電力需要増やす脱ガソリン車、立ちはだかる電源の壁

電力需要増やす脱ガソリン車、立ちはだかる電源の壁
脱ガソリン車 戦略と課題
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『菅義偉首相は18日の施政方針演説で、すべての新車販売を電動車へと切り替える時期を「2035年まで」と明言した。目標達成には多くの課題があるが、温暖化ガスの排出が少ないクリーンな電源をどう確保するかもその一つだ。

「国家のエネルギー政策の大変化なしには、なかなか達成は難しい」。日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は昨年、50年に「温暖化ガス排出量実質ゼロ」にするとした政府目標に注文をつけ…

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・自工会は業界として実質ゼロに取り組む方針だが、安価でクリーンな電源を安定して確保できるかに神経をとがらせている。

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・「脱ガソリン車」を増やしていくと、どうしても電力需要は増える。充電の必要が増えるからだ。デロイトトーマツグループで環境・エネルギーが専門の加藤健太郎氏は、政府が目指す脱ガソリン車の動きが進めば「電力需要は5~10%増える見通しだ」とみる。「総電力需要のうち、今は数%にとどまる輸送部門の割合は10~15%になるだろう」と話す。

・「電気自動車(EV)のほうが製造時のCO2のインパクトが大きい」。昨年9月、経済産業省との検討会で、トヨタの開発部門のトップである寺師茂樹取締役はこう強調した。「走行時だけでなく車両の製造や燃料となる電気を生み出す過程の環境負荷も考えるべきだ」と主張。蓄電池の製造が主な要因で、EVは一般的なガソリン車に比べて2倍もの電力を消費するとされる。

・自工会も危機感を強めている。「サプライヤーを含む生産の脱炭素化が進まなければ欧米への輸出が阻害され、競争力を喪失する可能性がある」とみる。欧米では部品製造の段階から再生可能エネルギーを使っていると証明するよう迫られる可能性もある。「安価な再生エネを入手できなければ、国内生産の半分を占める輸出車が影響を受ける」(トヨタ幹部)と焦りがにじむ。

・ガソリン車から電動車への移行に伴って増える電力需要に対し、いかに温暖化ガスの排出を抑えた電源を確保するか。この点は各国共通の課題になっている。19年のEV販売台数で世界の半分を占める中国では、全発電量の約6割を石炭火力発電が占める。EVの普及で増加する電力需要を石炭火力など二酸化炭素(CO2)を排出する電源で賄えば「カーボンニュートラル」の目標達成は遠のく。

・政府はガソリンエンジンを搭載するハイブリッド車(HV)を販売禁止の対象にはしていないが、欧州では脱HVの動きも出ている。再生エネに加え、原子力発電やCO2の排出を抑えた火力発電なども含め、電源構成の見直しを急ぐ必要がある。