慰安婦判決、茂木外相「異常事態」 ICJ提訴も選択肢

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE091EJ0Z00C21A1000000

『茂木敏充外相は9日、日本政府に旧日本軍の元従軍慰安婦への賠償を命じたソウル中央地裁判決に関して「国際法上も2国間関係上も到底考えられない異常な事態」との認識を示した。今後の対応は「あらゆる選択肢を視野にいれて毅然と対応していく」と訴えた。オンラインで記者団に答えた。

ソウル中央地裁は8日、原告12人(故人含む)に対し1人当たり1億ウォン(約950万円)を支払うよう日本政府に求めた。日本は国家が外国…

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・日本は国家が外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則に基づいて審理を欠席してきた。地裁は原則が適用されないと判断した。

・元徴用工問題で悪化していた日韓の対立はさらに決定的なものになった。茂木氏は「日韓は非常に深刻な関係にあった。事態は急速に悪化する懸念が高まっている」と強調した。

・日本政府は判決が主権免除の原則に反しており「国際法違反だ」と主張する。茂木氏は日本時間8日に訪問先のブラジルから韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相に電話し早急に是正するための措置を取るよう強く求めた。外交当局間での意思疎通は続けると一致した。

韓国の康京和外相=ロイター

・政府はまず外交ルートを通じて韓国側に裁判を却下するなど対応を求める。控訴すれば韓国の裁判権に服することになるため検討しない。

・韓国側に改善の意思が見られなければ、対抗策も検討する。法的な対応として国家間の法的な紛争を国際法に従って裁判する国際司法裁判所(ICJ)への提訴が候補に挙がる。裁判には韓国の同意が必要となる。提訴は韓国側の主張を国際社会に広めかねないため政府内には慎重論もある。

・外交的な措置としては大使の召還や一時帰国がある。2017年1~4月に韓国・釜山の慰安婦少女像設置への対抗措置として、当時の長嶺安政大使を一時帰国させた。政府は8日に新たな韓国大使に相星孝一氏を充てる人事を決めたばかりで、今のところ予定通り着任させる構えだ。

・自民党内には経済面に影響を与える制裁の必要性を指摘する意見がある。人の往来を絞る選択肢もある。韓国人の査証(ビザ)の取得を厳しくするなど入国をしにくくする方法が考えられる。

慰安婦判決、蒸し返された110年前の不法と強行規範

慰安婦判決、蒸し返された110年前の不法と強行規範
編集委員 峯岸博
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH0937P0Z00C21A1000000

『韓国で相次ぐ日本政府や企業への判決文を読むと、日韓がはるか昔の関係に戻ってしまったかのような感覚を抱かざるを得ない。ソウル中央地裁が旧日本軍の従軍慰安婦訴訟で日本政府に損害賠償を命じた判決が日韓関係に及ぼす影響の大きさは計り知れない。

8日の判決は「訴えが却下されるだろう」という日韓両政府内の予想を裏切った。直ちに午前中に秋葉剛男外務次官が南官杓(ナム・グァンピョ)駐日大使を外務省に呼んで抗議した…

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・夕方には菅義偉首相が自ら記者団の前に立ち「断じて受け入れられない」と語気を強め、茂木敏充外相も出張先のブラジルから康京和(カン・ギョンファ)外相に電話し早急な是正措置を迫った。日本政府の衝撃度を物語る。

主権免除の「例外」に導く

・判決文の中核となるのが次の部分である。

・「(慰安婦問題は)日本帝国による計画的、組織的で広範囲にわたる反人道的行為で国際強行規範に違反する。当時日本帝国によって不法占領中だった朝鮮半島内で、わが国民である原告に対して行われたものであり、たとえこの事件の行為が国家の主権的行為だとしても、主権免除を適用することはできず、例外的に韓国の裁判所に被告に対する裁判権がある」

