トランプ政権、分断と混沌の火種残し終幕へ

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『ドナルド・トランプ米大統領が20日、4年の任期を終えて退任する。「米国第一」を掲げて社会の分断をあおり、支持者を鼓舞する手法は国内外で混乱を引き起こした。後を継ぐジョー・バイデン次期大統領はトランプ氏が残した火種を抱えながら政策の大転換をめざす。

同盟国を軽視
「アフガニスタンの米軍の駐留規模は19年ぶりの低水準になった」。トランプ氏は14日の声明でこう訴え、2020年11月に打ち出した4500人…

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・「アフガニスタンの米軍の駐留規模は19年ぶりの低水準になった」。トランプ氏は14日の声明でこう訴え、2020年11月に打ち出した4500人から2500人への米軍削減の達成を誇示した。

・海外駐留米軍の削減は米国第一を象徴する政策の1つだ。ただ、反政府武装勢力タリバンの活動でアフガンの治安は改善に遠く、削減には拙速感が否めない。トランプ氏は退任前でも実行にこだわった。

・米国第一へのこだわりは、同盟国軽視につながる。米国の駐留費用の負担減を迫るため日本や韓国、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国に米軍削減をちらつかせた。ドイツでは実際に削減方針を決め、日韓では駐留経費を巡る交渉をバイデン次期政権に持ち越した。

・トランプ氏は多国間の枠組みや条約に背を向け、2国間の取引を追求してきた。3回に及ぶ米朝首脳会談は緊張緩和につながったが、北朝鮮の非核化に進展は全くなかった。欧州や中国など6カ国が加わったイラン核合意から離脱し、イランに交渉を迫った。ただ、イランは応じず、むしろ核開発を加速させている。

・バイデン氏は国際協調軽視を改めて「米国は(国際社会の中心に)戻ってくる」と訴える。20日の就任初日に、トランプ氏が離脱を決めた地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」に復帰する大統領令に署名するのはその象徴といえる。(ワシントン=永沢毅)

「米経済は史上最高だ」

・トランプ氏は経済政策の実績を引っさげて大統領選で勝つ青写真を描いていた。新型コロナウイルスが広がる2020年2月まで10年8カ月と過去最長の景気拡大を記録し、失業率も3.5%と約50年ぶりの水準まで低下した。米株式市場も最高値を付けた。経済政策に限っては世論の支持も比較的高かった。

・4年間で公約は次々と実行に移した。就任1年目の17年には他国に比べて高かった連邦法人税率を35%から21%に引き下げるなど大型法人減税を実現した。エネルギー業界の規制緩和を推進し、18年に米国の原油生産量は45年ぶりに世界首位となった。

・保護主義的な通商政策は日本を含む世界各国との激しい貿易摩擦に発展する。18年から鉄鋼とアルミニウムに追加関税を上乗せし、中国には年3700億ドル(約38兆5千億円)分に相当する輸入品に関税を課した。次々と報復関税をかけられ、米企業や農家には不満が募った。

・トランプ氏は「貿易赤字=負け」と見なして赤字縮小を公約に掲げたが、18年に過去最大のモノの貿易赤字を記録した。20年はその18年を上回る勢いだ。

・米経済や財政はコロナで大きく傷ついた。20会計年度の財政赤字は3兆ドルに達し、連邦政府債務は直近で27兆ドルを超えた。いずれも過去最大に膨らむ。重荷を背負うバイデン氏は目下の経済再建と、格差是正という2つの難題に直面する。(ワシントン=鳳山太成)

人種間の亀裂拡大

・トランプ米政権下では人種間の亀裂が深まった。調査会社ギャラップが行った2020年の調査によると、「白人と黒人の関係が良好だ」との回答は44%。オバマ前政権末期の16年に比べて9㌽下がり、01年以降で最低水準になった。

・20年5月に起きた白人警官による黒人男性の暴行死事件は人種差別に抗議する大規模なデモを引き起こした。全米50州2000都市以上で抗議デモが起き、少なくても200都市で外出禁止令が出た。規模は1968年に起きたキング牧師の暗殺事件後の暴動に匹敵するとの指摘があった。

・人種間の分断を助長したのがトランプ氏だ。17年8月、南部バージニア州で白人至上主義を掲げるグループと反対派が衝突。トランプ氏は「双方にとても良い人がいる」と語り、白人至上主義を肯定したと受け取られた。20年の大統領選では白人至上主義者とのつながりが指摘されている極右団体「プラウドボーイズ」に対して「下がって待機せよ」と呼びかけて非難を避けた。

・不法移民対策の柱に据えたメキシコ国境沿いの壁建設は道半ばで終わった。トランプ政権は約450㍄(約720㌔㍍)分の建設を完了したというが、そのうち新規の壁は約80㍄分にとどまり大半は既存の壁を改修したものだった。メキシコに壁建設の費用を負担させるとの選挙公約も実現しなかった。

・トランプ氏はテロ対策と称してイスラム諸国からの入国制限措置を強行した。廃止を求める訴訟が起きたが、連邦最高裁判所は入国制限を支持する判決を下してトランプ氏にお墨付きを与えた。(ワシントン=中村亮)

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平井一夫
ソニー シニアアドバイザー

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別の視点 英語でHonor Systemという表現がある。意味としては誠実、信頼、名誉をベースに「正しいことを素直に実行する」ということ。
230年以上前に批准されたアメリカ合衆国憲法は、これまでも幾多の困難な状況から米国の進むべき方向を示し、民主主義の手本とされてきた。
過去4年間の政権運用を振り返ると、どんなに素晴らしい憲法、制度があったとしてもHonor Systemを無視、軽視するリーダーが登場するといとも簡単に危機的状況に陥ることが分かる。
これは政権運用でも会社経営でも全く同じである。
2021年1月19日 11:15いいね
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