「脱トランプ党」の必須条件と可能性

「脱トランプ党」の必須条件と可能性
海野素央 (明治大学教授 心理学博士)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21757

 ※ さわりを、紹介する…。

『選挙人による投票が12月14日に行われ、バイデン氏の勝利が決定すると、共和党トップのミッチ・マコネル院内総務は同氏の勝利を祝福しました。

 マコネル院内総務の妻は、トランプ大統領から閣僚のポジションをもらった台湾系米国人のイレーン・チャオ運輸長官です。チャオ氏はいわゆる「人質」です。マコネル氏がトランプ氏に逆らえなかった理由はここにあります。ただ、選挙人が確定し、トランプ政権は残り40日を切ったので、マコネル氏はトランプ氏から距離を開ける絶好の機会だと判断したのでしょう。

 これに対して、トランプ大統領は同月25日、自身のツイッターに「私は今回の選挙でミッチを含めた少なくとも8人の(共和党)上院議員を救った。彼らは私が敵(急進左派の民主党)と戦っているのを傍観している。私は決して忘れない!」と、共和党議員に対して怒りと憎しみに満ちた投稿をしました。』

『ではどのような条件が整えば、共和党はトランプ党から脱出し、本来の党に戻ることができるのでしょうか。「脱トランプ党」実現のための3つの必須条件を挙げてみましょう。

 第1の条件は、共和党におけるトランプ大統領の支持率が低下することです。ロイター通信とグローバル調査会社イプソスが11月3日の投開票日直前に行った共同世論調査(20年10月29~11月2日実施)をみると、共和党のトランプ支持率は87%で、不支持率は12%でした。

 ところが、最新の同調査(同年12月18~22日実施)では、共和党のトランプ支持率は81%で、投開票日直前の数字と比較すると6ポイント下がりました。一方、同党のトランプ不支持率は18%で、逆に6ポイント上昇しています。

 仮にトランプ氏が来年1月20日のバイデン氏の就任式までに、自分ないし子供たちに恩赦を出せば、共和党における支持率はさらに低下するでしょう。』

第2の条件は、24年共和党大統領候補にトランプ氏、長男のドナルド・トランプ・ジュニア氏及びマイク・ペンス副大統領以外の候補が指名されることです。ペンス氏にはトランプ大統領と一体化したイメージがあります。

 上の3人の他に、マイク・ポンぺオ国務長官、ニッキー・ヘイリー前国連大使、マルコ・ルビオ上院議員(南部フロリダ州)、トム・コットン上院議員(南部アーカンソー州)などの名前が、次の共和党大統領候補に挙がっています。ただ、どの人物もトランプ氏との距離が近いのは事実です。

 仮にトランプ大統領が再出馬しない場合、彼らは同大統領の功績を称賛し、トランプ支持者の獲得に時間とエネルギーを費やすことは間違いありません。それでも、トランプ氏、ジュニア氏及びペンス氏以外の候補が共和党大統領候補に指名されれば、同党におけるトランプ色は現在よりは薄まるはずです。』

第3の条件は、ツイッター社がトランプ大統領が自身のツイッターに投稿した「もう1つの真実」及び陰謀論を削除するないし警告マークをつけ続けることです。来年1月20日にトランプ氏は民間人になっても、自身のツイッターに偽情報を投稿する公算が高いからです。

 言うまでもなく、トランプ大統領が支持者と直接コミュニケーションをとる最大の武器はツイッターです。現在警告マークをつけていますが、ツイッター社はほぼ4年間、トランプ氏がつぶやいた「もう1つの真実」や陰謀論を放置してきました。

 その結果、共和党支持者で偽情報を信じるトランプ信者を増加させてしまいました。トランプ党を弱体化させるには、同党を支える信者の数を減少させることが不可欠です。』