・「被告となった国家が国際共同体の普遍的価値を破壊し、反人権的な行為によって被害者に甚大な被害を与えた場合にまで、最終的な手段として選択された民事訴訟で裁判権が免除されると解するのは不合理であり、不当な結果を生むことになる」

・判決のポイントは、「慰安婦の動員・確保、慰安所の運営」などの日本政府の行為に関し、主権国家は同意しない限り外国の裁判で被告として裁かれることはないとした国際法上の「主権免除の原則」は適用できないと断じた点だ。判決はより具体的に「当時10代や20代の原告は『慰安婦』として動員された後、日本帝国の直接・間接的な統制の下、強制的に、一日何十回も日本の軍人たちの性的対象となり常時暴力にもさらされ、まともに衣食住も保障されず、終戦後も精神的な大きな傷を負った」などと指摘。こうした行為を日本帝国、すなわち日本政府による「計画的、組織的、広範囲にわたる反人道的犯罪行為」とみなしたうえで、主権免除の放棄対象とされる国際法上の「強行規範の違反」に当てはめたのが最大の特徴だ。

・強行規範とは、国際法上のいかなる逸脱も許されない規範のこと。国際法の序列で優位に立つ法と位置づけられ、それに反する条約や慣習国際法は無効とされる。対象の定義は明確ではないが、侵略や奴隷取引、海賊行為、人権などが挙げられ、今回の地裁判決は慰安婦問題という「反人道的犯罪行為」を人権侵害と位置づけたのである。これに対し、日本政府は「判決が主権免除の原則に反しており、国際法違反」との立場だ。

 韓国は司法が行政に介入することがたびたびある。ソウル中央地裁の入る庁舎(8日)=共同

日韓併合条約を「不法」の出発点に

・判決文に「不法占領中だった朝鮮半島で~」との表現がみられるように、最近の韓国司法は1910年から45年まで続いた日本の植民地支配は不法とする韓国側の主張を出発点としている事例がめだつ。徴用工問題もそうだ。元徴用工の精神的苦痛への「慰謝料支払い」を日本企業に命じた2018年10月の韓国大法院(最高裁)判決は、植民地支配と直結した「不法行為」による慰謝料請求権は、1965年の請求権協定の対象に含まれないとのロジックをつくり上げ、「日韓請求権協定で請求権問題はすべて解決済み」とする日本側の主張をはねつけたのだ。

・日韓併合条約は合法だったか、違法だったか――。14年もの歳月を費やした日韓国交正常化交渉でもこの問題をめぐって日韓双方が激しく対立し、結果として日韓基本条約によって「1910年8月22日以前に大日本帝国と大韓民国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される」との表現で折り合った経緯がある。「もはや無効」を日本側は「日韓併合条約は有効なものだったが、新しい条約を結んだので無効になった」と解釈し、韓国側は「そもそも無効な条約だったとあらためて確認した」と双方が自分たちに都合良く国内で説明できるようにした、いわゆる玉虫色の決着だった。

・溝が埋まらない歴史認識をあえて曖昧にし、日本からの経済協力資金を元手に韓国政府の責任で元徴用工らに補償するとの決着方法を選んだのは韓国側だった。「日韓請求権並びに経済協力協定」という協定の名称がそれを物語る。文在寅政権の外務次官経験者も著書の中で「外交上の知恵」だったと評価している。国交正常化以後に積み重ねられてきた歴代両政府による外交成果や民間交流の光の部分に判決は言及していない。

2015年は請求権協定の違憲提訴を「却下」

文在寅大統領の出方が今後の日韓関係を左右する=韓国大統領府提供

・過去には日韓関係の危機を回避した判決もある。2015年12月、戦時中に日本軍の軍属として働いた韓国人男性の遺族が求めた「日韓請求権協定は財産権侵害で韓国憲法に違反する」との訴えに対し、韓国憲法裁判所が「審判の要件を満たしていない」と却下したケースだ。当時は朴槿恵政権時代だった。もし憲法裁が違憲判断を下していれば日韓関係の土台である請求権協定はその瞬間から韓国国内で効力を失い、韓国政府は日本との再交渉を迫られると懸念されていた。

