[FT]弱まる自由民主主義の光

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『「21世紀に入って初めて人口100万人超の国で民主主義国を非民主主義国が上回った」。歴史学者のT・G・アッシュ氏は「自由主義の未来」と題した小論でこう断じた。米スタンフォード大学のL・ダイアモンド氏のいう「民主主義の後退」のことだ。幸い米国でバイデン前副大統領が次期大統領に選ばれたが、それで話は終わらない。

今起きていることを理解するには、政治と経済の関係を明らかにする必要がある。米経済学者のブラ…

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・米経済学者のブランコ・ミラノビッチ氏は著書「資本主義だけ残った」(邦訳未刊)で、成功を収めた資本主義は2つの類型に分かれると指摘した。米国とその同盟国に見られる「自由型」と中国のような「政治型」だ。

・自由民主主義はそれ自体に価値があり、平和裏に自ら軌道修正もできるという同氏の主張は正しい。人は自由を求めるもので、米国の有権者は選挙でトランプ大統領に見切りをつけた。中国人は習近平(シー・ジンピン)国家主席に対し、同じことはできない。

・とはいえ、この二元論は単純すぎる。資本主義には「扇動的権威主義型」も存在する。それは現在のロシアのように共産主義の崩壊や、ブラジルやトルコのように民主主義の弱体化の結果として表れる。支配者は法に縛られず、権力は個人が握る。つまり、ならず者による腐敗政治だ。取り巻きが主要な役割を果たし、親族がその中核を成すことも多い。トランプ氏が米国で実現させたかった政治形態だ。

トランプ氏登場の背景

・その米国では裁判所をはじめ、国の骨格を成す機関が選挙結果を覆そうとするトランプ氏に抵抗した。一方で共和党議員の大半が、不正選挙だと言い張るトランプ氏の肩を持った。

・後者は「金権ポピュリスト」がとった政治的、経済的戦略の当然の帰結だ。共和党の大口献金者が減税や規制緩和を実現させようともくろんだ結果、トランプ氏のようなポピュリストの登場を招いた。文化や人種問題などが争点となるようにし、国民の大部分が自らの経済的利益に反した投票行動をするよう仕向けた。この戦略は今後も奏功するだろう。トランプ氏が去ってもその政治的影響力はなくならない。

・バイデン氏はまともな人物だ。内政や外交の目標は明らかに当を得ている。それでも足をすくおうとする勢力はいる。右派の政治の神髄はまさに政府の経済運営を失敗させ、共和党の岩盤支持層の怒りをあおることにある。

・バイデン氏は米国の対外的な信頼を取り戻すのに非常に苦労するだろう。自由民主主義国としての米国の将来が不透明なため、自由民主主義も世界中で深刻な問題に見舞われ続ける。

・今日、主要国でうまく機能している体制は一つもない。資本主義は革新を生むが、社会や政治、環境に大きな問題を引き起こす。自由民主主義は芯までむしばまれている。しかし権威主義の方がはるかにひどい。自由と民主主義の価値を信じ続けるわれわれは、トランプ氏の存在でその価値が危うくなっていることに気付けたと信じたい。だが果たしてそうだろうか。共和党の裕福な大口献金者は自らの利益の追求に忙しく、扇動政治家の説く大衆迎合主義が制御不能だという事実を見ようとはしていないのだ。

By Martin Wolf

(2020年12月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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