頻繁に切れる海底ケーブルの謎 ベトナムの「風物詩」

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『ベトナムで1月上旬から、海底ケーブルの不調が相次いでいる。海外のサーバーとの通信に必要な光ケーブルで、2つのケーブルに切断や漏電が確認されたと地元報道は伝えている。ベトナムではなぜか、しょっちゅう海底ケーブルが切れる。しかも国家に関わる重要なイベントがある時に起きる。

25日、5年に一回のベトナム共産党大会が開幕する。最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長の後継を決める重要なイベントだ。閉幕…

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・最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長の後継を決める重要なイベントだ。閉幕する2月2日までテレビもネットも報道はほぼ党大会一色になる。

・ベトナムは一定の報道の自由は認められているものの、主要メディアは政府の統制の下にある。2018年には発行部数でトップクラスの新聞「トイチェ(『若者』の意味)」が当時の国家主席の発言に関して誤報を掲載したとして3カ月間、電子版の発行停止処分を受けた。人事も刷新された。

・このような統制の中、自由な発言を繰り広げているのが海外メディアと海外の反政府系の団体だ。インターネットもスマホも普及し、国民は自由に閲覧できる。南ベトナムから脱出した人が多い米国やカナダを拠点に政府批判を繰り広げる団体は多い。「海底ケーブルの切断は当局がこうした閲覧を制限しようとしているのではないか」(ハノイ在住15年の日本人男性)と見る人は少なくない。

・前回、海底ケーブルが切れたのは20年5月。その少し前には中国が、ベトナムなどと領有権を争う南シナ海に行政区を設置すると発表した。18年9月に国家主席だったチャン・ダイ・クアン氏が死去する直前にも海底ケーブルに不具合が生じ、海外サイトの閲覧が遅くなったり、見られなくなったりした。オバマ氏、トランプ氏など要人が来たときもそうだ。

・真相は検証しようもないが、ベトナム政府が海外の反政府系団体を警戒していることは事実だ。国家の治安維持も重要だが、頻繁なケーブル切断に”キレる”人も多いのではないか。

(企業報道部次長 富山篤)