・その後、韓国で9年ぶりに誕生した革新政権下で、日本の「不法行為」が相次ぎ蒸し返されており、その都度、外交を激しく揺さぶる。裁判所が「主権免除の例外」と「強行規範の違反」を賠償支払い命令の根拠としたことで、今後、植民地時代のありとあらゆるものが司法の場に持ち込まれる可能性もある。「日韓請求権協定は韓国国内において崩壊した」(梁起豪・韓国聖公会大教授)と指摘されるゆえんだ。外交関係がこのまま坂道を転げ落ちていくのかはまずは文大統領の出方がカギを握る。

峯岸博(みねぎし・ひろし)
1992年日本経済新聞社入社。政治部を中心に首相官邸、自民党、外務省、旧大蔵省などを取材。2004~07年ソウル駐在。15~18年3月までソウル支局長。2回の日朝首脳会談を平壌で取材した。現在、編集委員兼論説委員。著書に「韓国の憂鬱」、「日韓の断層」(19年5月)。
混迷する日韓関係や朝鮮半島情勢を分析、展望するニューズレター「韓国Watch」を隔週で配信しています。登録はこちら。
https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?me=B002&n_cid=BREFT033

消息不明のインドネシア機、墜落と断定 機体の一部回収

インドネシアで旅客機が消息たつ 乗客・乗員62人搭乗か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0944Q0Z00C21A1000000

『【ジャカルタ=地曳航也】インドネシア運輸省は同国スリウィジャヤ航空SJ182便が9日午後、離陸直後に消息をたったと発表した。ジャカルタを出発しボルネオ(カリマンタン)島西部のポンティアナックに向かう途中で、インドネシア西部時間の午後2時40分を最後に連絡が取れなくなった。乗客・乗員62人が搭乗していたとの情報がある。

地元メディアはジャカルタの沖合の海上で漁師がなんらかの破片を引き揚げた映像を流している。当局は同機のものか確認を急いでいる。在インドネシア日本大使館は9日夜時点で同機に日本人が搭乗していたとの情報を確認していない。

航空機の航路を追跡する「フライトレーダー24」によると、同機はボーイング737-524で、午後2時36分にジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港を離陸した。スリウィジャヤ航空は同国3位で主に国内線を運航する。

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消息不明のインドネシア機、墜落と断定 機体の一部回収
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1015O0Q1A110C2000000

『【ジャカルタ=地曳航也】インドネシア当局は10日午前、消息をたっていたインドネシアのスリウィジャヤ航空SJ182便が墜落したと断定した。ハディ国軍司令官は首都ジャカルタ沖の海上で飛行機の機体の一部を回収したことを明らかにし「同機が墜落した地点だと確信している」と述べた。

ジョコ大統領も10日午前の声明で同機が墜落したとの見方を示し「この悲劇に哀悼の意を示す」と語った。運輸省と国家捜索救助庁に国軍や警察と連携して捜索・救助活動に全力を尽くすよう指示した。当局は海中から遺体の一部を収容したほか、飛行データを記録したブラックボックスの場所を特定した。

同機は9日午後2時40分、ジャカルタ近郊のスカルノ・ハッタ国際空港を離陸した直後に消息をたった。ボルネオ(カリマンタン)島西部のポンティアナックに向かう途中で、乗客・乗員62人が乗っていた。在インドネシア日本大使館によると、日本人は搭乗していなかった。

運輸省の説明では、墜落した機体はボーイング737-500で1994年に製造された。大雨で出発が遅れたという。航空機の航路を追跡する「フライトレーダー24」によると、同機は9日午後2時36分に離陸後、3000メートルを超える高度から急降下し1分以内に墜落したとみられる。

