[FT]台湾 輸入解禁の米国産豚肉に消費者が拒絶反応

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『台湾の消費者が輸入豚肉を敬遠している。その影響で地元産の価格が上昇し、域内の豚肉市場自由化が米国の生産者に新たな機会をもたらすという期待はくじかれた。

台湾は成長促進剤「ラクトパミン」が残留した米国産豚肉の輸入を2021年1月1日付で解禁した。台湾当局は、この決定が2国間貿易協定に向けた米政府内の支持を確立すると期待している。一方で米国は、地場の生産者に偏る市場への参入拡大を見据えている。…

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・一方で米国は、地場の生産者に偏る市場への参入拡大を見据えている。

世界4位の1人当たり豚肉消費量

・台湾は世界有数の豚肉消費で知られ、19年は年間の1人当たり消費量が40キログラム超と4位にランクインした。台湾人にとって豚肉は主なたんぱく源となっている。

・ただ、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が自由化を発表して以来、米国からの豚肉輸入は急減しており、今では他国からの輸入豚肉需要にも打撃が及んでいる。

・米農務省のデータによると、台湾向けの米国産豚肉の輸出成約高は、蔡総統の発表の前週にあたる20年8月20日の週に4337トンと過去最高水準に達した後、急激に減少している。

・米国産豚肉はドル安で輸出競争力が高まっているものの、台湾向けは減少し、ここ数年の水準を下回っている。入手可能な最新のデータによれば、クリスマスと新年の間の週はわずか371トンにとどまった。

・台湾の野党が市場改革に反対しているうえ、当局が食の安全は守ると約束したことが引き金となり、地元産以外の豚肉は有害なのではないかという消費者の不安が高まったと観測筋はみている。

・12月は150社を超える台湾の豚肉輸入業者が、米国産豚肉は輸入しないとする誓約書に署名した。一部の小売業者はすべての輸入豚肉の仕入れを縮小している。

「信頼できるのは地元産」との声

・台湾のスーパーマーケット大手、全聯福利中心(PXマート)のある幹部は、「人々が求めているのは新鮮な地元の食肉、信頼できる供給元からの豚肉だ」と語った。「有害な米国産豚肉を売っている店だとフェイスブックに投稿されたくないので、台湾産豚肉の仕入れを増やしている」という。

・結果として地元産の豚肉が割高になっている。台湾の農業委員会(農水省)によると、輸入自由化が実施されてから、平均卸売価格は1キログラムあたり73.54台湾ドル(約273円)と、1月としては17年以来の高値を記録した。

・多くの飲食店が1日から値上げに踏み切っている。台北で小さな飲食店を営むヤオ・チェウェンさんは、揚げた骨付き肉をのせた排骨(パーコー)麺の価格を10台湾ドル引き上げて130台湾ドルとした。「使用する台湾産の豚肉が今は値上がりしている」という。「ラクトパミン入りの豚肉など誰もいらない」

・台湾の最大野党・国民党は、市民の健康を危険にさらす市場開放は悪だとして、国会にあたる立法院の議場で豚の内臓を投げ付ける抗議手段にさえ打って出た。

・当局は、小学校の給食に台湾産の豚肉のみ使用するよう規制するなど、弱い立場にある人々がラクトパミンにさらされることはないと約束している。また、地場の豚肉生産者を対象とした補助金制度も立ち上げている。

・蔡総統は新年の談話の中で、台湾は貿易に依存して生き延びているため、ラクトパミンを使った豚肉の輸入は許可せざるを得なかったとして市民に理解を呼びかけた。

By Kathrin Hille

(2021年1月10日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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