失われた空の旅 遠のく回復憂う市場(NY特急便)

失われた空の旅 遠のく回復憂う市場(NY特急便)
米州総局 白岩ひおな
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN04B1P0U1A100C2000000

『2021年初の取引となる4日の米株式市場で、ダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、20年12月31日の終値から1.3%安で終えた。5日に民主・共和両党候補の支持率が拮抗するジョージア州の上院決選投票を控え、持ち高調整や利益確定の売りが優勢となった。新型コロナウイルスの変異種まん延などで、感染拡大がさらに長引く可能性が憂慮されている。

この日下落が目立ったのが旅行関連銘柄だ。S&P1500航空…

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・S&P1500航空指数は4%下落した。個別でもアメリカン、ユナイテッド、デルタの航空大手3社がそろって4%安で終えた。格安航空会社のスピリット航空は6%安、サウスウエスト航空は3%安まで売られた。クルーズ船運航も振るわず、下落率はカーニバル・コーポレーションで6%、ノルウェージャン・クルーズラインは7%に上った。

・主な要因は2つある。1つは従来よりも感染力の強い「変異種」への懸念だ。米国でもコロラドやカリフォルニアなど複数の州で変異種の感染が見つかった。変異種のまん延に直面した英国のジョンソン首相は4日に新たなロックダウン(都市封鎖)を発表。2月中旬まで小中学校や大学の対面授業を取りやめる。

・さらに、新型コロナワクチンの接種ペースが予定より大幅に遅れていることも、経済の正常化を遠のかせている。米疾病対策センター(CDC)によると、4日時点で約1540万回分のワクチンが供給されたが、実際に接種されたのは約456万回分にとどまる。米政府は20年内に2000万人のワクチン接種を目指すとしていた。

・航空業界はパンデミック(世界的大流行)で大きく打撃を受けた。世界の航空分析を手がけるシリウムによると、20年の旅客機乗客数は19年比67%減少し、1999年の水準まで低下した。乗客数の21年間の増加分がわずか数カ月で消失した計算だ。

・一方、12月には2つの追い風が吹いていた。米ファイザーやモデルナの新型コロナワクチンの緊急使用を米食品医薬品局(FDA)が認可。医療従事者らへの供給開始で収束への道筋が見え、乗客が再び戻ってくるとの期待が寄せられた。同月末には米国で9千億ドル(約93兆円)規模の追加経済対策が成立した。航空業界が従業員の給与を手当てするための支援として150億ドルが盛り込まれ、成立時に関連銘柄が買われた。航空各社はレイオフ(一時解雇)していた従業員を呼び戻そうとしている。

・ただ、給与補助の期間は3月末までで、旅行客が戻る前に支援が再び途切れる恐れがある。一般へのワクチン接種は当初計画でも2~3月とされており、免疫による感染抑制の効果もすぐに得られるとは限らない。市場はこうした不透明感を嫌気し、売りに転じた。

・ユナイテッドのスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は従業員宛ての手紙で「今後数カ月で予約状況に大きな変化はないだろう。再雇用も一時的なものになる」との見通しを示した。

・航空各社は感染が収束すればパンデミック前と同程度まで利用者が戻ると期待する。一方、シリウムのジェレミー・ボウエンCEOは19年の水準並みに需要が回復するには24年~25年までかかるとの見通しを示す。在宅勤務やオンライン会議の浸透でビジネス需要にも変化が訪れる可能性もある。(ニューヨーク=白岩ひおな)