スリウィジャヤ航空はインドネシアで3位の規模で主に国内線を運航している。同国では2018年10月、格安航空会社のライオン航空が乗客・乗員189人を乗せジャカルタ沖で墜落する事故を起こした。

事故機を製造したボーイングは9日、「(事故について)メディア報道で認識している」としたうえで、「航空会社の顧客と連絡を取り、困難な時期に支援する準備ができている」との声明を発表した。事故原因などについては触れていない。

ボーイングの機材を巡っては主力の「737MAX」で事故が続いた。2018年にインドネシア機が、19年にエチオピア機が墜落し乗客が死亡する事故を引き起こした。その後各国・地域で737MAXの運航停止が決まった。ボーイングが利益を優先したことに加え、ずさんな開発体制や隠蔽体質について指摘されている。

737MAXは米国で20年末に運航が再開した。米司法省も21年1月7日、同機の事故に関してボーイングが約25億ドル(約2600億円)の和解金を支払うことで合意したと発表した。主力機の運航や出荷の再開に弾みがつくタイミングであるだけに、スリウィジャヤ航空の事故は今後の動向次第で再びボーイングの経営にとって打撃となるおそれがある。ボーイングは20年7~9月期決算で最終損益が4億4900万ドルの赤字だった。

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インド、経済孤立で「貧する大国」の懸念

インド、経済孤立で「貧する大国」の懸念
ニューデリー支局 馬場燃
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM055VB0V00C21A1000000

 ※ 発展途上国が、人口ボーナスを利用して「中進国」へと脱皮を図ろうとする戦略は、ほぼ同じものだ…。

 ※ 分厚い「労働人口」を利用して、「中間層」へと育成し、「国産品の消費」を促進して、農業国から工業国へと変身を図る…。
 
 ※ しかし、そういうことに「成功した国」は、数えるほどしか存在しない…。

 ※ 抱えている膨大な「農民」を、「商業・工業従事者」へと変身させるのは、至難の作業だ…。

 ※ 初等・中等教育を充実させて、教育環境を整備すれば足りる…、と机上の計画通りに、現実の姿は運ばない…。

『インドは東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加を見送り、国内に自立した経済圏を創る構想に向け歩み始めている。中国との国境対立も背景に地場産業を底上げする独自の道をめざしているが、インドが世界経済のなかで孤立する懸念がぬぐえない。いずれ中国を抜いて世界最大の人口に膨れあがるインドの課題は地場産業を着実に発展させて雇用の受け皿を増やすことだ。さもないとインドは将来「貧する大国」に陥る恐れが出て…

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・さもないとインドは将来「貧する大国」に陥る恐れが出てくる。

新型コロナウイルスの影響で失職した多数の出稼ぎ労働者は、徒歩での帰郷を強いられた=AP

・「半年以上も仕事に就けない状況が続いている」。インド北東部ビハール州出身のラム・シャルマ氏(31)は厳しい表情を浮かべる。かつては大都市の建設現場で働いていたが、新年を迎えても職が見つからない。

・人口1億人を超える同州はインドのなかでも経済発展が遅れる地域の一つで、首都ニューデリーなどに多数の出稼ぎ労働者を送り込んできた。ただインドは新型コロナウイルスの感染者が米国に次ぐ累計1000万人を突破し、経済活動の正常化が遅れている。インドの経済成長率は2020年4~6月期にマイナス23.9%と世界主要国のなかでも大きな落ち込みとなり、特に貧困層が打撃を受けた。インドの国内市場では輸入した商品や農産物の物流が滞るなどサプライチェーン(供給網)にも支障を来した。こうした事態を踏まえ、インドは産業政策の転換にカジを切った。

地場企業に補助金支給

・「インドで作られた製品をもっと普及させるようにしよう」。インドのモディ首相は20年12月末のラジオ番組で国民にこう呼びかけた。モディ氏は20年5月以降、インドに自立した経済圏を創る構想を打ち出した。貿易赤字の主因になっていた中国製品をインドの国内市場から排除し、なるべく地場製品に切り替えるよう動き始めた。インド政府は通信や自動車などの地場企業が売り上げを増やすと特別な補助金を支給する仕組みも導入した。20年11月に日中韓などの15カ国が署名したRCEPにも加わらず、インドは「鎖国」にも映る政策を取り入れた。

