「第2青函トンネル」現実味? 巨大インフラの皮算用

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『北海道と本州を海底で結ぶ「第2青函トンネル」構想が北海道でじわり熱を帯び始めた。事業費はざっと見積もっても7200億円。荒唐無稽で無用なインフラと長く見なされてきたが、物流コストの高騰が思わぬ追い風になりつつある。

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北海道と本州を結ぶ青函トンネルを利用できるのはJR北海道の北海道新幹線とJR貨物が運行する貨物列車のみ。本州―四国間や本州―九州間のように乗用車やトラックを運転して津軽海峡を渡ることはできない。

北海道経済連合会が東京―札幌間(約1150キロメートル)とほぼ等距離の東京―福岡間(同1100キロメートル程度)で10㌧あたりのトラック輸送コストを比べたところ、札幌の方が34%高い21万5000円かか…

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・第2青函構想が最初に浮上したのは2010年代半ばごろ。それから議論を重ね、1本のトンネル内を自動運転車専用道路の上半分と、単線の鉄道貨物列車が通行する下半分の2層構造。自動運転の車両積載車が未対応のトラックや乗用車を荷台に乗せてトンネル内を運ぶ計画にいたった。

・日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が20年11月に公表した「津軽海峡トンネルプロジェクト」によると、第2青函のトンネル部分は31キロメートル、概算事業費は7200億円。進藤孝生会長(日本製鉄会長)が同12月、赤羽一嘉国土交通相に手渡した。

・JAPICがはじいた経済効果は年878億円。道内から運び出す農畜産物が年60万トン増えることで340億円、交流人口拡大による観光需要で538億円生み出すとしている。「よく練られた案だ」と北海道大学公共政策大学院の石井吉春客員教授も評価する。

・巨額の建設コストは32年で投資回収できると見積もる。借入金利の想定は1.161%。大型車の通行料を1万8000円、普通車は9000円と想定すれば、1日あたり大型車3600台、普通車1650台の通行で採算は合う。国や独立行政法人などが第2青函トンネルを保有し、特別目的会社(SPC)が運営する手法を検討する。

・建設に27年かかった現在の青函トンネルと比べ、掘削技術は格段に進歩している。調査設計から完成までは約15年。勾配や海底からの深さを工夫し、総延長は青函トンネル(53.85キロメートル)より短くしてコストを圧縮する。

・現在の青函トンネルはJR北海道とJR貨物が青函トンネル内で共用走行しており、新幹線がトンネル内で速度を落として運転している。現在の青函トンネルが新幹線専用になればこの問題は解消できる。毎分20トンの湧き水が出るため不可欠な大規模改修の際も「バイパスがあれば物流への影響を抑えながら工事ができる」(北海道建設業協会の栗田悟副会長)メリットがある。

・事業費の7200億円にはトンネル出口と高速道路をつなぐ道路の建設費(約2000億円)やトンネルの両端と在来線をつなぐコスト(約1500億円)は含まれていない。こうした付帯コストを加えれば、総事業費は1兆円を上回ることになる。

・最短で37年の全面開業を目指すリニア中央新幹線と並ぶ国内屈指のビッグプロジェクトに浮上するか、初夢のまま終わるのか。まだ後ろ向きな政府の背中を押すには、消極的なJRや道を巻き込むオール北海道のPR活動が不可欠だ。

(高橋徹)

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