新興国通貨、コロナで明暗 アジア堅調・資源国低迷

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『2020年の新興国通貨の相場は新型コロナウイルスの影響の大きさで明暗が分かれた。コロナの打撃が比較的小さかった中国や東南アジアの通貨は買われやすかった。ただコロナの被害の大きい国や資源国の通貨は大きく下落し、経済を不安定にさせている。

中国は新型コロナの発生源とされ、年前半は人民元が売られやすかった。金融市場でのドルの逼迫も相まって、5月には1ドル=7.1元台と19年の安値に迫った。ただ、年後半には上昇基調に転じた。国はコロナのこれまでの感染者は国民100万人あたり60人台と世界的に少なく、経済の打撃も比較的小さかったためだ。

11月の米大統領選でバイデン氏の当選が確実となるにつれ、人民元高に拍車がかかった。19年にトランプ政権下で激化した米中対立が和らぐとの期待が広がったためだ。

中国経済との関連が深い東南アジアにも通貨の上昇した。中国人観光客が多く訪れるタイの対ドルレートは1~3月に下落したが、その後は感染の抑制に成功して持ち直した。フィリピンは東南アジアでは比較的感染が深刻だが、経常収支が改善したことからペソが買われ対ドルレートは昨年末比で6%高い。

一方、ブラジルレアルは年間で22%安、ロシアルーブルは17%安と大きく下落した。コロナ感染者が国民100万人あたりの累計感染者は1万人を超え、足元も感染は高水準だ。資源価格の急落も経済に打撃となった。年末にかけ世界的な株高とともに買われる場面もあったが、戻りは限定的だ。

21年の相場を左右する1つの要素はコロナの感染状況だ。ワクチンの接種による感染抑止への期待がある一方、世界的に感染者は拡大を続けている。足元では英国で急増する変異種への不安も大きい。感染拡大が止まらなければ都市封鎖が長期化し、株式などを含めた金融市場全体の心理も悪化しかねない。

もう一つ重要なのがドルの動きだ。20年は強力な財政出動と金融緩和の結果、年後半にドルの下落傾向が強まり、同時に新興国通貨が上昇した。

米連邦準備理事会(FRB)議長は16日に資産購入を長く続けていく姿勢をより明確にした。コロナ感染や雇用情勢の不透明感が晴れるまでは強力な金融緩和は継続する可能性が高い。米財務長官候補のイエレン前FRB議長も大規模な財政出動を訴えており、ドル安は続きやすいとの見方が市場では多い。

投資家心理の改善で、新興国の株や債券を買う動きも増え、資金が新興国に向かった面もある。国際金融協会(IIF)によると、新興国の株式と債券への11月の資金流入額は765億ドル(速報値)に達し、過去最大を記録した。

新興国にとって通貨高はプラスの側面が大きい。過去10年あまりで大きく膨らんだドル建ての債務が自国通貨ベースで返済負担が軽くなる。輸入物価の上昇を抑えられ、消費への打撃を軽減できる。ただ、金融市場全体の情勢に連動して、資金流出が急増するリスクも拭えず、コロナ情勢とともに新興国経済の大きなリスクとなっている。(後藤達也、バンコク=村松洋兵)

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