中国、モノ・サービス価格の監視強化 消費者保護全面に

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『【北京=川手伊織】中国の規制当局がモノやサービス価格への監視を強めている。中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団などを対象にインターネット通販での不当な価格操作を禁じたほか、マスクなど医療品や食料加工品、航空券などの価格にも目を光らせる。消費者や零細企業の保護をアピールする狙いだ。贈答品などとなる高級「白酒」の価格監視強化は、共産党員や官僚の綱紀粛正の思惑もありそうだ。

中国共産党は2020年…

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・中国共産党は2020年12月に開いた中央経済工作会議で、「独占禁止の強化」を21年の重要政策課題に挙げた。やり玉に挙げたのが、アリババなど急成長が続くネット通販企業だ。

・当局を公然と批判したアリババの創業者ジャック・マー(馬雲)氏への圧力だけでなく、ネット産業の寡占化による弊害を軽減する狙いがある。取引先から高額の手数料を取ったり、価格を自社の都合のいいようにコントロールしたりする行為に消費者や中小零細企業の不満が高まっているためだ。

・規制当局である国家市場監督管理総局(市場監管総局)と中国商務省は20年12月22日、アリババや京東集団(JDドットコム)、出前アプリの美団など6社の幹部を呼び出した。社区(町内会に相当)住民など複数の消費者が食品や日用品を共同購入する際、アリババや京東などが大幅値下げして共同購入を受注することを反ダンピング(不当廉売)として禁じた。安売りに対抗できないとして零細商店が反発していた。

・また市場監管総局は20年12月30日、価格法違反でアリババなど3社に罰金を科す決定を下した。ネット通販大手が例年6月や11月に開く大規模なセールで、事前に値上げした後にセール時に値下げして「割安感」を出す手法などを問題視した。

・当局が厳しい目線を向けるのは、ネット通販大手だけではない。中国メディアによると、市場監管総局は2月の春節休暇をにらみ重点監視対象を拡大。マスクや消毒液といった医療品、食用油など食料加工品でも価格のつり上げや買い占めが起きないか監視を強める。

・航空券を巡っては、中国民用航空局と共同で価格監視システムを立ち上げる。中国の航空券は需要の増減に伴う価格変動が大きく、春節など大型連休直前などは価格が跳ね上がる。便乗値上げを防ぐため、市場監管総局などは悪質な事案を公開する方針だ。

・国務院(政府)関係者は「家計の所得回復ペースが今なお緩やかだという認識を、習近平(シー・ジンピン)指導部も共有している」と話す。中小零細企業の景況感も回復ペースが鈍い。新型コロナウイルスによる打撃からの回復が遅れている消費者や中小零細企業の権利を守る姿勢を打ち出す。

・当局の価格監視の目は高級品にも向かう。市場監管総局は中国で有名な高級酒「貴州茅台酒」など白酒を対象に、巡回検査の重点対象とする企業などを拡充するという。高級酒の販売店やネット通販企業が値上がり期待をあおるような価格情報を発信することや、買い占めを禁じる。

・貴州茅台酒のような高級酒は、一般消費者の食卓に並ぶことは少なく、企業経営者らと党幹部や役人の宴席で振る舞われたり、贈答品となったりすることが多い。専門店に高額で転売することも可能で「景気が悪い時こそ、受注確保や口利き依頼の宴席における高級白酒のニーズが高まる」と言われる。

・このため規制当局による高級酒の監視強化は「党員や役人による腐敗を取り締まり、引き締めを図るという意味合いが強い」とみる党関係者は多い。21年7月の党創立100周年や習氏が3期目突入を視野に入れる22年の党大会を前に、習指導部の支持を広げ基盤を固めたいとの思惑もありそうだ。