・多国間貿易の枠組みに背を向け、中国にも強硬な姿勢をみせつけるのはなぜか。背景にはインドが有する巨大な国内需要の伸長に期待している一面があるだろう。製造業などの競争力が弱いうちは世界とあえて戦わず、国内市場の開拓に注力するのかもしれない。

・国連の予測によると、インドの人口は30年までに15億人台に増え、その過程で現在は世界最大の中国を追い抜くとされる。人口増加に伴い中間層が台頭すれば、内需がさらに拡大するとの見方がある。まずはインドの市場ニーズにあった製品を地場企業が作りあげ、商品開発や価格競争の力が高まれば海外に輸出する――。こんな戦略が透ける。

インドは2020年11月に日中韓など15カ国が署名したRCEPへの参加を見送った=AP

・この前提に欠かせないのはインドの持続的かつ高い経済成長だ。インドの経済成長率は14~17年度の間に7~8%の高い水準を維持していた。この頃であれば、将来の中間層台頭のシナリオも説得力が十分あった。ただ、その後はノンバンクの経営危機や不良債権問題などが浮上し、成長率は18年度に6.1%、19年度は4.2%に急低下している。インドの中央銀行は20年度の成長率はマイナス7.5%と過去最悪を見込んでおり、インド経済がいつ持ち直すのかも判然としない。

・人口増加は成長が持続できないと、インド経済の足を逆に引っ張りかねない。

・民間調査会社の調べでは、14億人弱の人口を抱えるインドは新型コロナウイルスの影響で20年4月の失業率が25%台と約1億2000万人が失職したとみられる。20年12月の失業率も約9%に高止まりしており、個人消費を停滞させている。

「雇用なき低成長」の恐れ

・世界銀行によると、インドの15歳以上の労働人口は25年までに毎月130万人ほどのペースで増える。働き手が急増するなかで雇用を安定させるには年間800万人規模の新規雇用が必要になるという。この条件が満たされないと「雇用なき低成長」にインドが苦しむ可能性があると警鐘を鳴らす。

・世銀の試算では、インドの19年の1人あたり国内総生産(GDP)は2000ドルほどにすぎず、世界のなかでも後発グループに属する。世界の中間層の平均は約5500ドルにのぼり、現時点でも3倍近くある。インド経済が今後も低成長にとどまり続けると、雇用や賃金が増えずに人口だけが膨らむ「貧する大国」に陥りかねない。この場合は1人あたりGDPも停滞するだろう。

・インドメディアのなかでもRCEPの多国間貿易で競い合わず、どのように地場産業を強化できるのか疑問視する論調がある。ただ国内市場の足場固めをまず選んだインドは、外資企業の技術や資金も生かしながら地場産業の裾野を広げるしかない。インド国内に残る土地や労働法をめぐる複雑な規制の緩和も課題になりそうだ。

グローバルViews https://www.nikkei.com/theme?dw=17110100
いま大きく揺れ動く、世界経済。 自分か。自国か。世界か。このコラムでは、世界各地の記者が現地で起きる出来事を詳しく解説し、世界情勢の動向や見通しを追う。 今後を考えるために、世界の“いま”を読み解くコラム。

インド、経済孤立で「貧する大国」の懸念(0:00)
シリコンバレーの名物カフェ 救った起業家のリアル重視(4日)

