慰安婦訴訟、日本政府に賠償命令 ソウル中央地裁

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM080V30Y1A100C2000000

『【ソウル=恩地洋介】韓国で旧日本軍の元従軍慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は8日、日本政府に原告1人当たり1億ウォン(約950万円)の慰謝料支払いを命じる判決を出した。韓国の司法が歴史問題を巡る日本政府の責任に踏み込むのは初めて。日本企業の資産現金化が迫る元徴用工問題に続き、日韓は歴史を巡る新たな難題を抱えた。

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日本政府は慰安婦問題に関し、1965年の日韓請求権協定で解決済みという立場だ。2015年には「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意を発表している。今回の訴訟では、国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則から、審理には一度も出席していない。

地裁判決は「請求権協定と慰安婦合意に原告の請求権が含まれていると見るのは難しく、請求権は消滅したと見ることはできない」と主張。原告側が提示した写真などの証拠に基づき「被告の不法行為がすべて認められる」と結論づけた。日本政府による「計画的、組織的、広範囲にわたる反人道的犯罪」で国際規範に違反したと断じ、主権免除は適用できないとする原告の主張を受け入れた。

地裁は仮執行を認めており、日本政府が控訴をするかしないかの判断にかかわらず、原告側が韓国内にある日本政府資産の差し押さえ手続きを取ることが可能になる。今後、日本政府を相手取った類似の訴訟が相次ぐ可能性がある。

原告である元慰安婦の女性12人(故人含む)は13年、日本政府に賠償を求めて地裁に調停を申請。その後、正式訴訟に移行した。地裁は日本政府が訴状を受け取ったとみなす「公示送達」の手続きを取って審理を進めた。13日には元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)氏や支援団体が原告となった別訴訟の一審判決もある。

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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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分析・考察国際法上の「主権免除」の原則と、韓国政府が最近、東京五輪をにらみ日韓修復に動き出している2点から韓国内でもさすがに原告勝訴はないだろうとの見方が大勢でした。判決はそれなりの理屈をつけているとはいえ、国際法や憲法よりも最上位に目に見えない「国民情緒法」があるといわれる韓国司法の特殊性と怖さを改めて示しました。
政権が代わったからといって対応を変えれば国家間の信頼関係は成りたちません。しかし、「被害者中心主義」、三権分立を主張する文政権はここでも静観を決め込む可能性が高く、日本政府は水面上でコロナ対策、水面下で韓国相手に徴用工問題と慰安婦問題という難題への対応を迫られることになります。
2021年1月8日 11:35 (2021年1月8日 12:23更新)
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