[FT]イラク、中国企業と異例の原油の前払い契約

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『イラクは中国のある石油会社から1年分の原油供給の前払い金として、20億ドル(約2060億円)を確保する見通しとなった。イラクの国営石油販売会社(SOMO)が先週末に明らかにした。

石油輸出国機構(OPEC)第2位の輸出規模を誇る同国は昨年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う国際石油価格の急落によって頼みの綱である石油収入が半減したことを受け、資金を切望している。政府は収入の90…

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・政府は収入の90%以上を石油に依存しており、原油の前払い契約を提示したのは今回が初めてだ。

・SOMOのゼネラルマネジャーを務めるアラー・ヤシリ氏は2日、イラクはこの契約を通じ、「無利子の20億ドルと価格へのプレミアム(上乗せ)を獲得した」と明らかにした。「欧州と中国の2社間でし烈な競争があり、中国企業が勝利した」という。

・ヤシリ氏はイラク国営通信のインタビューで落札企業は明かさなかったが、米ブルームバーグは昨年12月、国有の軍需企業である中国兵器工業集団の傘下企業、振華石油控股が契約を取り付けたと報じた。同社はコメント要請にすぐには応じなかった。

財政危機脱却の短期的な資金源に

・アナリストらによると、中国企業が有利な取引をまとめた一方で、イラク政府は財政危機からの短期的な救済策を確保した。それでも、政府が職員の給与や年金の支払い分として想定している月額約40億ドルの半分に満たないという。

・エネルギーエコノミストのイエサール・マレキ氏は、落札した中国企業は「基本的に安値のサイクルにおいて価格を固定した。そして見ての通り、石油価格は上昇している」と指摘。「中国企業は1年限りではあるが、かなりまとまった量の石油をその価格で固定した」という。

・投資会社アジア・フロンティア・キャピタルのイラクファンドで最高情報責任者(CIO)を務めるアーメド・タバクチャリ氏は、この契約は2021年に見込まれる石油収入の4%未満に相当するとの見方を示した。ただ、「石油販売を部分的にヘッジし始めるなど、イラクが販売戦略において一段と洗練しつつある可能性がうかがえる」という。

・SOMOは今回の5年契約の入札を昨年11月下旬に発表した。だが、企業の応札期限を当初は1週間未満とした末に数日間延長したことで、業界ではいぶかしむ声も上がった。SOMOは初年の供給分(月400万バレル)の前払いも要請した。約20億ドルというその金額を前に、資金が潤沢な企業以外は締め出される形となった。

・カルドゥチ・コンサルティングのシュワン・ズラル代表は、「あらかじめ仕組まれた取引のようだ」と語る。

調達した原油はどこの市場でも販売可能

・入札には異例の甘い餌もついている。落札企業はイラク産原油を自ら選択した市場で販売することが認められている。これはSOMO独自の価格より安く売られる可能性があるということだ。

・イラクは原油の大半をアジア・太平洋地域に輸出している。OPECのデータによると、19年は総輸出量40億バレルのうち25億バレルが同地域向けだった。

・石油を渇望する中国はイラクと緊密な経済関係を築いてきた。両国政府は19年、理論上は日量10万バレルの原油と引き換えに中国企業がイラクでインフラを開発する「インフラのための石油」協定を結んでいる。

By Chloe Cornish

(2021年1月4日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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