視界不良の「メルケル後」 ドイツ与党、党首選へ 90秒でみる今週の海外ニュース

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM090KN0Z00C21A1000000

 ※ この1月16日の「党首選」の結果、選出される「新党首」が、メルケル後の「ドイツ首相」となる公算が高い…、と目されているらしい…。

 ※ 単に「独首相」というだけでなく、独仏枢軸の「EU」の舵取りにも大きな影響を与えるものだから、注目だ…。

 ※ 特に、EUの行方は、英のEU離脱後の姿をどう描くのか、米バイデン新政権との関係の構築、中国との距離の取り方など、難問山積なんで、その舵取りの行方は、注目される…。

『今週の海外ニュースの注目点を日経CNBC報道部長で国際部編集委員の高橋香織が動画解説します。

ドイツ与党、キリスト教民主同盟(CDU)は16日、党首選挙を開きます。メルケル首相は2021年9月の連邦議会選挙後に政界を引退する予定で、新党首が次の首相となる公算が高いとみられています。2005年の首相就任以来、欧州連合(EU)の結束をけん引してきたメルケル氏。ドイツの新しい指導者は今後のEUの対米、対中外交にも影響を及ぼしそうです。』

中国外相、東南アジア訪問へ 11日から

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1038A0Q1A110C2000000

『【北京=共同】中国外務省は10日、王毅国務委員兼外相が11~16日の日程でミャンマー、インドネシア、ブルネイ、フィリピンを訪問すると発表した。国営通信の新華社が伝えた。

米国と対立する中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)への影響力拡大を図っており、米国でバイデン新政権が発足するのを前に南シナ海問題などについて話し合うとみられる。

王氏は4~9日にはアフリカ5カ国を訪問した。』

アフリカ5カ国、中国支持表明 香港や台湾など「核心的利益」を巡り

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM100SN0Q1A110C2000000

『【北京=羽田野主、カイロ=久門武史】中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が9日にアフリカ5カ国の訪問を終えた。米中の長期対立をにらみ、新型コロナウイルスの「ワクチン」や金融支援で取り込みを進めた。5カ国は香港や台湾など中国の「核心的利益」に相次ぎ支持を表明した。

王氏は4日から9日の日程でナイジェリア、コンゴ民主共和国、ボツワナ、タンザニア、セーシェルの5カ国を公式訪問した。

「国民がワクチンを…

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・「国民がワクチンを得られるよう中国と協議している」。ナイジェリアのオンエアマ外相は5日、王氏との会談後、地元メディアに中国製ワクチンへの期待を示した。

・中国外務省によると、王氏は会談で「お互いの核心的利益を尊重し、内政不干渉の原則を堅持すべきだ」と強調した。ナイジェリア外相は台湾や香港を巡る問題で「中国を断固として支持する」と表明した。

・ナイジェリアは人口約2億人とアフリカ最大で、大量のワクチン調達が課題だ。ロシアも同様にワクチンを供給する姿勢を見せるが、中国が外相訪問で先行ぶりを印象づけた。

・米欧や中国でワクチン接種が進むのと対照的に、アフリカは確保に出遅れた。自前で開発できないうえに、資金不足に苦しむ国が多い。アフリカ疾病予防管理センターは、アフリカの広い範囲で接種が始められるのは21年半ばとみている。アフリカ全体の累計感染者は300万人、死者は7万人を超えた。

・王氏は次に訪問したコンゴ民主共和国で、債務の一部免除を表明した。20年末が期限だった無利子債務が対象という。ロイター通信が伝えた。米ジョンズ・ホプキンス大によると、同国への中国の債権は2000~18年に計24億ドル(約2490億円)にのぼる。

・中国から借り入れた巨額の資金の返済が難しくなる「債務のわな」に批判がでており、意識した可能性がある。ただ免除した金額は明らかにしていない。

・王氏はボツワナやセーシェルなどで習近平(シー・ジンピン)国家主席の肝煎りの経済圏構想「一帯一路」を推し進める考えを示した。

・アフリカでは1日、全体を共通市場にするアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が始動した。5年以内に品目ベースで9割を関税ゼロにする目標を掲げる。王氏にはインフラ建設や通信分野の中国企業の進出を後押しする狙いもありそうだ。

