英、EU完全離脱で水産業混乱 北アイルランドは食材不足

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『【ロンドン=中島裕介】英国が1日に欧州連合(EU)の単一市場と関税同盟から完全離脱したことで、地方での水産物の出荷や食料品の物流に混乱が出始めた。EUとの自由貿易協定(FTA)の合意で関税ゼロの貿易は維持したものの、煩雑な通関手続きが新たに発生しているためだ。FTAの成果を誇示しながら、トラブルに迅速に対応しないジョンソン政権への不満は強まっている。

「来週、我々が水産物を欧州市場に輸出できないな…

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・「来週、我々が水産物を欧州市場に輸出できないなら、私たちの腐った貝を(英議会がある)ウエストミンスター宮殿の入り口に捨てる」。英北部スコットランドの水産業者ロッホファイン・シーファームスの幹部社員はツイッターに投稿した動画で、ジョンソン政権を強く批判した。

・新たな通関手続きの発生でEUに輸出する魚介類は商品名や重量などを輸出申告したうえで原則、全ての箱について獣医の安全検査が必要になる。トラック1台分の手続きに数時間かかるケースもある。英紙ガーディアンによると魚介類の鮮度が落ちるため、フランスやスペインのレストランがスコットランド産の食材の入荷を止め始めた。

・海運会社DFDSは物流の混乱を受けて17日までEUへの水産物の配送を停止し、社内体制の整備を急いでいる。業界団体のスコットランドフード・アンド・ドリンクは「1月に入って漁業の稼働率が落ちたうえに、一部の水産品の価格が80%下がった」と説明する。

・漁業は昨年末までの英EUのFTA交渉で英国が「英海域の主導権をEUから取り戻す」と豪語しながら、大きく譲歩した分野だ。EU離脱で漁獲量が増えるどころか損害を被る事態に、水産関係者の憤りは強い。

・英領北アイルランドでは一部のスーパーマーケットで食料品が英本土から入荷されない事態が起きた。

・英EUは北アイルランドでかつての国境を巡る紛争を再発させないため、完全離脱後もEU加盟国アイルランドとの間に物理的な国境を設けないことで合意した。その代わり北アイルランドに限り製品の安全基準などをEUに合わせることにした。

・このため大半の食品では英国内の移動にもかかわらず、英本土からの入荷の際に通関手続きが発生する。一部の企業が輸送に必要な手続きの準備をしていなかったことで、食料品の配送の遅延が起きたもようだ。

・英BBCによると13日夜現在では物流問題は「克服されつつある」という。ただ現状ではまだ一部の手続きが猶予されていて、4月からは食料品の入荷に関する規制は一段と厳しくなる。テスコやセインズベリーなど英スーパー大手は連名で英政府に書簡を送り、EUと混乱回避策を協議するよう求めた。