ロシア、資源エネで対中輸出拡大 ガス化学や石炭で合弁 欧米豪との対立で 対中依存に懸念も

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR294HJ0Z21C20A2000000

『【モスクワ=石川陽平、北京=多部田俊輔】ロシアが資源エネルギー分野で中国への輸出拡大を進めている。対中貿易倍増を目標に石炭輸出やガス化学で大型の合弁に合意したほか、天然ガスの対中輸出用パイプラインの増強にも着手した。両国の欧米などとの対立関係が背景にある。ロシアには対中依存が強まる懸念もある。

「エネルギーや工業部門の巨大な共同事業などすべての方向で協力をさらに深める」。中国の習近平(シー・ジンピ…

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り1527文字

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

初割で申し込む
https://www.nikkei.com/promotion/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN04AVW004012021000000&n_cid=DSPRM1AR08

無料登録する
https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGN16C7X016122020000000&n_cid=DSPRM1AR08#free

ログインする
https://www.nikkei.com/login

・中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領は2020年12月28日に電話協議し、両国の連携強化で一致した。習主席は将来的に戦略的パートナーシップを進展させる意向も示した。

・両首脳の電話協議と一致するように、ロシアから中国への資源エネルギー輸出拡大へ向けた動きが相次いでいる。

・ロシア極東で国内最大級の炭田を開発するエリガ石炭は20年12月15日、中国の海上輸送大手、福建国航遠洋運輸集団と製鉄用の石炭を中国に輸出する合弁会社の設立で合意した。エリガ石炭は23年に対中輸出量を3000万㌧とする計画だ。19年のロシア全体の対中輸出量は約3300万㌧で、単純計算で2倍近くに増える。

・ロシアの石油化学大手シブールは12月28日、24年に極東で完工予定のアムールガス化学工場の株式40%を中国石油化工集団(シノペック)に譲渡したと明らかにした。ロシア当局から合弁の正式認可を受けたもので工場建設が本格化する。豊富な天然ガスを利用して、合成樹脂のポリプロピレンなどを生産する世界最大級の工場で、製品の大半を中国に輸出する。

・天然ガスの対中輸出の増強にも乗り出す。政府系のガスプロムは19年12月に稼働させた中国向けパイプライン「シベリアの力」の延伸工事に着手した。800㌔㍍の区間を敷設し、22年末に東シベリアのコビクタ・ガス田と結ぶ。「シベリアの力」は稼働から1年間に約38億立方㍍を供給したが、25年までに目標の年380億立方㍍に引き上げる。

ロシア極東アムール州にある中国向けガスパイプライン設備=ロイター

・ガスプロムは20年、モンゴル経由で年500億立方㍍を運ぶ中国向けパイプラインを敷設する調査も始めた。パイプラインでのガス輸出を独占するガスプロムは19年に約2000億立方㍍を欧州やトルコ向けに輸出したが、中国への東方シフトを急ぐ。ロシアは11年には中国北東部への石油パイプラインも稼働させた。

・世界最大のエネルギー消費国である中国と資源大国のロシアはもともと相互補完関係にあり、政治的にも「戦略的パートナーシップ」を強化してきた。ただ、ここにきて中ロを資源エネルギー協力に向かわせている大きな要因は、両国の米欧やオーストラリアなどとの政治的な対立が深まっていることがある。

・中国はバイデン次期米政権による対中包囲網の拡大をにらみ、習指導部が資源エネルギーの調達先の多様化を急いでおり、その中でロシアを柱に位置づける。エネルギー業界関係者は「米国との長期的な対立が避けられず、ロシアの役割はエネルギー安全保障上でますます重要になっている」との見方を示す。

・石炭分野での協力強化では、中国には米国と足並みをそろえて対中圧力を強める豪州をけん制する狙いがある。多くの豪州産品に輸入制限を課し、同国からの石炭輸入も急減させた。豪州は19年で中国の石炭輸入の約4分の1を占めたが、エリガ石炭のイサエフ社長は同社が「米豪からの対中輸入に取って代わるだろう」と述べた。

・ロシアも14年に一方的にクリミア半島を併合して以降、欧米との対立を深め、厳しい制裁も受ける。資源の主な輸出先の欧州はグリーンエネルギーを大幅に増やす計画で、石油ガス産業は打撃を受けるのは必至で、中国への輸出拡大に頼らざるを得ない。中ロ首脳は天然資源を柱に貿易総額を24年までに足元の水準から約2倍の2000億㌦(約20兆5500億円)に増やす目標だ。

・もっとも、ロシアにとって対中輸出拡大にはリスクもある。輸出品目は原油ガス、丸太など1次産品が多く、専門家の間では「資源供給元として従属的立場に立たされる」との指摘が多い。石油ガスの輸出では厳しい価格交渉を迫られた。経済面で過度に依存すれば、国力で圧倒的に上回る中国に対し、政治的にも譲歩を余儀なくされる局面がでてくる可能性もある。