中国の対米輸入、目標6割止まり 「第1段階」合意1年

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『【ワシントン=鳳山太成、北京=川手伊織】米中が貿易交渉を巡る「第1段階の合意」に署名して15日で1年が経過する。中国が米国製品を大量購入する約束は目標の6割弱にとどまる。バイデン次期米政権は合意後も続く制裁関税が米経済の重荷になっていると批判しており、見直しに動く可能性がある。

米中貿易戦争を「一時休戦」に導いた第1段階合意はトランプ大統領と中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相が2020年1月15日に…

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・米中貿易戦争を「一時休戦」に導いた第1段階合意はトランプ大統領と中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相が2020年1月15日に米首都ワシントンで署名した。知的財産権の保護など7分野で構成する。目玉は20~21年に中国がモノとサービス輸入を計2000億ドル(約21兆円)増やすとした約束だ。

・「中国は約束を守っていない。第1段階合意は大失敗だ」。バイデン次期大統領はこう批判する。米ピーターソン国際経済研究所の集計によると、20年1~11月の中国のモノの対米輸入(購入拡大の対象品目ベース)は869億ドル。11月までの段階で目標達成に必要な水準(1538億ドル)の56%にとどまる。署名直後に新型コロナウイルスが広がり、出足から低調だった。

・もともと米国が1980年代に日本に数量規制を迫ったような「管理貿易」には無理があった。米国の主力産品である大豆の輸出は対中国が前年同期比58%伸びる一方で、中国以外は軒並み減り、輸出相手に占める中国が11ポイント増の53%と過半を占めるまでになった。自由市場にひずみが生まれ、米農家は持続性に疑問を投げかける。

・バイデン氏は、トランプ氏の通商政策について輸出入で米企業に負担を強いたにもかかわらず、産業補助金など構造問題で中国から譲歩を引き出せなかったと酷評する。米国は1200億ドル分の中国製品への関税を7.5%に半減させたが、2500億ドル分への25%は据え置いた。米政府統計によると、1月上旬までに徴収した対中関税は742億ドルと、貿易戦争前に徴収していた平時の年間関税額の2倍超に相当する。

・トランプ氏がこだわった貿易収支の「改善」も進まなかった。中国税関総署が14日発表した20年の対米貿易黒字は3169億ドルと、過去最高だった18年(約3200億ドル強)に匹敵する規模だった。中国の輸入が伸び悩んだほか、新型コロナの感染拡大防止策で米中の明暗がくっきり分かれ、マスクなど医療品やパソコンなど電化製品の対米輸出が大幅に増えた。

・バイデン氏は米紙のインタビューで「最初の数週間は(対中国の戦略で)同盟国と足並みをそろえることを優先する」と述べ、関税や第1段階合意を就任後すぐには見直さないと明言する。発動済みの関税を無条件で解除すれば「中国に弱腰」と批判されるのは必至だ。中国から譲歩を引き出すカードに使う構えだ。

・ピーターソンのゲイリー・ハフバウアー研究員は「バイデン政権は第1段階合意の数値目標にこだわらず、制裁関税の適用除外を幅広く認めていくべきだ」と話す。米企業の要請を受けて条件を満たせば米政府が特定製品の追加関税を免除する仕組みがある。これをフル活用すれば、表向きは強硬姿勢を保ちながら企業負担を抑えられる。

・一方、習近平(シー・ジンピン)指導部は「米中合意を着実に履行していく」と静観する姿勢を示す。当然ながら「米国の出方次第で扱いは変わる」(外交分野が専門の共産党関係者)。閣僚級人事では、すでに新たな対米貿易を見据えたかのような動きも見られる。

・中国政府は、通商交渉を担う国際貿易交渉代表に兪建華氏を充てる。中国メディアによると、17年夏に米国が中国による知的財産権の侵害を対象に通商法301条に基づく調査を始めた後、兪氏は同副代表として米側との交渉を担った実績がある。世界貿易機関(WTO)などでの勤務経験もある専門家だ。

・中国は第1段階の合意後も、トランプ氏が重視する大豆輸入などを使って米国に揺さぶりをかけてきた。新型コロナや香港問題で米中関係が一段と悪化するなか、中国による米国産大豆の輸入は停滞した。20年11月の大統領選を前に農業票の支持を集めたいトランプ大統領に圧力をかける動きは9月まで続いた。20年4月以降、前年同月を3~9割下回っていた。10月に増加に転じたが、10月分の結果が判明したのは大統領選が終わった11月25日だった。

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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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別の視点 ちなみ、日本から米中向けの輸出動向を見ると、中国向けは既に昨年7月から前年水準を上回っていますが、米国向けは9月からようやく前年を上回り始めましたが、11月は前年を下回ってしまっています。
それでも、日本の輸入が依然として前年水準を下回り続けていることからすれば、米中経済の回復の強さを示していますが、貿易面から見たコロナショック後の経済の回復度合いは中国が圧倒的なようです。
2021年1月15日 8:27いいね5