デジタル人民元に透ける中国政府の思惑

デジタル人民元に透ける中国政府の思惑
FTグローバル・チャイナ・エディター ジェームズ・キング
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ058MI0V00C21A1000000

 ※ なるほど、鋭い視点だ…。

 ※ 案外、この見方が正鵠かもしれんな…。

 ※ 中国国内市場に限っては、「スマホ決済」だろうが何だろうが、「デジタル人民元」で100%コントロールすることができるという考えか…。上位の階層の「人民元」そのものをコントロールするわけだからな…。

 ※ アリババのジャック・マーが姿を見せていないことも、この文脈から理解可能なのかもしれんな…。

『中国に古くから伝わる「兵法三十六計」に、敵に勝つ手段の1つとして「借刀殺人」という手法がある。自分の目的を達成するため他の人の力を利用するという策略だ。

中国政府が計画しているデジタル人民元の実用化は、この格好の事例だ。中国共産党は強力になった民間企業への支配を再び利かせる基盤づくりに、技術的進歩を「借用」しようとしているのだ。

デジタル人民元は既に中国の複数の都市で試験導入されており、2022年…

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・デジタル人民元は既に中国の複数の都市で試験導入されており、2022年の北京冬季五輪開催前に正式に実用化される予定だ。目的はいくつかある。最も明確なのは、世界で2番目の経済大国において完全なデジタル決済システムを先導することだ。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、デジタル金融の未来に向けた準備で中国は他の大国をリードしていると述べた。

・デジタル人民元にはアリババ集団の「支付宝(アリペイ)」と騰訊控股(テンセント)の「微信支付(ウィーチャットペイ)」を服従させる潜在力もある。両サービスへの脅威は明らかだ。デジタル人民元はアリペイやウィーチャットペイの運用基盤からは独立しており、銀行に口座を作ることで利用できる。

・中国金融業界のある幹部は「デジタル人民元はアリペイとウィーチャットペイにとって明確な競合だ」と話す。「中国政府はデジタル人民元を行政の力を高めるための道具とみており、テクノロジー企業とこの力を共有することを望んでいない」

・デジタル人民元は政府による監視能力の強化ももたらす。現在、中国の電子取引データの多くはアリババやテンセントが握っている。政府によるデジタル通貨が普及すれば、少なくとも理論的には、中央銀行である中国人民銀行が豊富な商業データを利用できるようになる。悪徳行為の取り締まりが進むほか、機敏な金融政策につながる可能性もある。

・リアルタイムの監視能力は重大な欠点にもなり得る。デジタル人民元は国際決済における米ドルの覇権を崩し得るという中国の一部のアナリストの主張は大げさだろう。中国がいずれ貿易相手国とデジタル人民元で取引する可能性はある一方、データの取り扱いに対する懸念がデジタル人民元の普及を妨げるということもありそうだ。

・米国やその他の西側諸国はプライバシーの問題を理由に、高速通信規格「5G」で華為技術(ファーウェイ)製品の採用に消極的な態度をとっている。自国経済のリアルタイム取引を中国の中央銀行に把握されるデジタル通貨を受け入れることに対して、5Gと同様に敏感になる可能性が高いとアナリストは指摘する。

・その観点ではデジタル人民元の展開は、中国と西側諸国の溝を深めることになるかもしれない。利用者のプライバシーは、デジタルドルとデジタルユーロの設計で重要な考慮すべき事項だが、現段階では今後の保護規定ははっきりしていない。

ジェームズ・キング氏
James Kynge 中国を中心にアジア情勢を25年以上にわたり取材するFTのグローバル・チャイナ・エディター。2016年に英財団が選ぶ金融分野のジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーに。06年出版の「China Shakes the World」は19カ国語に翻訳された。香港駐在。
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