・中国の外相は1991年から毎年最初の訪問先にアフリカを選んできた。とくに21年はコロナが広がりオンラインでの会議が増える中で直接足を運びアフリカ重視の姿勢をアピールした。

・中国にとってアフリカは国連の場で中国支持を取りつける「票田」になっている。20年に制定した香港国家安全維持法や新疆ウイグルを巡る人権問題を巡ってアフリカ各国は中国支持を表明した。

・1月20日に就任するバイデン米次期大統領は新疆ウイグルなどの人権問題を巡って同盟国と連携を深めて対中圧力を強める構えを見せている。王氏の年初のアフリカ訪問にはバイデンの「人権外交」に備える思惑が透ける。

金正恩氏「米国を屈服させる」 米首都射程に核高度化 バイデン新政権をけん制

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 ※ 「核運搬手段」は、現状3つある…。
  1、大陸間弾道弾(ICBM)
  2、戦略爆撃機に搭載
  3、戦略潜水艦に搭載(SLMB)

 1、のICBMは、液水液酸燃料を使うから、その「注入」に数時間を要し、屋外で発射台に据えて行うと、「偵察衛星」で容易に「探知」される…。
  「固体燃料」ミサイルは、まだそこまでの「長射程」のものは、開発できていない…。

 2、の戦略爆撃機は、保有していない…。

 3、のSLBMは、大体射程2000㎞と言われ、そこまで近づける「潜水艦」は、未だ開発されていない…。第一、日本海に乗り出したとたんに、敵側の探知網にかかり、「探知」されるだろう…。
 それで、山中に「サイロ」でも構築して、そこに「埋め込む」他はないだろうとの分析記事も見た…。

 しかし、いずれ「大工事」になるから、掘り出した「土砂」の運び出しなんかも、容易に「偵察衛星」によって、探知されるだろう…。

『【ソウル=恩地洋介】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は開催中の第8回朝鮮労働党大会で「米国を屈服させる」と報告した。米首都を射程に収める核・ミサイルの開発を進める方針も示した。バイデン次期米政権の出方が読めないなか、米国や日韓の脅威となる軍事技術の向上を優先し、対米交渉能力を高める意図とみられる。

9日の朝鮮中央通信によると、金正恩氏は5~7日の会議で計9時間にわたり活動総括を読み上げた。…

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・11月の米大統領選後、沈黙を守ってきた対米戦略は「最大の主敵である米国を制圧し、屈服させることに焦点を合わせるべきだ」と語った。

・金正恩氏は「誰が権力の座に就いても、米国の実態と対朝鮮政策の本心は絶対に変わらない」と強い不信感もにじませた。北朝鮮にとって、3回の首脳会談で関係を築いたトランプ大統領の退場は衝撃だ。トップダウンで非核化措置と経済制裁の解除を取引する構想は難しくなった。

・米新政権との関係はゼロから築く必要がある。「戦略的忍耐」を掲げて北朝鮮を無視したオバマ政権の再来を警戒している。対米交渉力を引き上げるため、金正恩氏は封印してきた核への執着を再びあらわにした。

・米国の首都ワシントンを射程に収める1万5千㌔圏内を正確に核打撃できる技術や、任意の場所から発射できる固体燃料型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発すると宣言。「多弾頭誘導技術の研究事業や、新たな原子力潜水艦の設計研究の審査が最終段階にある」などと新兵器計画を次々と挙げた。

・米に強硬姿勢を示す一方で「対外関係は全面的に拡大、発展させる」とも言及した。とりわけ貿易の95%を依存する中国との関係は「切っても切れない運命で結ばれている」と意義づけた。

・専門家は「中国やロシアなど利害を共にする国との関係を深める方針だろう」(韓国慶南大の金東葉教授)とみている。対米交渉の後ろ盾や経済支援への期待がある。

・バイデン新政権の政策を見極めるなか、対話復帰を呼びかける韓国との関係は「現時点で一方的な善意を施すつもりはない」とあしらった。3月に予定する米韓合同軍事演習や最先端兵器の導入を中止するよう要求した。

