[FT]ワクチン接種遅れ 欧州では責任のなすり合い

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『欧州連合(E U)加盟国の政府は、新型コロナウイルスのワクチンの接種率を速やかに高めなければならないとのプレッシャーに直面している。ワクチン接種の遅れを巡り、激しい政治的な責任のなすり合いを引き起こしている。

ドイツ政府は、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナのワクチンをなるべく多くの人たちに接種するため、2回目の接種を遅らせることを検討していると明らかにした。これは先週の…

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・ドイツ政府は、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナのワクチンをなるべく多くの人たちに接種するため、2回目の接種を遅らせることを検討していると明らかにした。これは先週の英国政府の動きに追随するものだ。

・ドイツ政府の動きは、シュパーン保健相に対して、十分に供給できるだけのワクチンを調達できず、さらにワクチンを普及させるための接種キャンペーンを迅速に開始しなかったとの批判が高まっていることが背景にある。

・シュパーン氏は、ワクチンの備蓄を確保する責任を欧州連合(EU)の欧州委員会に委ねたと非難されている。しかし、ドイツ政府のザイバート報道官は4日、「(シュパーン氏の)やり方は正しかったし、今もそうだ」と述べ、同氏の方策を擁護した。

EUは域内全域に十分なワクチン確保と説明

・欧州委員会も昨年6月に加盟国が合意したワクチンを巡る戦略に対する批判に反論している。欧州委員会のマメル首席報道官は「我々はE U域内全域の人口に接種が行き渡るのに十分な20億回分のワクチンを加盟国が入手できるような契約を実際に結んでいる」と語った。

・同氏は、すべてのワクチンが直ちに配布されていないことを疑問視する声に「非常に驚いている」と述べ、製造上の制約は予想されていたことで、E U全域でのワクチンの配布は徐々に進められ、今年4月ごろに「大規模な調達がある」と説明した。

・同氏はまた、ブリュッセルで報道陣に対して「ワクチンの数量に問題があるとは思わない」と語り、「実際のところ我々はワクチン配布の開始段階にいる」と指摘した。

・今のところ、E U域内のワクチン接種率は英国や米国など他国に比べて大きな遅れをとっている。英国はすでに100万人以上にワクチンを投与したが、ドイツは受け取ったワクチン130万回分のうち26万5000回分しか接種していない。

・低い接種率の理由の一つには、医薬品を審査するE Uの当局がファイザー・ビオンテック製ワクチンを承認したのが、英国やイスラエル、米国の当局より後だったことがある。一方、E Uは数日内に米バイオ製薬モデルナ製の新型コロナワクチンを認可する見通しだ。E Uはすでに6つのワクチン製造元と供給契約を結んでいる。E Uは4日、ファイザーとビオンテックの両社とは、現在契約している3億回分を上回る量の確保について協議中であることを明らかにした。

2回目接種の期間延長も検討

・またE Uの加盟各国の当局は、配布されたワクチンをより多くの人に投与する次善の策を探っている。ドイツの保健省は、ファイザー・ビオンテックのワクチンについて、バイアル瓶1本からとれる接種回数を5回分から6回分に増やせないかどうか、さらに1回目から2回目の接種までの間隔を現在の最長42日以内より長くできるかどうかについて、独立した予防接種委員会の見解を求めている。デンマークの国家保健委員会トップ、ブロストラム氏によると、同当局は2回目の接種までの期間を6週間に延長することを許可するという。

・今回浮上した問題の一つは、一部のE U加盟国では、すでに保有するワクチンを普及させる能力が明らかに欠けていることだ。接種率は地域によって大きな差がある。

・デンマークのコペンハーゲン大学公衆衛生学部のフレミング・コンラドセン教授は「欧州全域でワクチンを配布して接種する体制がまだ整っておらず、接種率の実績にかなりのばらつきがあることは確かだ」と説明する。

接種率で大きな地域格差

・スペインは地域によって接種率に大きな差が見られる国の一つだ。例えば、首都マドリードでは先週、初めて受け取った4万9000回分のファイザー・ビオンテックのワクチンのうち、6%程度しか使用していない。地方の新型コロナ対策を率いるアントニオ・サパテロ氏は、ワクチン普及の展開が遅い理由として、最初のワクチンの配達がまる1日遅れたことや、介護施設から接種を新年の休みの後にしてほしいという要望があったことを挙げている。

・スペイン北東部カタルーニャ自治州では、受け取った6万回分のワクチンのうち約8000回分しか使用していない。その一方で、スペイン北西部ガリシア州やその東にあるアストゥリアス州など他の地域では、配達されたワクチンのうち半分以上がすでに接種されている。スペイン全体では、保有するワクチンの約18%しか接種されていない。

・(イタリア政界で急伸する極右の新興政党)「イタリアの同胞(FDI)」のメローニ党首は、コンテ首相の不信任案について国民の支持を集めるため、オンラインの署名運動を開始した。不信任とする理由の一つが、イタリア政府が手掛けるワクチンの接種だ。

・FDIに所属するリシア・ロンズーリ上院議員は「イタリアに配布されたワクチンの数量の少なさを懸念していたが、受け取ったワクチンを遅れないで接種することができないのはより深刻な問題だ」と批判する。

・イタリア政府の新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の緊急対策を率いるドメニコ・アルクリ氏は、ワクチンの接種回数でイタリアは、欧州大陸ではドイツに次いで2番目に多いと説明する。イタリアでは3日夜までに、すでに11万8000人がワクチン接種を受けている。

By FT Reporters

(2021年1月5日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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