ドラマ 「クィーンズ・ギャンビット」 : 机上空間

http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/24817154.html

※ 久々で、「机上空間」さんのサイトから紹介する…。

※ 米国大統領選の「混乱」を見て、「民主主義」というものの将来に、深い失望を覚えられたようで、暫くお休みなさっていたようだった…。

※ しかし、最近、また活動を再開されたようだ…。

※ オレ自身は、「将棋」や「チェス」や「囲碁」と言ったものには、全く疎く、そっち方面は、からっきしだ…。

※ しかし、「人生」というものや、「人間性の本質」といったものに触れている、含蓄深い話しが語られていると思うので、一部を紹介する…。

 『女性を主人公にする事で、ドラマとしては、さらに深みを増す演出になっています。というのは、チェス大会は、当時としては珍しく実力だけで勝負がかけられる世界で、ローカルな地方の大会は別にして、メジャーな大会では男子の部・女子の部という区分けがありません。年齢の制限も無くなるので、少年対老人といった対戦も普通に起きます。レーティングという戦果を表す数字が、評価の全てなので、その他の要素は考慮の外なのです。』

『それゆえ、チェスに魅了された選手というのは、敗北感で心理的に打ちのめされる事が多く、心を病む人が絶えないんですね。物凄くIQが高く、思考力においては優れている人々なのですが、容赦の無い勝負の世界での挫折感で、アルコール中毒や、家庭崩壊で廃人になる率が高い世界です。それでも、まるでパチンコ中毒のように、チェスを止められないのです。その上、男女差が無いとは言え、当時、趣味以上に没頭する女性プレイヤーは皆無の状態で、完全な男性社会です。それゆえ、ドラマの設定としては盛り上がるわけですね。』

『題名になっている「クイーンズ・ギャンビット」ですが、ギャンビットというのは、ポーンを敢えて犠牲にする事で、駒の展開や陣形を優位に整えるオープニング全般を指す言葉です。ポーンはチェスにおいて、「兵卒」と訳される自陣から見て2列目に8個並ぶ、前進しかできず、斜め前の駒しか取れない駒の事です。犠牲にするポーンをどれにするかで名前が付いていて、クィーンの駒の前にある白のポーン(チェスでは先手が白と決まっています)を、2マス進めてd4という盤面の位置へ動かす事から始まる展開を、クィーンズ・ギャンビットと言います。

ポーン(特徴の無い平凡な駒)を犠牲にして、クィーン(オールマイティーに前後斜め全ての方向へ動ける駒)を活かすクィーンズ・ギンビットは、このドラマで最初期の導師的立ち位置の用務員の老人から少女のヒロインに向けられる「才能は犠牲を要求する。お前の中には大きな怒りがある」という言葉と呼応しています。チェス以外に興味を示さなくなったヒロインは、実力で活路を切り開くのと引き換えに、一般的な生活や魂の平穏、幸福からどんどんと遠ざかっていきます。』

『ちなみに、フィッシャーの要求した賞金の100万ドルですが、金銭欲からではなく、敬意を表すのに、フィッシャーが賞金の金額以外の手段を知らなかった為と言われています。それくらい、浮世離れした生活をしていたわけです。後に、この出来事が縁で知り合ったツィタにフィッシャーは求婚しているのですが、これは断られています。ツィタによると「チェスの世界を極めるということは、他の全てを諦める事と同義なのを、フィッシャーを見ていて感じた。自分には無理である事を思い知った」と語っています。』

『クィーンズ・ギャンビットの題名は、このチェスの神様と言われた人物が生きた人生が語る「突出した才能は大いなる犠牲を伴う」を暗示しています。ドラマ中盤での栄光と反比例するヒロインの生活の荒れっぷりは、まさにフィッシャーの伝聞される人生を投影しているかのようです。』