上院弾劾、新政権下で 大統領退任後の裁判に

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『【ワシントン=中村亮】米議会下院が13日にトランプ大統領を弾劾訴追したことで、舞台は上院の弾劾裁判に移る。開催は20日の新政権発足後の見通し。退任後の大統領を弾劾裁判で裁く前例のない展開になる見通しだ。トランプ氏を「有罪」とするには共和党議員の3割超に当たる17人の造反が必要となる。反トランプの流れが共和党のなかにどこまで広がるかが焦点となる。

「民主主義を守るためにトランプ氏の行為を黙認したり大目に見たりしてはならず、罰しなければいけない」。民主党上院トップのシューマー院内総務は13日の声明でこう力説した。トランプ氏に連邦議会占拠を扇動した責任を取らせないと、今後も同様の惨事が起きると懸念している。民主党は近く、事実上の上院多数派となり裁判の手続きを決める権限を持つ見通しだ。

弾劾裁判は下院民主党が検察官、トランプ氏の代理人が弁護人、上院議員が陪審員の役割をそれぞれ担う。弾劾裁判長はジョン・ロバーツ連邦最高裁判所長官が務める。民主党とトランプ氏の代理人がそれぞれの主張を展開し、議員からの質問に答える形式になるとみられる。出席議員の3分の2が賛成するとトランプ氏が有罪になる。

共和党上院トップのマコネル院内総務は13日の声明で「今後7日間は安全な就任式(の開催)やバイデン次期政権への秩序的な移行に集中することが国にとって最も良い」と指摘。弾劾裁判は新政権発足後となる可能性が高く、その場合トランプ氏は大統領退任後に裁かれることになる。

弾劾裁判のカギを握るのは共和党だ。上院は共和党と民主党(無所属を含む)がそれぞれ50議席を占める見通しで、トランプ氏を有罪とするには共和党から最低でも17人の造反が必要だ。

マコネル氏は13日の同僚議員への書簡で「どう票を投じるか最終決断を下していない」と態度を明確にしてないとされる。これまでに共和党上院ではリサ・マカウスキ議員がトランプ氏の辞任を要求。パット・トゥーミー議員もトランプ氏について「弾劾される可能性がある行為に関わった」と指摘している。ただ造反を明確に示した共和党議員はまだ少数で、出席議員3分の2の賛成を集めるのは容易ではない。

民主党は政府関係者らを証言させることで共和党議員を切り崩すチャンスがある。たとえばトランプ氏は議会占拠が起きた後も州兵動員に慎重だったとされ、事態悪化を招いた一因との見方がある。ホワイトハウスや国防総省関係者の証言を通じて州兵をめぐるトランプ氏の不適切な言動が明らかになれば共和党議員を揺さぶる材料になる。

過去には証言が大きな効果を持ったケースがある。1970年代前半のウォーターゲート事件ではホワイトハウス法律顧問の証言をきっかけにニクソン元大統領の弾劾論が強まって最終的には辞任につながった。

ただ関係者の議会証言を行うと裁判終了が遅れるデメリットがある。2020年1月に開いた「ウクライナ疑惑」をめぐるトランプ氏の弾劾裁判では共和党が証言を拒否した結果、約3週間で終わった。一方、ホワイトハウス実習生との不倫関係が問題になったクリントン元大統領の裁判は複数の関係者が証言を行い、裁判は約5週間続いた。

弾劾裁判は原則として上院議員の欠席が認められない。トランプ氏の有罪に向けて裁判に時間がかかるほど、委員会での政府高官の承認や新型コロナウイルス対策の法案審議が進まないジレンマがある。民主党のジョー・マンチン上院議員は「有罪に必要な票は集まらないことは分かっている」と語り、政策推進が必要な新政権の発足直後に裁判を開くことに疑問を呈している。

バイデン氏は上院民主党に対し、折衷案として弾劾裁判と人事承認などに時間を均等に割り当てる案を示している。バイデン氏に近い民主党指導部のジェームズ・クライバーン下院議員は政権発足100日後に裁判を始めるべきだと主張し、裁判と政策の両立に苦慮している。

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