押印99%廃止 河野規制改革相「霞が関もやればできる」
脱ハンコに挑む(2)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE142DP0U1A110C2000000
※ 紙・ハンコの長所と短所、電子データの長所と短所を挙げてみる…。
(紙・ハンコ)
長所:
1、従来からのやり方で、ともかくも「従前通りの業務を回すこと」ができる。
2、パソコン、タブ端末、スマホ等の「情報デバイス」の操作に不慣れでも、参加(アクセス)できる。
3、大規模停電、広域ネットワーク障害に強い。
短所:
1、ともかく、「コンピューターでの処理」に乗せることができない。
2、ネットワークにつなげての「オンラインでの処理」に、乗せることができない。
(電子データ)
長所:
1、「コンピューターでの処理」に乗せることができる。うまく活用すれば、「100人力」。
2、オンライン化することができる。
短所:
1、改ざん、ハッキングの危険がつきまとう。バックアップも大問題。
2、大規模停電、広域ネットワーク障害に弱い。ヘタすると、「大規模な業務不能」「国家機能のマヒ」の危険がある。
もの事何でも、長短両面がある…。そこを充分踏まえながら、じわじわと進んで行く必要がある…。
『「霞が関だってやればできるというところをみせていきたい」。規制改革相の河野太郎は1月、行政手続きで必要な押印を99%以上廃止できたのを例に、2021年も改革を進めるとの意気込みを周囲に伝えた。
【前回記事】
「世界企業にハンコは要らない」 日立で進む電子化
18日に召集した通常国会では押印廃止の関連法案50本ほどを一括して提出し改正をめざす。
河野が押印の原則全廃の号令をかけたのは就任直後の昨年9月24日。廃止できないなら理由を示すよう求め、1週間足らずで判断…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り765文字
初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!
ログインする
https://www.nikkei.com/login 』
・廃止できないなら理由を示すよう求め、1週間足らずで判断を迫った。
・押印が必要な手続きはおよそ1万5千あり、このうち1万2千程度は実印でなく認め印が許されていた。本人確認にならない認め印ならもともと要らないじゃないか――。認め印をなくす調整で、最後に残ったのは法務省が所管する海外での遺言作成に関する手続きだった。
・民法は海外在住の日本人は在外公館の領事を公証人として遺言を作成できると定める。この手続きで認め印が必要だった。
・法務省は国内での同様の手続きには実印を求めており、海外で認め印でも良いとするのは印鑑登録が難しいからだと主張し廃止しかねていた。しかし河野は認め印全廃にこだわった。
・11月10日。法務省幹部と夜まで協議を続けた法相の上川陽子は、領事にパスポートを示し本人が署名すれば認め印は不要とすることで折れた。3日後、河野は認め印全廃と、実印などが必要な83の手続きを除く押印撤廃を達成できたと発表した。
・霞が関でも押印の機会は激減した。出勤簿は昨年末、紙に各自がはんこを押すのではなく、全府省で表計算ソフトなどに打ち込むルールに改めた。
・防衛省は昨年、閣僚や副大臣、政務官が最終決裁者なら「紙決裁」としていた規定を廃止。文書管理システム上で書類を見て、決裁ボタンをクリックする電子決裁に代わった。同省公文書監理室によると「テレワーク中も省外で決裁でき、意思決定の速度は上がった」という。
・もっとも河野の狙いは押印自体ではない。「はんこを押す行為がなくなれば、その手続きは書面でなくオンラインでできる」。行政手続きのオンライン化こそ「本丸」だと見据える。
・日本は20年の国連の世界電子政府ランキングで14位。河野は15日の記者会見で「日本が最先端を走っていないのは間違いない」と語った。95%超の行政手続きを5年以内にオンライン化する目標を掲げ、改革を次のステップに進める。(敬称略)