https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR04B910U1A100C2000000
『【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビアは同じアラブの隣国カタールと、2017年6月の断交とともに導入した陸、海、空路の閉鎖を解除した。クウェートのアハマド外相が4日、国営テレビで明らかにした。米トランプ政権による仲介の成果とみられ、イランに対する包囲網を強化する狙いがあるとみられる。
サウジは同国北西部で5日、湾岸アラブ国で構成する湾岸協力会議(GCC)首脳会議を主催する。カタールの代表も参加する見通しだ。
カタールを拠点とするアラビア語テレビ局アルジャズィーラによる報道の内容や、カタールのイスラム主義勢力への支援をめぐり対立してきたが、雪解けに向かう可能性がある。アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーン、エジプトなど、サウジとともにカタールに断交を通告した他のアラブ諸国の対応が今後の焦点となる。
米国にとってはサウジもカタールも重要な同盟国で、対立するイランへの軍事的、経済的な包囲網を強めるうえで和解は欠かせない条件だった。米国は、サウジなどによるカタールへの締め付けが、かえって同国をイランに接近させたことに懸念を強めていたとみられる。
トランプ大統領の娘婿クシュナー大統領上級顧問が和解に向けた仲介を進めてきた。20年のイスラエルとUAE、バーレーンなどアラブ諸国の国交正常化に続く、トランプ政権末期の中東外交の成果となる。解除を明らかにしたクウェートは、米とともに和解の調整役を担ってきていた。
カタールは22年にサッカーワールドカップ(W杯)を開く予定もある。
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー
ひとこと解説カタールとの一方的な国交断絶が何を目指したものなのか、また何を達成したから国境封鎖を解除するのかがはっきりしないまま、結果オーライな状況になっている。こうした不透明な状況は、ただでさえ不安定なペルシャ湾岸地域の国際関係をさらに不安定にさせる。とはいえ、クシュナー上級顧問が関与し、トランプ政権が終わり間近ということがファクターとして効いたことは間違いないだろうし、トランプ政権の下での一時的な騒ぎという捉え方も可能ではないかと考えられる。
2021年1月5日 7:41いいね
6
初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!
ログインする
https://www.nikkei.com/login 』