と関係の薄い資産の見直しが進んでいることも大きい。日本たばこ産業(JT)は20年に東京・虎ノ門の「JTビル」(東京・港)を住友不動産に売却した。本社を近隣の「神谷町トラストタワー」(同)に移転するのに伴い、19年から売却手続きを進めていた。

・企業が売却する不動産の受け皿となっているのが、主に外資系ファンドなどの機関投資家だ。低金利による運用難で、相対的に高い利回りが見込める不動産に投資マネーが流れ込んでいる。コロナ禍を受けた金融緩和で低金利が長期化する見込みとなり、機関投資家による不動産買いは今後、一段と活発になる可能性がある。