[FT]「反乱勢力を追え」 就任式前に検挙急ぐFBI

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『米首都ワシントンで連邦議会議事堂への乱入が起きた当日、警察当局は重大な危険物を発見していた。共和党と民主党の全国委員会本部の建物周辺で2つのパイプ爆弾が見つかっていたのだ。

米国の政治エリートが再びワシントンに集うバイデン次期大統領の就任式が1週間後に迫るなか、捜査当局は誰が爆弾を仕掛けたのか、なぜ不発に終わったのか、解明できていないと認めている。

議事堂襲撃事件で最も戦闘的な行為に出た者たちの背…

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・議事堂襲撃事件で最も戦闘的な行為に出た者たちの背後関係がつかめていない。強硬な反乱勢力が野放しの状態で、20日の大統領就任式など、政権移行の関連行事が脅かされる事態への懸念が高まっている。

・「法執行機関に対する暴力や武装闘争を呼びかける情報がある。これはほんの兆しにすぎない。今後の動きを警戒すべきだ」と、名誉毀損防止同盟(ADL)の過激主義研究センター(COE)で世界の過激派の動向を監視するジョアンナ・メンデルソン副所長は言う。

・連邦検察当局は13日、騒乱を起こしたトランプ支持者に関して不法侵入や反乱、殺人などの疑いで170件以上の捜査を進め、すでに70件以上が起訴に至ったと発表した。

組織的襲撃かどうかは不明

・しかし検察当局は、議事堂襲撃が組織化されていたのか、乱入者のなかで、何らかの組織に属する人物が扇動していたかどうかは判明していないと認めている。また、乱入者の一部が議員の拉致や殺害を計画していたかどうかも不明だ。

・これまでのところ、連邦当局による起訴は組織的犯行を罪状に挙げていない。司法省関係者は現在、暴動に関与した個人の特定と逮捕を優先しており、組織的な犯罪としての起訴は後になる可能性があるとしている。

・現時点では、米連邦捜査局(FBI)が起訴した者の多くは、「意図的な」クーデターを起こそうとしたというより、「願望」で動いていたとみられる。暴力的な転覆を口にしてはいても実行計画はなかったということだ。

・パイプ爆弾が見つかり、また、一部の乱入者は組織的な性格を帯びているとみられるが、暴動の大部分は綿密には計画されておらず、日和見的なものだったとみる専門家が多い。

・角のついたかぶりものをした姿の写真が広まった「Qアノンのシャーマン」ことジェイク・アンジェリ容疑者や、ペロシ下院議長の部屋に侵入してデスクに足を乗せたリチャード・バーネット容疑者など、の主な乱入者がすでに逮捕されているが、彼らに組織的な過激派の活動に参加した前歴はほとんどない。

・「彼らはあそこで自撮りをして注目を浴びた。それはある意味では『グラム』(インスタグラム)のためという部分のほうが大きかったということだ」と、カナダ・コンコルディア大学の博士課程で過激派組織のIT(情報技術)活用について研究する、マーク・アンドレ・アルヘンティーノ氏は指摘する。

武装した参加者も

・だが、より重大な暴力が準備されていたことを示す材料もある。議事堂への不法侵入で起訴された2人の男性は、戦闘服を着てプラスチック製の手錠を持った姿が撮影されている。2020年にミシガン州のウィットマー知事を拉致しようとした武装集団の装備を想起させる。

・逮捕された別の男性は実弾1発を込めた拳銃を持っていた。もう1人は、ガソリンに発泡スチロールを溶かして詰めた火炎瓶11本をピックアップトラックに積み込んでいた。司法省は裁判所への提出書類の中で「ナパームと同等の効果を持つ爆発性混合物」としている。

・加えてFBIは、極右団体「プラウド・ボーイズ」のリーダーであるエンリケ・タリオ氏など、最も暴力的で好戦的な組織を率いる面々を事前に拘束できていたとしている。タリオ氏は暴動の2日前、大容量の弾倉2個を所持して逮捕され、ワシントンに留まることを禁じられた。

・最も強硬なトランプ支持者の多くは、もはやバイデン氏の勝利を覆すことはできなくなったとみて先週の抗議活動には参加しなかった。

・議事堂を襲撃した右翼のネイティビスト(外国人排斥主義者)の最も著名なメンバーの一部はいまだに捕まっていない。専門家からは、バイデン氏の大統領選勝利の認定に混乱を引き起こせたことから、議事堂乱入に距離を置いていた一部の過激派が触発され、大統領就任式を標的にする恐れがあるとの見方が出ている。

・「就任式の妨害は彼らの望むところだ。彼らは敵を葬ろうとする暴力的な革命家だ」と警鐘を鳴らすのは、Qアノンに関するポッドキャスト「Adventures in HellwQrld」を配信するマイク・レインズ氏だ。「反乱がもっとうまくいけば大喜びだろう」

ワシントン以外が攻撃の的に?

・ワシントンに州兵が配置されることを受けて、過激派は別の標的を狙う可能性があるとイーロン大学(ノースカロライナ州)のメーガン・スクワイア教授は指摘する。

・足取りがつかめない1人は、白人至上の極右グループ「オルト・ライト」のメンバーでティム・ジオネット(別名ベイクト・アラスカ)容疑者だ。20年にアリゾナ州で催涙スプレーを使って警備員に襲いかかったとして逮捕された前科を持つ。今回は、乱入のもようを動画でライブ配信し、視聴者から寄付とともに暴力の呼びかけなどの指示も受けていた。

・メンデルソン副所長によると、ADLが特定に協力した50人以上の個人が何らかのイデオロギー的な背景を持ち、そのうち十数人の過激派は白人至上主義や反政府運動と関係があったという。

・不法侵入のかどで8日に逮捕されたプラウド・ボーイズのハワイのリーダー、ニコラス・オックス容疑者は12日、保釈金を払って釈放されたと表明した。米国議会選に立候補したこともある同容疑者は、乱入の動画とツイートを投稿した。暴動の翌日には「中に入った人たちは何も壊したりはしなかった」と対話アプリ「テレグラム」に投稿。「正直、楽しい雰囲気だった」

・だが暴動の規模は、まだこれから多くの逮捕者が出ることを意味している。「何千人もいた」とメンデルソン氏は言う。「正確かつ完全な検挙には時間がかかる」

By Kadhim Shubber & Siddharth Venkataramakrishnan

(2021年1月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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