メルケル後継、ラシェット氏が軸 欧州にリベラルの風

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『【ベルリン=石川潤】ドイツの与党、キリスト教民主同盟(CDU)が16日実施した党首選挙で、メルケル首相の中道路線の継続を唱えるラシェット氏が、保守派のメルツ氏らに勝利した。ラシェット氏は2021年秋に引退するメルケル首相の後継へ大きく前進した。独与党の保守回帰が阻止されたことで、ドイツ・欧州政治のリベラル化が進む可能性もある。

「成功した中道路線をさらに進めていく」。新党首に選ばれたラシェット氏は…

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・新党首に選ばれたラシェット氏は16日の独メディアとのインタビューで、これまでのメルケル政治の継続を宣言した。

・党首選の最大の焦点が、メルケル氏の中道路線継承の是非だった。仮に財政拡大に慎重で新自由主義に近い考え方の保守派のメルツ氏が勝利すれば、ドイツや欧州連合(EU)の財政・経済政策は修正を迫られる可能性があった。党が右に傾けば、メルケル時代に広げた中道・左派寄りの支持者を失いかねなかった。

・ラシェット氏勝利の流れを作ったのはメルケル氏だった。懐刀のブラウン首相府長官がラシェット氏支持をほのめかし、メルケル氏自身も党大会1日目の15日夜の講演で時代の変化を強調して旧世代のメルツ氏をけん制した。

・16日の1回目の投票ではメルツ氏がわずかにリードしたが、決選投票ではラシェット氏が521票を集め、メルツ氏の466票を上回った。メルツ氏は党首選後、経済相に就任したいと申し出たが、メルケル氏は「内閣改造の予定はない」と断った。

・ラシェット氏は次の首相になれるのか。最初の関門が、CDUと姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)による9月の連邦議会選挙に向けた首相候補選びだ。規模に勝るCDU党首が首相候補になるのが通例だが、ラシェット氏の世論調査での人気の低さがネックとなりかねない。

・ノルトライン・ウェストファーレン州首相であるラシェット氏はコロナ封じに苦戦して人気を落とした。対照的に、地元バイエルン州で危機対応にリーダーシップを発揮したCSU党首のゼーダー氏の人気は高い。ラシェット氏は16日、「ゼーダー氏と私は共通の案を見つけられる」と語ったが、ラシェット氏の望む案になる保証はない。

・首相候補は春までに決める見通しで、カギを握るのが3月に予定される2つの州議会選挙だ。ここで結果を残せば、ラシェット氏は追い風を得られる。

・9月の連邦議会選挙で勝利し、連立交渉で多数派を形成できれば、次期首相への道が開ける。想定される連立の組み合わせは限られている。もっとも有力なのがCDU・CSUと緑の党の連立だ。CDUが保守回帰でなく中道路線を選んだことで、連立交渉を進めやすくなることも考えられる。

・選挙の行方は不透明だが、中道色を強めるCDU・CSUと緑の党、中道左派のドイツ社会民主党(SPD)が中心になることは間違いない。メルケル氏の引退後もドイツ政治のリベラル路線が続く可能性が高く、欧州政治にも波及しそうだ。

・もっとも、主要政党が過度に左寄りとなれば、政府に不満を持つ保守層は受け皿を失う。極右政党が再び勢いを増すリスクもある。