英、EU単一市場から静かな船出 移行期間終わる

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR010CG0R00C21A1000000

『【ロンドン=篠崎健太】英国の欧州連合(EU)離脱の「移行期間」が12月31日午後11時(日本時間1月1日午前8時)に終わった。加盟国とほぼ同等に扱われた状況に終止符が打たれ、EUの単一市場と関税同盟から正式に抜けた。新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい規制が敷かれるなか、完全離脱を祝うイベントなどは特に開かれず静かな船出となった。

午後11時、英ロンドン中心部にある国会議事堂の時計台の鐘「ビッグベ…

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・2017年から改修工事中で普段は停止しているシンボルが、歴史的な節目を特別に告げた。ロンドンはコロナ規制で屋外での同世帯以外との接触が原則禁じられており、20年1月末のEU離脱時に議会前広場でにぎわったような祝賀ムードは鳴りを潜めた。

・ジョンソン首相は31日に公表した新年の国民向けビデオメッセージで「世界中と自由に貿易協定を結べる」と述べ、EUから離脱する意義を訴えた。「我々は自由を手にしている。最大限生かすかは自分たち次第だ」と語った。

・移行期間の終了とともに、英・EUの新たな自由貿易協定(FTA)の適用が始まった。関税ゼロの貿易関係が保たれる一方、通関手続きが必要になり輸出入に申告などの手間やコストが生じる。英・EU間のヒトの自由な移動も終わり、互いに長期滞在や就労などにビザ(査証)が必要になった。

・英政府関係者は31日、EUとの通関の変化について「システムは整備済みで準備は整ったと確信している」と語った。1日は元日のため交通量は少ないと見込んでいるが、物流に問題が生じないか注視する。

・英国とスペインの両政府は31日、スペイン南部の英領ジブラルタルをめぐり、スペインと自由に往来できる環境を保つことで合意した。域内を国境検査なしで行き来できる欧州の「シェンゲン協定」をジブラルタルにも適用し、陸続きのスペインとの間で厳格な国境が生じないようにする。未解決になっていたが移行期間終了の直前に決着した。

・スコットランド自治政府のスタージョン首相は移行期間終了の直後、ツイッターに「スコットランドはすぐに戻ってくる」と投稿した。EU離脱に一貫して反対してきた同氏は、英国からの独立運動を再び進める方針を示している。国内に火種も抱えたまま英国は新たな道を歩み出した。