習氏「米抜き経済圏」急ぐ 共産党100年、3期目視野に

習氏「米抜き経済圏」急ぐ 共産党100年、3期目視野に
2021年 世界の転換点(中)
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『「実は2021年、目玉になるはずの作品があった」。映画関係者は打ち明ける。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の父、習仲勲元副首相を描いたドラマだ。

仲勲氏は建国の父、毛沢東氏らと国共内戦などを戦った「八大元老」の一人。党内の審査で待ったがかかり、お蔵入りになったという。「習氏への個人崇拝につながり、かえって批判を招きかねない」。こんな意見が相次ぎ浮上したためだ。

中国共産党は今年7月に創立10…

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・中国共産党は今年7月に創立100年を迎える。習氏は毛氏を政治の手本として権力の集中を進めてきた。周辺を側近で固め、権力基盤は強まる一方だ。党内での異論は事実上封じられ、習氏への礼賛一色に染まりかねない危うさをはらむ。

米国を訪問、ホワイトハウスでカーター大統領と会見する鄧小平氏(1979年1月)=UPI・サン共同

・習氏は22年の第20回党大会で3期目の続投を視野に入れている。長期政権を築くうえで、党大会前年の21年の経済政策運営はカギになる。重点課題の一つに位置付けたのがネット企業などを念頭に置いた独占禁止や不正競争防止の強化だ。

・「9つの禁止事項を順守するように」。20年12月22日、国家市場監督管理総局などはネット通販最大手のアリババ集団など6社を呼びつけた。不当廉売や巨大な購買力を使った地位の乱用、顧客情報の違法な収集などを禁じると通達した。

・インターネット通販をはじめ「非接触型」の経済は、新型コロナウイルス下で急成長を遂げている。市場の寡占化も進んでおり、街角の零細小売店や消費者が不利益を被りかねない。規制当局の対応は市場の弱者保護とも理解できる。

・「アリババをはじめネット企業を放置すれば国家権力の統制が効きにくくなる」。国務院(政府)の関係者は語る。習指導部の安定を脅かす可能性が否定できない新興企業への監督を強めるのが政治的な狙いだという。

・長期政権に必要なのは、党の指導強化だけにとどまらない。習指導部は党創立100年の節目に、ややゆとりのある「小康社会」の実現を宣言する見通しだ。このアピールに説得力を持たせるため、高い経済成長という実績も欠かせない。

・中国経済は新型コロナの打撃からいち早く回復したとしている。20年は2%成長にとどまるものの、ことさら「主要国で唯一のプラス成長を達成した」と誇示してきた。

全人代の閉幕式で拍手する習氏(前列中央)ら(20年5月、北京の人民大会堂)=新華社・共同

・21年は反動増もあり、8%前後の高い成長を見込む。新型コロナ対応で総動員した財政・金融政策を慎重に正常化させ、世界に先駆けて「コロナ後」を模索している。

・対米摩擦の長期化をにらみ、外交では米国抜きの独自の経済圏づくりを急ぐ。20年末には欧州連合(EU)と投資協定の締結で大筋合意した。東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)の国内手続きは早ければ5月末に終え、早期発効へ他の署名国にも承認を促す。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を「積極的に考える」ことも21年の重要課題に盛り込んだ。

・「米国を崇拝してひざまずく者たちは米国への投降派となり、判断力を失った。中国人の節操のかけらもない」。中国国営の新華社は20年12月、こう指摘する評論を配信した。バイデン次期政権の発足を前に、米国との長期対立を懸念する改革派の経済学者らをけん制したとみられている。

1989年6月、北京の天安門広場に集結した戒厳部隊の戦車を遠巻きに見る市民=AP共同

・「(強いものが勝つ)ジャングルの法則は受け入れない」。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は20年12月18日、米国の対中制裁を強い口調で非難した。その裏側で中国への経済依存度が高い豪州には農産物などの輸入制限を相次ぎ打ち出し、圧力の手を緩めない。

・香港警察は20年末、香港国家安全維持法違反の疑いで、民主派の元立法会議員など約30人を指名手配した。習指導部の内外での強硬姿勢が米欧などの警戒感を高め、中国は孤立感を深めている。習氏の行く手には対外関係が不安要素として重くのしかかる。

(北京=羽田野主、川手伊織)

〈キーワード〉中国共産党100年

1921年7月、旧ソビエトが誕生したロシア革命の影響を受けて危機感を募らせた若い知識人たちによって結成された。建国の父と呼ばれる毛沢東氏の下、「大躍進」政策を進めた。一方で66年の「文化大革命」では大混乱に陥った。毛氏の死後、鄧小平氏は「改革開放」に転換し、海外資本や技術を導入した。89年の天安門事件では国際社会から非難を浴びた。2013年に国家主席に就任した習近平氏は18年に任期撤廃を盛り込んだ憲法改正案を採択した。