大揺れの米民主主義 議会占拠、バイデン氏「前代未聞」

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『【ワシントン=中村亮】米首都ワシントンに集まったトランプ大統領の支持者は6日、連邦議会の議事堂を約4時間にわたり占拠し、少なくとも4人の死者が出た。バイデン次期米大統領は6日、「米国の民主主義が前代未聞の攻撃にさらされている」と指摘。支持者を扇動するような言動をトランプ氏が繰り返すなど、大揺れの米政治を映す異例の事態となった。

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「議会議事堂へ向かおう。私も寄り添うから」。正午ごろからホワイトハウス…

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・「議会議事堂へ向かおう。私も寄り添うから」。正午ごろからホワイトハウス近くの広場で1時間続いた演説でトランプ氏は数千人の支持者に呼びかけた。

・午後1時から始まる上下両院合同会議で民主党のバイデン氏を次期大統領へ選出する連邦議会に抗議するよう促したものだ。「もっと激しく闘うべきだ」「強さを見せつける必要がある」などと強調し、聴衆をあおった。

・午後1時すぎには議会周辺に支持者の姿が目立ち始め、警官隊の制止を振り切って議会への乱入を試みるようになる。トランプ氏の演説後、議会へデモ行進した群衆が合流すると暴徒化の様相が強まる。

群衆に向けて警官隊が催涙ガスを放った(6日、ワシントン)=ロイター

・群衆は午後2時ごろに警察から奪った盾を使ってガラスを割り議会内部に侵入。ドアのカギを次々と開けると支持者が雪崩を打ったように乱入した。

・このころ上下両院はそれぞれ西部アリゾナ州の選挙結果をめぐる審議の最中だった。上院で議事進行役を務めた共和党重鎮のチャック・グラスリー議員は同僚の演説を遮って「休憩に入る」と突然表明。直後に3人の警護隊に導かれて足早に議場を去り避難した。

・下院ではデモ隊が議場の扉を破壊して侵入を試みようとすると、議場の中から警護隊が銃口を扉に向けて有事に備えた。議場付近で催涙ガスが放たれたことを受け、警護隊は議員にガスマスクの着用を要請したといい、緊迫した状況が続いた。

・午後2時38分、トランプ氏がツイッターに「平和的に!」と書きこんで支持者にようやく自制を求めた。

・デモ隊の勢いは止まらず、米メディアによるとペロシ下院議長の事務所にも侵入。写真を破ったり、家具をひっくり返したりしたという。置き手紙には「俺たちは引き下がらない」とつづり、過激な行動を続ける意向を示した。

・米メディアによると、抗議デモにはナチス・ドイツ式の敬礼とみられる動きをしたり、奴隷制を想起させる南軍旗を掲げたりする参加者がいた。極右団体「プラウド・ボーイズ」の集団が参加していたとの情報もあり、過激思想を持つ人物が集結した可能性がある。

議事堂内で警官と対峙するトランプ支持者(6日、ワシントン)=AP

・近隣州からも警察が応援に駆けつけ、議会での支持者の排除が本格的に進んだ。ホワイトハウスも午後4時前に州兵の動員を発表。米紙によると、ワシントンの州兵の最高司令官であるトランプ氏が反対し、最終的にペンス氏が大統領の同意抜きで動員を決めた。

・警察は催涙ガスを使ってトランプ支持者に議会から遠ざかるよう迫った。午後6時ごろに警察は議事堂内の安全を確認。米メディアによると一連の騒乱で4人が死亡。1人は議場内で警察によって銃撃された女性だが、身元や他の3人が死亡に至った経緯などは不明だ。

・共和党からは乱入を招いたとしてトランプ氏を批判する声が出た。ベン・サス上院議員は「暴力は大統領が継続的に分断をあおったことによる必然かつ醜い結末だ」と訴えた。

・アダム・キンジンガー下院議員も乱入を「クーデターの試みだ」と指摘。トランプ氏に対して「あなたのレガシーはひどいものだ」と断じた。

・次期大統領への選出がようやく確定したバイデン氏はトランプ政権下で進んだ分断の修復を目指すが、議会占拠に至った今回のデモの激しさは、その難しさを如実に映した。

アメリカ大統領選挙

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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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別の視点議会へのデモ行進、突入、死者発生と聞いて、2つの出来事を思いだしました。1つは60年以上も前の1960年の安保闘争。デモ隊と機動隊が国会構内で衝突し、東大女子学生1人が圧死しました。もう1つは韓国駐在時代に目の当たりにした朴槿恵大統領の弾劾要求デモ。死者こそ出ませんでしたが数十万人の市民が集結し大統領府に向かって行進しました。いずれも熱気はすさまじかったものの国会や大統領府を占拠するような事態は起きていません。世界の民主主義をけん引してきた米国で起きた事件の異常性と深刻さを浮き彫りにします。
2021年1月8日 8:19いいね

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菅野幹雄
日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター
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別の視点民主主義の殿堂が襲われた歴史的事件から一夜明け、ワシントンでは党派を超えて清算モードが漂っています。民主党ではトランプ大統領の早期解任を求める動きが公然と起き、共和党もトランプ主義への内部批判や閣僚・ホワイトハウス幹部の相次ぐ辞意など慌ただしい雰囲気に満ちています。

記事のようにデモ暴徒化とトランプ氏の扇動に注目が集中するのは当然ですが、見失いがちなのはデモに参加した大多数の「平和的」なトランプ支持者の思いです。バイデン氏も共和党も暴力を強く非難するだけでは、彼らが持つ既存政治への根強い不満にこたえられません。トランプ氏と距離を置いた後の米政治の姿勢と行動が問われます。
2021年1月8日 8:00