・金正恩氏は開会の辞で、16年の前回党大会で定めた国家経済発展5カ年戦略が未達に終わったと説明。報告では米国が主導した経済制裁と自然災害、新型コロナウイルスの流行が原因だったと指摘した。

・状況改善の展望は描けず、新たな5カ年計画は「自力更生、自給自足」を基本理念にすると強調した。将来的な外貨獲得を見据え「金剛山地区を現代的な文化観光地に変える」と発言し、南北経済協力の一環で韓国企業が建設したホテルなどの施設を撤去して再整備する構想を披露した。

トランプ支持者集うSNS、Amazonがクラウド接続停止

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 ※ プラットフォーマーによる、「言論・情報統制」だ…。

 ※ 巨大マスメディア(新聞、ラジオ、テレビなど)が、「第四権(立法、行政、司法に次ぐ第四番目の「権力」)」呼ばわりされてから久しい…。

 ※ それを突き崩したのが、「ネットメディア」で、随分と「持ち上げられ」「賞賛され」て来た…。

 ※ 今また、そういう「ネットメディア」や「SNS」が、情報統制の道具となって来ている…。

 ※ いつの世でも、「人々が見聞きする媒体」は、「権力を握っている側」の「大衆操作・統制」の道具になって来たし、これからも「道具」であり続けるだろう…。

『【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コムは9日、暴力を助長する投稿を放置し利用規約に違反したとして、トランプ米大統領の支持者らが集う新興SNS「パーラー」へのクラウド基盤の提供を停止すると明らかにした。6日に首都ワシントンで起きた暴動の再発を防ぐための非常措置だが、パーラーの運営会社は「根拠のない、恥ずべきことだ」と猛反発している。

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クラウド子会社のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)はパーラー運営会社の幹部に宛てた書簡の中で、「他者への暴力を助長・扇動するコンテンツを削除できない顧客にサービスは提供できない」と説明。米西部時間の10日午後11時59分にアカウントを停止しクラウド基盤への接続を止めると伝えた。パーラーは代わりのサーバー類を確保するまで、SNSのサービスを最大で1週間提供できなくなる恐れがあるとしている。

アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)はトランプ氏と犬猿の仲で知られ、米国防総省のクラウド基盤の入札をめぐって米政府を相手取った訴訟も起こしている。ただ、同社はパーラー幹部への書簡のなかで「政治的な立場の違いを超えて顧客に技術とサービスを提供している」と強調。データはすべて保存していることを確認し、他社のサーバーへの移行を可能な限り支援する考えも示した。

表現の自由をうたうパーラーはほとんど検閲をしないことで知られ、6日の暴動を起こしたトランプ支持者らが新たな武装抗議の計画を話し合う舞台になっているとの指摘もある。リベラルな気風で知られる米IT大手の社内ではパーラーとの取引を打ち切るべきだとする声が強まっており、アップルとグーグルは9日までに両社の基本ソフト(OS)上でパーラーのアプリの配信を停止していた。

パーラーのジョン・マッツェ最高経営責任者(CEO)は9日、自社SNSへの投稿でIT大手の対応について「彼らがやっているのは前例のない、根拠のない、不愉快極まりない行為で、恥ずべきことだ」と痛烈に批判した。各社が一斉にパーラーの排除に動いたことについて「競争をなくすためのテック大手による協調的な攻撃だ」とも述べ、「議員らにこの反競争的な行為を暴露しよう」と利用者らに呼びかけた。

トランプ氏が8日までにツイッターとフェイスブックの大手SNSを規約違反などで閉め出されたことで、同氏を支持する保守派は一斉にパーラーに流れていた。米メディアによると、配信を停止される直前には、パーラーは世界で最もダウンロードされたアプリの1つになっていた。

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